男子中学生の日常

1話 自己紹介は簡単じゃない。

　僕は自己紹介が苦手だ。簡単だと思う人がほとんどだろう。中には僕みたいに自己紹介が苦手な人もいることを理解してほしい。

　暖かくなりはじめ、新しい1年が始まる季節、僕は新しいクラスで自己紹介をすることになった。

　順番は3番目と直ぐだ。

　これは避けられな現実。 落ち着いて自己紹介を始める。

　前日に渡されたプリントには"趣味"という欄がある。

　趣味....そんなものない。気まぐれなんだから。

　唯一あるとすれば、平凡な暮らしをすること。

　朝起きて、パンを食べながらテレビを見る。見飽きたら、本を読んだり、

　ゲームをしたり...そのくらいだ。

　それを言えばいいじゃないか。

　だが人間は不思議な思考の持ち主で、なぜがそのあとのことをすぐに考えたがる。　だからどうしてもそこでつまずいてしまう...

　僕はその時あることを思い出した。僕は趣味でYouTubeをやっている。

　動画編集が大好きで、1日4時間以上はパソコンと向き合っている。

　このことを言おうと勇気を振り絞って言った。

「趣味で動画編集とかしてます。」

　するとクラスは騒然とした。

　これは僕の嫌いなパターン。このあと質問が飛び交う未来が僕には見えた。

　だから、そうなる前に自己紹介を終えた。

　やっぱり人生はそううまくいかない。

　先生が「質問ある？」と全員に聞いた。

　悪魔だ。この先生とは一生うまくいかないだろう。

　その後、10個以上の質問に答えた僕は、クラスの人と仲良くなった。

　でも、誤解されたままだ。みんなは僕が動画編集を趣味でやっていると思っておらず、ほかのYouTuberさんの編集者をしてると思われている。

　今更遅いから、なんとかうまくやり過ごしている。

　自己紹介は難しい。