第23話日記は語る
「僕らの最近とさ、お年寄りの言う最近ってちょっと違うよね」
僕は唐突に沙夜に話をふった。
「どう言うこと?」
「さっきの管理人さん、最近殺人が多くなったっていってたけど、僕らの最近は一ヶ月とか下手したら一週間前とかな気がするんだけど、お年寄りの場合、何年も前のことを最近っ言ったりするイメージなんだよね。」
「それ、偏見だよ。お兄ちゃん」
「そんなに気になるならネットで最近の殺人事件調べてみたら?」
「ネットは情報が出てこないんだよ、隠蔽されてる」
「考えすぎじゃない?」
「今日のお兄ちゃんなんか変だよ」
「そうかな?色々考えすぎて疲れたのかな、僕先にお風呂は入って休むよ」
「今日は一緒に寝る」
「えっ」
「何か不都合でもある?」
「いや、そんなことはないよ。てっきりもう僕と寝るのはいいのかと思ってたから」
なんかシスコンみたいになってないか僕…
まずいなこれじゃノートを見ることが出来ない。
沙夜が先に寝るのを待つしかないか…
数時間後、僕は襲ってくる眠気を耐えて、沙夜が眠りにつくのを待っていた。
沙夜はまだ寝ないようだ。
「寝る前にスマホ見てると寝れなくなるぞ」
「寝れないからスマホ見てるの」
「なんだか矛盾してるなぁ」
「私に気にしないで寝ていいよ、適当に寝るから」
「ああ、お休み」
ヤバイな、仕方ない一回寝て、夜中に起きよう。
僕は目を覚ました。時間を見た。午前3時だ。
念のため沙夜をみる。すーすーと寝息をたてて寝ている。
こうみるとほんとにかわいいな。いやシスコンじゃないぞ。
僕はこっそりとカバンからノートを出してトイレに入る。
北條が記したノート中身はいったい。
【俺の妹が殺された、犯人は見つからない、そこで俺は過去に同様な事件がないか調べた。それは三年前からだ。妹と同じように首を切られた殺人が起きていた。でもすべて事件は未解決。犯人は今もみつかってない。だが、こないだ引っ越して来た南川の親父が同じ手口で殺されていた、これは犯人を捕まえるチャンスじゃないのか、南川に接触をはかろう】
日記じゃないか…でも北條の妹が殺されたのは確か二年前、そして北條のしらべだと三年前から同様の事件が起きている。つまり同様の事件は今年で五年目ということか。
それでは呪いと関係ない。いや呪いに見せかけて殺人をおかしている犯人がやはりいるってことだ。
呪いなんかじゃない。これはそれを確証させるには充分すぎる日記だ。
しかし、このノート何枚か切り取られているな、ぺらぺらとノートをめくる。
殴り書きで、【のこぎり】【ピアノ線】【一年に一回】等のキーワードの類いが書かれている。
これは北條なりの推理なのか。僕はしげしげとノートに夢中になっていた。
明日もう一度北條の現場に行ってみようかな。僕がトイレのドアをあけると沙夜が立っていた。
僕は思わずノートを後ろに隠す。
「どうしたの、沙夜?」
「ちょっと目を覚ましたらお兄ちゃんがいなかったから」
「あ、ごめん。お腹痛くて、起こしちゃったね。あ、またお腹が痛くなってきた。沙夜まだ寝てていいよ。すぐにもどるから」
沙夜は黙って戻っていった。
びっくりした。でも沙夜をこれ以上巻き込みたくないからこのノートは僕だけの秘密にしなくては
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