第27話 パートナー
このシーフード味の麺もかなり美味しいと思うのだが、何が問題なんだ?
葵だって美味しそうに食べているのに。
「ご馳走様でした」
「うん」
「それでは、早速今日から凛くんの端末と私の端末をリンクさせましょう」
「ああ、分かった。これからよろしく頼むね」
「こちらこそよろしくお願いします」
俺と葵の端末をリンクさせてからパーティ設定を行った。これで本当に葵とパーティになる事が出来た。これから通知が来る時は俺と葵の両方に届くことになる。
「それじゃあ、簡単な決め事をしておくね。魔核は二人で半分ずつで、絶対に無理をしない事。危ない時は即退却ね。本当に危なくなったら俺を置いて逃げて。あと受けたく無い時は依頼をきちんと断る様にしよう。それぐらいかな」
「う〜ん、一応分かりました。やっぱり凛くんは不思議な人ですね」
「そうかな? 普通じゃない?」
「ふふっ、そう言うことにしておきます」
それから何故か葵の部屋にあったTVが俺の部屋に運び込まれる事となった。俺としては久々のTVにテンションが上がったが、明日から葵はTVをどうするつもりなんだろうか? 見なくても大丈夫なのだろうか?
運び込まれたTVを二人で見ながら過ごしているうちにあっという間に夕方になってしまった。
「葵、晩ご飯どうする? カップ麺ならあるけど」
「…………凛くんは晩ご飯もカップ麺を食べるんですか?」
「え? 他に何もないしそのつもりだけど」
「……ダメだと言いましたよね」
「でも……他には何も……」
「凛くん、キッチンと冷蔵庫を見せてもらってもいいですか?」
「それは別にいいけど……」
そう言うと凛はスタスタとキッチンと冷蔵庫の確認を始めた。
「……本当に何も無いですね。炊飯器もフライパンも無いのですね」
「まあ、料理しないからね」
「ちょっと待っててくださいね」
そう言うと凛は自分の部屋に戻って行ったが一体どうするつもりだろうか。
呆れて帰ってしまったのでなければいいけど……
それから十分ぐらいすると葵が戻って来たが、その手には炊飯器と調理器具らしき物を提げている。
「葵、それは……」
「はい、本当に何も無かったので私の部屋から持ってきました。二食続けてカップ麺はダメです。これから食材を買いに行きましょう」
「食材? でも俺作れないんだけど」
「もちろん私が作りますので心配無用です」
「葵が作ってくれるの? でもなんか悪いな」
「いえ、私達はパーティを組むパートナーなのですから、このぐらいは当たり前です」
パートナーか。
確かに二人組のパーティなのだから言い方としてはパートナーと呼ぶのが最適かもしれないが、なんとなく気恥ずかしい感じがするが男女の正規パーティだとこのぐらいは当たり前なのだろうか?
女の子とパーティを組んだ事も正規パーティを組んだ事も無いので、そこら辺の事はよく分からないが、葵がそう言っているのだからそうなのだろう。
俺は葵に言われるままにスーパーマーケットへ葵を連れて行き食材の買い出しをしたが、そもそも調味料もお米も何も無いので結構な量を買い込む事になってしまった。
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