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 彼女は、止まることを知らない。


「仕事。」


 そう言って、入ったばかりのホテルを出ようとする。半分力ずくで、それを押し止めて、ベッドに押し倒す。


「仕事。仕事なの。仕事が。」


 そう言う唇を、奪う。


「あ。」


 ゆっくり、ただし、逃げられないように力をこめて。彼女を抱いていく。

 そうしないと、彼女は眠らない。たぶん、死ぬまで。だから、無理矢理にでもベッドに押し込めて、彼女がつかれて眠るまで。抱くしかない。


「愛してる」


 いちおう、愛を表明してみるけど。


「ん。」


 彼女は何も言わない。


「次の仕事。ネオンと星空が綺麗なんだって。」


 指先に力をこめる。


「う。」


 彼女から、思考を奪わないと。仕事のことを忘れてくれない。


「好きだから」


 そう言っても。彼女が止まることは、ない。そして、自分が止めることも、たぶん、できない。

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