第70話 フルスキル

スキルを放てる回数は限られているので絶対に外せない。


『ウインドカッター』


狙いを定めて一番左のギガントオーガに向かって風の刃を放つがあっさりとジャンプで躱される。

オーガの上位種なのだから当然そうなるよな。


「逃がすかっ!『ライトニング』」


空中のギガントオーガに向けて雷を放つ。

雷が命中しダメージを与える事が出来たが、動きを完全に封じる程では無い。

もう一体のギガントオーガもこちらをターゲットにして向かって来ているので躊躇している時間は無い。


「もう一発だ!『ライトニング』」


三発目の『ライトニング』を発動して追撃をかけると同時にもう一体のギガントオーガに向けて『アイスジャベリン』を放ち動きを止める。

一体目のギガントオーガは二発の『ライトニング』をくらい、かなりダメージを負っている様に見えるのでしばらくは大丈夫だろう。

問題はもう一体のこいつだ。

もう『ライトニング』は使い切ってしまったので残るスキルのうちで確実に有効だと確信出来るのは『ボルテックファイア』の二発。

これを確実に叩き込む必要がある。

俺は後方に下がりながら近付いて来ようとしているギガントオーガに向け『ウィンドカッター』を放ち牽制する。

覚悟を決めたからか不思議とこの大型のオーガを目の前にしても、それほど怖さは感じない。

こいつらを倒さなければ葵に危険が及ぶ。

それだけは絶対にダメだ。

そう思ったら怖さよりも集中力が勝り、いつもよりも冷静な自分がいる。


『エクスプロージョン』 『アイスジャベリン』」


使えるスキルをギガントオーガに向け順番に発動して行くが、スピードがあるので当たりはするが、完全には捕らえきれない。

やはり動きを阻害した上でスキルを叩き込みたい。

足を狙って『ウインドカッター』連発すると、俺の意図通り避ける為に上方にジャンプしてくれたので、狙いすまして『ボルテックファイア』を放った。

炎雷が飛んで行き空中のギガントオーガを直撃し、燃え上がる。


『ガアアアアァアア!』


やったか?

あ……

やばい……

俺の視界の端に『ライトニング』でダメージを負わせ、その場に留め置いた筈のもう一体のギガントオーガが迫ってきているのが映った。


「くっ!『ボルテックファイア』」


極限の集中の副産物なのか全ての動きと景色がスローモションのように感じるが、咄嗟にスキルを発動して迎撃する。

発動したスキルは向かってきていたモンスターに至近距離からカウンター気味に命中して、ギガントオーガの胴体を燃え上がらせながら風穴を開け消滅させる事に成功した。

どうにか一体を消滅に追いやる事に成功したが、これで『ボルテックファイア』も撃ち尽くしてしまった。

葵の方に目をやるが、まだ交戦中なので俺へのフォローは期待出来そうにない。

必然的に目の前に残っているもう一体のギガントオーガは俺がどうにかするしかなさそうだ。


『ウィンドカッター』


『ボルテックファイア』の直撃を受けたので、かなりのダメージがあるのは間違い無く、風の刃もあっさりと命中するが、やはり傷が浅い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る