第6話【商人からのお礼と重要な情報】
「オルト殿、この度は本当に助かりました。
護衛リーダーのデルターからお聞きしまさしたが、あなたの助けが無かったら全滅していたかも知れないとの事。
たいしたお礼は出来ませんがせめてこれを受け取ってください」
村に着いた僕はデルターから依頼主に紹介され感謝の言葉と謝礼を貰った。
緊急時の助っ人なので謝礼は全く考えてなかったが律儀な商人だったらしく銀貨と着替えの服を渡してきたので有りがたく受け取った。
その夜、デルター達と村で唯一の宿屋兼食堂で無事を祝う食事会が開かれた。
商人から謝礼を貰ったので割り勘にしようと言ったが、護衛達も助かった命に感謝して今日の食事と宿泊費を出すと言ってきかなかったので僕は好意を受ける事にした。
「なるほど。冒険者にはランクがあり、上はSランクから下はFランクまである。新人は基本的にFランクで登録されるが登録時のステータス確認で優秀な者はスキップ登録が認められる事がある。か・・・」
「ああ、お前さんの力なら間違いなくスキップ登録は認められると思うがギルドの内情がよく分からない場合は気をつけた方がいいぞ。
スキップ登録する実力者はまずギルドから目を付けられる。
ああ、悪い意味じゃなく“使える冒険者”ってやつだ。
何か面倒事や強い魔物、盗賊の討伐依頼とかを指名依頼で入れてくる事が多く発生するだろう。
こっちもスキップ登録させて貰った手前、断りづらくなるって訳だ。
しかもスキップ登録の時はステータスやスキルの確認があるから自分の得意技や苦手なところ、まあ数値の低いところがギルドにバレてしまうからある意味弱味を握られることにもなるんだよ」
デルターは酒を片手にギルドについて教えてくれた。
「ふむ、なるほどな。それで、スキップ登録しなければFから始まるけどステータスは見せなくても大丈夫なのか?」
僕は一番気になる事を聞いてみた。
「なんだ、今の話しを聞いて怖じ気づいたのか?お前さんの実力なら大丈夫だと言っただろ?
まあ、訳ありでステータスを開示出来ないのならFランクならば名前と年齢を登録するだけで大丈夫だがな。
しかし、Fランクの依頼はショボいぞ、内容も依頼料もな」
(まあ、そうだろうな。しかし、Fランク登録ならステータスの開示は不要とは良いことを聞いたぞ。
今夜にもステータスプレート表示部分の隠蔽工作をやるつもりだが、上手くいかなかったらFランク登録にするか)
「冒険者登録については大体分かりました。
色々と情報をありがとうございました。
で、次は“魔法”についてお聞きしたいのですが、この辺りでは魔法を使う方は少ないのですか?
また、もし使う方がいるならばどんな魔法を使われているのですか?」
僕はこの際だと思い、魔法についても情報を引き出すようにしてみた。
「そうだな、もっと国の中心部の王都に行けばそれなりに使い手も居るらしいが、こんな
隣街のイプシロでも治癒士が1人居るだけで攻撃魔法なんて使える奴は居なかったと思うぜ」
(ふぅむ、やはり思っていた通りか。
あまり派手に魔法を使うと直ぐに権力者が出ばって来そうな感じだな。
となるとギルド登録もあまり目立たないほうがいいかな)
聞きたかった情報を得た僕はデルターにお礼を言い今回の件は広めないで欲しいと口止めをお願いした。
「最後に皆さんに頼みがあるのですが。
今日の事、特に攻撃魔法に関して秘密にして欲しいのです。
訳あって、僕はあまり目立ちたくないのです。
と言うのも山奥に暮らしてた世間知らずの僕はギルドや貴族等からいいように利用されるために街に出てきた訳じゃないし、もっと自由に世界を見て見たいんです。
その為にも僕の事は黙っておいてください。お願いします」
僕の真剣な頼みにデルター達は快く頷いてくれた。
(まあ、いつかはバレる日がくるだろうけど伝達速度の遅い時代だからヤバそうになったらどんどん街を移動すればいいだろう)
僕は何度も他言無用の件とお礼を言うと宿屋の部屋に向かった。
部屋に入った僕は、荷物をベッドに放り投げてから床に座り込みステータスプレートを取り出した。
(さあて、まだ時間は早いからゆっくりとステータスプレートの隠蔽を試してみるとするか)
僕はニヤリと笑みを浮かべながら魔法のテストを繰り返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます