2-6 運命に立ち向かうために

「本当に、お世話になりました」


 私は宿屋のお爺さんとお婆さんにそう言う。私のあの服は綺麗に洗濯されていた。私は洗濯された服に着替え、宿屋の入り口の前に立っていた。


「もう少し、休んでいかなくて良いのかい?」


「……待ってる方が居ると思うのです。私の気のせいかもしれませんが」


「そうかい……事情は知らないが、気をつけるんだよ」


「はい! お任せください!」


 私はニッコリと微笑む。それから目的の場所へと歩き出そうと思ったけれど、一瞬立ち止まり、宿屋の方を振り返る。


「あの子を、よろしくお願いします。私が戻る、その時まで」


「あぁ、お安い御用だよ」


 私はニッコリと微笑むと、宿屋に背を向けた。


 私はあの村のお婆さんから貰った懐中時計を見る。時は一周して日は落ち、日付は変わろうとしている。もう逃げちゃ駄目なんだ。私は、立ち向かう道を選ぶ。


 何でお母様は殺されなければならなかったのか。


 私が持つ“原始魔法”とは何なのか。


 私はゆっくりと歩き出す。


 “彼”が待つ、ミスコット城へと……。

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