第56話 レベル8

「凛くん、ちょっと凄過ぎないですか? Eランクのトロール二体を一人で完勝ですよ? Eランクの私でもトロール二体はきついです。それを凛くんは……」

「まあ俺が凄いんじゃ無くて神木さんのスキルが凄いんだよ。まさかトロールを一撃でしとめられるとは思っても無かったからね」

「それはそうかもしれませんが『ボルテックファイア』でトロールを一撃ですよ。もしかしたら今の凛くんならDランクのモンスターでもなんとかしてしまうかもしれません」

「いや、流石にそれは無理だって。俺はまだFランクだよ」


まあ、スキルの威力には俺も驚いたけど、Eランクを二体倒したので念のためにステータスを確認するとレベルアップしていた。


サバイバーLV8


スキル  『フェイカー』(《エクスプロージョン2》《ボルテックファイア1》《ライトニング1》《アイスジャベリン4》《ウインドカッター3》


レベルが8となった今回は模倣出来るスキルが増える事は無かったが、全ての模倣スキルの使用回数が一回ずつ増えていた。

使い切っていた『ボルテックファイア』と『ライトニング』の使用回数が1になっていたので、使える回数が増えたのは間違いない。

今の段階では使える模倣スキルが増えるよりも使用回数が増えた事の方が大きい気がする。

神木さんの模倣スキルの使用回数が増えたという事は、これでEランクのモンスターを複数でも相手にする事が可能になった事を意味している。


「葵、さっきので俺レベル8に上がったみたいだ」

「スキルが増えたのでしょうか?」

「いや、今回は全模倣スキルの使用回数が一回増えたよ」

「それは『ボルテックスファイア』や『ライトニング』もでしょうか?」

「うん、そうなるね」

「凛くん、冗談では無く今の凛くんはDランクに近いです。完全に私よりも強くなっています」

「う〜ん、葵は俺の事ちょっと過大評価しすぎだよ。確かにスキルは使える様になって来たけど、ステータス

はあくまでレベル8だからね。レベル11の葵には敵うはずもないよ」


それにしても今日は魔核が四つで二十五万円を超えるはずだから二人で分けても一人十万円を大きく超えている。

葵とパーティを組んでからも順調に収入は増えているので、もう少し稼げたら装備を増やしてもいいかなと思う。

それから年末までに二回程モンスター討伐の呼び出しがあり,2回ともに無事完了したが、そのタイミングで葵がレベルアップしてLV12となった。

葵の場合目に見えるところでは、スキル使用上限回数とスキルの威力の増加、見えないところでは身体能力を含めたステータスアップしている。

冬休みになり、俺達の活動時間が伸びたのとは逆に普段専業サバイバーの人達は年末年始に休みを取っているので依頼が増えて来ているのかもしれない。

一日中勉強をするのも煮詰まってしまうので、俺にとっては依頼があると助かっているが、今日も帰ってきてからしっかりと勉強をする事となってしまった。

勉強が終わってから蒼と約束した通り、一緒に手袋を買いに行ったが、葵の編んでくれたマフラーに似ているデザインの手袋を選んだ。

母親にも今月の仕送りを済ませたが、多く送りすぎるのも問題になりそうなので十万円を送っておいた。それでも以前よりは格段に増えているので足りないと言う事は無いと思う。

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