第7話【プレートの改ざんと急病人】
僕はステータスプレートの数値について考えていた。
(ステータスプレートの表示隠蔽工作をするのはいいけど、一般的にはどのくらいの数値ならば怪しまれないのかな?
たしか数値的に100くらいが平均だと聞いたような気もするけど・・・)
僕はそんな事を考えながらプレートの表示偽装についてもイメージしてみた。
(今の数値を上書きするイメージだからプレートの前側にマスキングレイヤーをかけておいてそこに見せたい数値を上書きすればうまく行きそうな気がするな。
だけど、僕と違って創造魔法を持たない人達ってどうやって改ざんしてたのかな?)
僕はふと疑問に思ってプレートを色んな角度から調べてみた結果、プレートには魔力が流されており、項目ごとの魔力の多少により数値が変わるような仕組みになっているようだった。
(なるほど。この原理ならばあげたい項目に魔力を追加して定着させる技術があれば偽造し放題って訳か。
ただ、この方法は数値を増やす事は出来ても減らすことは出来ないみたいだな。
そもそも僕のプレート数値のほとんどは99999だからどうしようもないな。
やはり当初の予定通りマスキング隠蔽の方向で処理をしておこう)
僕は固有スキルの
職業【農夫】
筋力【150】
体力【150】
知力【99】
魔力【99】
速度【99】
追加称号【なし】
(こんなものかな?農夫だけど筋力と体力が多めだから冒険者を目指してるって話しならそんなにおかしなことはないよな?たぶん。
後はスキップ登録をするかどうかだけど、多分このステータス程度だと良くてEランクからだろう。
Eランクで登録するためだけでステータスやスキルを開示するのはリスクが高いよな。
だいたいステータスの確認は数値と職業を見るだけなのか、それとも何か魔力を測定する魔道具を使って改ざんが無いか調べるのかが分からないから出来ればやめた方が無難なのか?)
色々と考えたが、とりあえずプレートの表示隠蔽は上手くいったようなので急に誰かに見せることになっても慌てなくて済むかと一息ついてベッドに寝転んだ。
(プレートの処理もうまくいったしランクの事は後で考えるとして、これから冒険者として活動するのに便利な魔法を作ってみよう)
僕はそう思い、前世での知識を活かして魔法を創造することにした。
(そうだな、冒険者で一番大変なのは荷物や獲物を運ぶ事だと思うから“収納魔法”や“アイテムボックス魔法”にしようかな、うまくいけばきっと楽に冒険が出来るぞ)
そう考えた僕は色々と試してみたのだが、イメージのやり方が悪いのかそもそもこの世界では不可能なのかは分からないが少なくとも今の僕には無理だと言う事だけは分かった。
魔法がうまく行かなかったので、
勿論これもこの世界ではあり得ない技術であるだろうから他人には迂闊に見せる事は出来ないだろう。
(見た目の大きさは小さなサイドバッグくらいだがある程度の荷物を出すのに不審がられない為にも少し大きめのリュックサックを用意して物の出し入れは誤魔化すことにするか)
とりあえず2~3日この村に留まって村人から情報収集をしてから隣街に行くことに決めて休む事にした。
次の朝、食事をするため食堂に出てきた僕は何やら辺りがざわついているのに気がついた。
「どなたかお客様の中に医者か薬師が居ないですか?若しくは治療の出来る冒険者でもいいです」
見ると、食堂のカウンター付近で医者を探す男性が叫んでいた。
「落ち着いてくださいウスビーさん!一体何があったのですか!?」
宿屋の主人が厨房から飛びだしてきて男の肩を掴んで落ち着かせながら話を聞いた。
「娘が娘の容態が急に悪くなったんだ!苦しそうにもがいていてとても見てられないんだ!治癒士のいるイプシロまでは早くても3日はかかる上、とても移動には耐えられそうにないんだ!」
「ウスビーさん。そうは言ってもここには医者は常駐していないし治療が出来る上位の冒険者がこんな小さな村に偶然来ている可能性も低い。村にある備蓄薬で対応出来ないものはどうしようもないんですよ!」
「分かっている!分かってはいるんだが一体どうすれば!!」
「何かあったのですか?」
僕は話しの流れから大方の予想はついていたが念のために話を聞いてみることにした。
「ああ!いきなりですみませんが先日Dランク冒険者のデルターさん達と一緒にお食事をされていた方ですよね?
もしかしてあなたも冒険者ですか?もしそうなら治療薬をお持ちではないですか?」
「誰か急病人でも居るのですか?」
「はい!村長のウスビーさんの娘さんが病気で発作が出て苦しまれているそうなんですが村に治療出来るものがおらず誰か居ないかと宿泊客にも聞いていたのです」
(正直あまり目立ちたくないけど人の命がかかっているならば仕方がないな)
「そうですか。私はまだギルドに登録をしていないので正式には冒険者ではありませんが医療の知識は持っていますので、もしかしたら力になれるかも知れません。
但し私は正式な医者ではありませんのでそれだけは了承してください」
「なんと!本当ですか!?それで構いません!是非よろしくお願いします!娘を!娘を助けてください!」
ウスビーが僕の手を握りしめて必死の形相で頭を下げてお願いをしてきた。
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