第2話
私は、どちらかと言えば非モテの陰キャでした。
名前は、Aと名乗らせて頂きます。
保育園の頃は、モテていたそうで、男の子達が「Aちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ!」「Aちゃんとペアになるのは僕だ!」と、喧嘩していたらしいのです。
そんなエピソードを母に教えてもらいましたが、私の記憶にはそんな物はなく、むしろ小学生の時に、片想いしていたクラスメイトの人気者の男の子にバレンタインデーにチョコレートをあげたら校庭に捨てられたり、八年間片想いしていた幼馴染に告白したらまさかの同性愛者であったりと踏んだり蹴ったりな思い出しかないです。
ましてや、クラスメイトの女の子から「Aちゃん、男の子に興味なさ過ぎ!」と、誕生日プレゼントで名前入りのジャニーズのポスターをプレゼントされました。
更には、祖母に「この人はキムタク!SMAPとかKinKi Kidsてわかる?!」と、テレビや街中のポスターで教えられていた程です。祖母には「いい?美しい男性をしっかりと見ておきなさい!」と、滝沢演舞城に連れて行ってもらい、オペラグラスを渡されパンフレットまで買ってもらいました。
そんな私が改めて恋したのは、高校生の時。
女友達Eちゃんが片想いしていた他のクラスの陸上部のSくんでした。
EちゃんとSくんを見ているうちに、あまりにもSくんが格好良くて私もSくんを好きになっていました。
しかし、陰キャの私は話しかける事すら出来ませんでした。
Eちゃんに「Sくんカッコいいよね」と、話したら「私がSくんのこと好きなの知ってるよね?!」と、キツく言われました。
それを他の女友達に話したら、その女友達はEちゃんの事が嫌いだったらしく、それがきっかけで陰キャの私がクラスのイケイケ組の放課後のメイク練習に呼ばれる様になったのです!
まず、母にお願いして母のお下がりの眉書きとアイライナーとマスカラとビューラーをもらい、母にメイクを教えてもらいました。
そして放課後は毎日、イケイケ組の子達が持ってきたSEVENTEENやnon-noやヘアアイロンでメイク研究しました。そしてダイエットの為に毎日バスを使わずに一時間半歩いて帰ったり、パーマをかけたりしました。
そして、高校の卒業式。
「今日Sくんに告白出来なかったら最後だよ!」と、卒業式が終わった後に女友達に言われ、
「無理だよ!話したことないもん!」と、言ったら 「じゃあ私がAとSくんをふたりきりにしてあげるから!後は、A!頑張りなさいよ!」と、強引に手を掴まれてSくんのクラスまで連れて行かれました。
女友達がSくんを呼び出してくれ、
「ねえ!Sくん!A変わったと思わない?!」と、言うとSくんも、
「うん。なんか凄い雰囲気変わったな、と思ってたよ。」 と、なんと、話した事もないのに私を見ていてくれた様な返事をしてくれたのです!
女友達がそのまま「ちょっと他の子と写真撮ってくるから!」と、その場を去り、Sくんとふたりきりにされました。
沈黙が続きました。
そして私は、「わ、私も写真撮ってくる!」と、緊張のあまりSくんに目も合わせられないままその場を立ち去ってしまいました。
案の定、女友達やイケイケ組には怒られ、そのまま高校を卒業しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます