青春なんてものは

@12EN

第1話

青春なんてものは存在しない。そう気づいたのは、一体いつだっただろうか。



朝起きて、学校へ行き、授業を受け、友達と喋り、部活をやって、家に帰る。そして眠る。朝が来る。


辛いと感じたことは、殆どない。でも、自分が今輝いていると感じたことも、1度もない。



ベッドに横になり、スマホを開く。こうして今日も、今日が終わ——


「っなに、これ...」


目の前に景色が広がる感覚。風が吹き、鳥の声が聞こえる、気がする。


「朗読...」


誤タップで開いた15分弱の動画。声のみのそれが、脳に映像を流し込む。


大量の思考が頭の中を駆け巡っていく。まだ小さかった頃、好きだった本。小説を読んで失神したという、国語の教師の話。


あの頃の輝きを。血が沸くような興奮を。



僕でも、味わえるだろうか。



最初の言葉を訂正しよう。青春なんてものは存在しない。ただ、作り出さなければならないだけだ。

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