第24話約束

「最近お兄ちゃん、事件のこと話さなくなったね」



「えっ、そうか?沙夜も話してない気がするけど」



沙夜は箸を置いた。



「私は諦めてないよ。犯人は絶対にみつける。お兄ちゃんはもう諦めたの?」


僕は沙夜の強気な声に思わずびっくりしたが


「僕だって諦めてないよ、なんとか証拠をみつけて犯人を捕まえたい、でも手がかりもない」



「お兄ちゃん、北條美咲に会ったでしょう」



「えっ、何でそれを」



「私も事件を追ってたから、北條美咲を捕まえたらお兄ちゃんに話したって言ってた。なんで黙ってたの」



「ごめん、でもこの事件に関わってる人がどんどん殺されていくから、沙夜がもしそんなことになったらと思って…」



「そう、でも大丈夫」


沙夜の両手が僕の頬に触れる。



「私は死なない、お兄ちゃんを残して絶対に死なないから、だから隠し事はやめて、私にもノートを見せて」



「わかった、ごめん。沙夜」


僕はカバンからノートを出した。



「これが北條美咲のお兄さんのノートか、今日帰ったら読むね」



「ああ」



「さっ、学校行こう」



「う、うん」



沙夜はくるりと振り返る。



「お兄ちゃん、さっきの約束…忘れないでね」



僕は沙夜に壊れた母の顔がダブって見えた。



もしかしたら沙夜も壊れているのか?


いや、もしかしたら壊れてるのは僕の方なのか?



「早く、遅刻しちゃうよ」



僕は黙って沙夜に付いていく。








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