マブダチの恋を叶えるため、邪魔な女(幼馴染みキャラ)の悪役になる
Rayca
第1話 マブダチからの恋愛相談
俺の名前は
いかつい名前を付けられていることから察しがつくと思うが、俺の両親は筋金入りのヤクザだ。
俺自身は不良なのかって? 俺は違う。喧嘩なんて面倒なこと、誰が好き好んでやるかっての。俺はあくまでパンピーとして、平穏な人生を送れればそれでいいと思っている。
ただ、ヤクザの両親に育てられた以上、どうしても口調が荒くなりがちらしい。クラスのヤツらは俺と会話すると、すぐにビビってもう話しかけてこなくなる。
口調だけなら気を付ければなんとかなるが、不幸なことに俺は図体が無駄にデカく、目つきもすこぶる悪い。そんなヤンキーみたいな見た目をしている上に、親がヤクザという肩書きも合わさって、周りは勝手に俺を恐れる。という訳で、そもそも話しかけてくるヤツがいないのだ。
だがそんな俺と、ダチになってくれたヤツが一人だけいる。
「お、亜怜輝! ここにいたのか!」
「よう優人。何か用か?」
「相談したい事があるんだ。聞いてくれるか?」
いつになく真剣な表情。何か悩みでもあるのだろうか。まあなんにせよ、数少ないダチの頼みだ。聞いてやるに決まってる。
「いいぜ。何でも言ってみろ」
「サンキュー。実はな……好きな人ができたんだ」
「ほう」
恋愛相談か。恋なんてしたことねーんだが……力になれるだろうか。
「これお前にしか教えてない秘密だからな!? 絶対に言いふらすなよ!?」
「分かった分かった」
そもそも話せるヤツがいねーよ。会話する相手なんてほぼテメーしかいねーんだからな。
「信じるからな。話の続きだけど、俺、その子にアタックしたいと思ってるんだ。そこで、第三者の意見も取り入れたい」
「ふむ。つまりどうアタックすれば良いと思うか、第三者の俺からアドバイスが欲しい、と」
「そういうこと! 頼まれてくれるか?」
恋愛経験などほとんどない俺が役に立てるかは分からないが、優人には世話になっているんだ。その恩を返すためにも、引き受ける以外の選択肢はない。
「任せろ。その恋、絶対に叶えさせてやる」
「ホントか! マジサンキューな! やっぱ亜怜輝って優しいヤツだぜ!」
優人は心底嬉しそうに、純粋で無邪気な笑顔でそう言った。フッ、この俺に優しいなんて言うやつなんざ、テメーくらいだよ。
せっかくだ。アドバイスだけでなく、できる限りのサポートもしてやろう。絶対に叶えると言った以上、やるからには本気だ。
「で、誰なんだ? その惚れたヤツってのは」
「
南 茉莉花……ああ、あいつか。よくは知らないが、確か黒髪ショートカットのどっちかというと大人しめのヤツだ。
目立って輝いているというわけではないとはいえ、顔はそこそこ整っている方だ。惚れるのも分からんでもない。
「なるほどな。優人はああいう見た目のヤツが好みなのか」
「い、いや、確かに見た目も可愛いと思うけど! そこだけで好きになったわけじゃないというか……」
「と、いうと?」
「何というか……南さん、優しいんだよ。例えば、日直が黒板を消しているのを手伝ってたり、皆が行きたがらない教室のゴミ捨て役を毎回引き受けてたり……あと、先生の手伝い役もよく引き受けてる。そうやって、人があまりやりたがらないことを、南さんはいつもやってくれてるんだ。それで、良い人だなって思って見ていたら、好きになったんだよ」
照れくさそうに話す優人。……聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい、ピュアな理由だ。ま、南がそんなに心優しいヤツだってんなら、同じく心優しい優人とはお似合いといったところか。
「テメーの本気、伝わったぜ。全力で応援してやるよ!」
「お、おう。俺も頑張るよ!」
マブダチの純粋すぎる思いを聞いて、より一層この恋をを叶えさせてやりたくなった。こいつらの恋のキューピットとして、完璧に優人をサポートしてやろう。
まず優先すべきは……やはりあの女、もとい邪魔者の対処だな。
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