第71話【盗賊顔負けの脅し文句】
「この盗賊団のリーダーはお前か?」
装備品でリーダーの目星をつけた僕は盗賊のひとりを問い詰めた。
「ーーーそうだ。
お前は一体何者なんだ?俺達は一体なにをされた?」
拘束の魔法で口は動くが体を動かすことが出来ずに怯えた様子で答えた。
「盗賊に名乗る名前は無いが冒険者だとだけ言っておこうか」
僕は盗賊のリーダーにむかって幾つか尋問をした。
「お前達のグループはこれで全員か?
それとも別に行動している奴らがいるのか?」
「居たらどうするつもりだ?」
盗賊のリーダーが畏怖の目で僕を見ながら逆に聞いた。
「そうだな。
面倒だが居場所を吐くまで拷問でもするかな。
見逃してあとで無関係な人を襲われては目覚めが悪いからな。
その時はお前達全員始末してから残りを探すことになるだろう。
で、どうなんだ?」
僕は盗賊のリーダーに対して威圧を強めて言葉で脅した。
「くっ、俺達だけだ。
俺のグループはこれで全員だ」
「そうか。
まあ近くに潜んでいない事はわかっていたから、そうだと思っていたよ。
じゃあ一緒に連れて行きたい者を二人程選びな。
それ以外は始末させてもらうから早くするんだな」
「なっ!?気を失っている者を処分すると言うのか?無抵抗な子分を?」
「はっ?お前がそれを言うのか?
お前達はさっき何をした?
そこの家族に対して何を言い何をしたのか覚えてないのか?」
「ぐっ!」
盗賊のリーダーは歯噛みをしたが何人も殺しておいて自分の番になった時に命乞いするのは都合が良すぎだ。
それに僕は盗賊は人とは思ってない。
人の道を外れた者は外道として処分するのが良民のためと考えている。
「まあ、どうしても生かして欲しいならば、おとなしく街の衛兵に突き出されて裁きを受けるならこの場での命だけは見逃してもいいが、道中少しでも抵抗したり逃げようとしたら即始末するぞ」
ここで始末してもいいのだが、やはり死体を放置するのは少々気が引けるのも事実だった。
「・・・わかった。お前の指示に従おう」
(まあ、そうだろうな。
でなければ即死刑確定だからな。
でも街に行っても盗賊は死罪か犯罪奴隷になるかだと思うんだけどな)
僕はシミリとディールに盗賊達を門兵に引き渡す旨を伝えてからロープを盗賊達の手と首にかけていった。
その後、全員を起こした僕は盗賊達に宣言した。
「お前達のリーダーの希望によりこれから全員リボルテの街にて門兵に引き渡すことになった。
途中でひとりでも逃げようとしたり反抗した者がいたらその場で全員始末する。
いいか、全員だ!僕は今まで盗賊を何人も始末してるから
もし不満がある者が居たら名乗りをあげれば直ぐに楽にしてやるぞ」
どっちが盗賊がわからない台詞を宣言した僕は反論がないのを見てリボルテへ馬車を進めた。
「こんなに盗賊を連れて行って、大丈夫ですか?」
シミリが心配そうな顔で僕に尋ねてきた。
恐らくリボルテの入り口で大騒ぎになるだろうと考えているのだろう。
「そうだな。まあ、少しだけ面倒な事になるかもしれないけど何とかするよ」
僕がそう言うとシミリは軽く頷いて馬車の操作に集中した。
ーーー3日後、僕達はリボルテの入り口にたどり着いていた。
護送の衛兵を多数引き連れて・・・。
「ありがとうございました。
おかげで無事に盗賊達を街まで護送することが出来ました」
僕は護送の隊長をつとめる男にお礼を言って握手をした。
「こちらこそ市民に被害が出る前に盗賊団を捕らえる事が出来たのは非常に喜ばしい事であります。
ご協力感謝します」
実はあれから直ぐにリボルテからカイザックへのギルド便を運ぶ冒険者が通りかかり、話を聞いた一人がリボルテへ馬を走らせてくれたのだった。
話を聞いた衛兵達が慌てて護送用の馬車と人数をかき集めてくれて迎えにきてくれた。
おかげでトラブルも無く門の前で騒ぎになる事も無く無事にリボルテの街へ着くことが出来た。
まあ、守衛室へのご招待と冒険者ギルドへの呼び出しは当然あったのだが・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます