第83話 バレンタインバトル
「葵、あれって何のモンスター? もしかしてキメラ? いやでもキメラはDランクなんじゃ……」
「わたしも見るのは初めてですけど、おそらくあれはミルメコレオではないでしょうか」
「ミルメコレオ?」
「はい、ライオンの頭に蟻の胴体を持つと言われるモンスターです」
「初めて聞いた」
「Eランク上位のモンスターのはずですが、海外のモンスターでこの辺りで出現したというのは聞いた事がありませんね」
ミルメコレオか。
初めて聞く名前だが、大きなライオンの胸部から下には巨大な蟻の胴体がつながっており、怒り狂ったように暴れているので特に目立っている。
そしてその両脇にはオークとインプが控えていた。
ミルメコレオの能力がわからないがインプがいる時点で苦戦は必死だ。
全てのインプがスキルレジストの能力を備えているのかはわからないが、もしそうなら葵とは相性が悪すぎる。
「葵、オークとインプは俺がやるから葵はミルメコレオを頼んでいいか?」
「はい、大丈夫です」
「敵の能力がわからないから無理はしないで」
「わかっています」
前回の戦いで学んだがインプに中途半端なスキル攻撃は通じない。至近距離から強力なスキルの連発。
俺はスキルの射程範囲まで全力で駆けて行って
「いけっ!『ライトニング』」
オークに向けて雷を放ち、雷撃がオークを襲い消滅へと追いやる。
ここまでは予定通りなので、戦いはここからだ!
「もう一発だ。『ライトニング』」
続け様にインプへと雷撃を放つが、前回同様緑色の光が発生し、インプを倒す事は出来なかった。
やはりこいつもスキルレジストの能力を持っていた。
俺は両手にサバイバルナイフを携え、更にスキルを発動する。
「これからだ。『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』」
表示はおかしくなったが問題なく発動する『アイスジャベリン』を連発して距離を詰めるが、問題は今回のインプが前回とは違い手に武器を持っている事だ。
モンスターの膂力であれを振るわれたら、俺のサバイバルナイフなど一瞬も保たないだろう。
ただ前回から俺もレベルアップしている。
俺の劣化スキルがレベルアップによりどの程度威力が上がっているのかは、正直怪しいがそれでも前回戦った時よりもダメージを与える事はできるはずだ!
とにかく近距離から当てる。その事だけに意識を集中する。
俺がスキルを発動している間はインプもほとんど動きは見せないので、すぐに距離は詰まる。
「くらえ!『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』」
数メートルに迫った位置から爆炎を連発してインプを攻撃する。
「ガハァ」
インプが苦悶の表情を浮かべ声を漏らした。
その姿と表情から『エクスプロージョン』の熱を逃しきれていないのがわかる。
これは完全に効いている。
更に追撃をかける。
「まだまだいくぞ。『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』」
確実に倒す為にもこの攻撃でダメージを稼いでおきたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます