第84話 ミルメコレオ
スキルは防がれるが『エクスプロージョン』の熱でインプへとダメージが入り、皮膚が焼け爛れているのが見て取れる。
ただ、致命傷には程遠いので『エクスプロージョン』だけでは、倒す事は出来ない。
「これで決める!『ボルテックファイア』」
あと数メートルまで迫った位置から俺の最大火力であるスキルをインプへと叩き込む。
『ドガガッ』
インプに『ボルテックファイア』が直撃し、インプは威力に押されて後方へと弾き飛ばされて転がっていく。
これも想定していた事なので、落ち着いてそこから一気に加速しインプを追う。
地面へと転がっているインプに向けて二発目の『ボルテックファイア』を上段から放つ。
炎雷がインプを襲うが、先程とは違い、逃げ場を失い炎雷と地面に挟まれたインプは、全ての力をその身に浴びてそのまま消滅した。
「うまくいったな」
上手く前回の戦闘の経験を活かす事が出来た。インプの能力と戦闘パターンを把握して戦闘を想定通りにコントロールする事が出来たと思う。
インプを倒す事に成功したので俺の右前方で戦っていた葵に目をやると、葵はまだミルオコレオとの戦闘を継続していたので俺もすぐさま戦闘へと加わる。
「『アイスジャベリン』葵、待たせた。俺も一緒に戦うよ」
「ありがとうございます。凛くんこのモンスターは口から溶解液を吐き出します。射程もかなりあるので近づき過ぎないでください」
「わかった」
溶解液か……確かに周囲をよく見ると地面の数箇所が不自然に溶けている。
アスファルトを溶かす程の溶解液をまともにくらえば、只では済まないのは間違いない。
もし顔にでもくらえば大惨事になる。
となれば、距離をとってスキルで押し切るしかない。
「『ライトニング』どうだっ」
葵とは違う系統のスキルを発動してミルメコレオの反応を見る。
雷がミルメコレオに直撃するが、消滅には至らない。
「凛くん、あのモンスター胴体部分が蟻の装甲で覆われているせいかスキル耐性が高いようです。頭部は溶解液を吐きますし厄介ですね」
「俺が注意を引きつけるから、葵は後ろに回ってから後頭部を狙ってくれ」
「わかりました。凛くんも十分注意してください」
正面からしとめるのが難しいのであれば後方にまわって、装甲の薄い箇所を狙い撃てばいい。
俺は距離を取りながらミルメコレオの正面に立ちスキルの発動を開始する。
「こっちだ。こっちにきてみろ。『ウインドカッター』 『エクスプロージョン』 『アイスジャベリン』
スキルを順番に放っていく。
ミルメコレオは思いの外俊敏な動きで俺の攻撃を回避していくが、俺の役目は注意をひきつけ葵が背後へと回り込む為の時間を稼ぐ事だ。
構わずスキルを発動する。
「おい、よそ見するんじゃないぞ。『ウインドカッター』 『アイスジャベリン』
ミルメコレオが俺のスキル発動に合わせて口から青色の溶解液らしきものを吐き出した。
口から吐き出された液体に空中で氷の槍が触れた瞬間、氷の槍は一瞬で消え去ってしまった。
あの溶解液、スキルで生み出された攻撃も溶かすのか!
葵が正面から倒せなかった理由はこれか。
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