第46話 オールスター
ゴブリンには高火力のスキルは使えない。
「時間はかけられない。いくぞ!『ファイアボール』 『ファイアボール』 『ファイアボール』」
全て使い切るつもりで『ファイアボール』を連発する。火球により火傷のダメージを与えるが俺の中でも最弱のスキルである『ファイアボール』ではゴブリンを倒すには至らない。
速攻で『ファイアボール』を撃ち尽くして、他のモンスターが迫って来る前にしとめる。
「消えろ!『エクスプロージョン』」
更なる炎がゴブリンの身を焦がし消滅へと追いやる。
俺はすぐに次のモンスターへと目を向けるが、残る三体は同じ場所に固まっているので、一気に片をつけたい。
「決まれ!『エクスプロージョン』」
三体の中で一番倒しやすいオークに向けて爆炎を放つが、スキルの発動の前にトロールの影へと身を潜めてしまった。
大柄なオークだが完全にトロールの背後に身を潜めダメージを与える事が出来なかった。
先程の動きは明らかにこちらのスキルを意識した動きだ。
豚の癖に頭を使って来た。
俺の位置からオークを倒すには先にトロールを倒す必要がある。
予定とは違うが仕方が無い。
「お前にはこれだ!『ウィンドカッター』」
トロールの足に向かって風の刃を放つが、その瞬間を見計らったようにオーガが猛然とこちらへと迫って来た。
「やらせません!『エクスプロージョン』 凛君大丈夫ですか?」
「ああ、助かったよ」
ゴブリンを倒した葵が、俺に向かって来ていたオーガにスキルを放ち勢いを殺す。
葵のおかげで事なきを得たが、先程のうごきもスキル発動の直後の隙を狙って来た。
連携とまでは言えないが、明らかに三体である事を意識した動きを見せている。
今まであまり意識した事は無かったが、もしかしたらモンスター同士で何かしらの意思疏通を図っているのかもしれない。
「葵、予定とは違うけど一緒にオーガから倒そう。あいつさえ倒せば後はどうにかなる」
「わかりました」
動きの鈍い他の二体はオーガさえ先に倒してしまえば、俺たち二人で十分対応出来る。
俺はトロールの足止めの為の『ウィンドカッター』を放ち、続け様にオーガに向けて『ライトニング』を発動する。
『エクスプロージョン』
葵もオーガに向けてスキルを発動する。
先に放たれた葵のスキルでその場に止まっていたオーガは『ライトニング』と葵の『エクスプロージョン』を同時にくらい、その身を焦がし膝をついた。
「倒れろよ!『アイスジャベリン』」
「これで終わりです。『ウィンドカッター』」
氷の槍がオーガの頭部を捉え、葵の放った風の刃がオーガの首を刈り取った。
「葵、もうちょっとだ。『ウィンドカッター』」
「はい、決めます。『ウィンドカッター』」
二人でトロールの足に向けてスキルを発動する。
葵の放った風の刃が、トロールの右足を大きく抉る
『ライトニング』
足の止まったトロールに向けて俺の最大火力のスキルを発動する。
『ア;ア;ア;ァァァ』
トロールの断末魔が聞こえてくる。あと少しで終わりだ。
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