第471話わたしを、正義の英雄のお嫁さんに仕上げてくれませんか?

  自分が彼女に向けていた酷く正直な言葉にからかわれているようにと、軽く口角を上げてくれていて、赤くなっていた鼻に、弱っているような息を吐き出してくる小夜の態度に、口角が斜め下の方向に向けて固定されているような気分になり、つい上手く彼女を守ることも出来ないで、勝手に指示を出していたダメな旦那である自分を罵ろうとしないでいる善良で、酷く優しく感じてしまう彼女を見上げていく資格が、真摯に自分と向き合ってくれている彼女に、奪わられているようにと強く感じている竜祥は、辛そうにと唇を噤んでは、目線を床に向けに言う、「お前に満足していけるような返答も…」顎が内心にある歯がゆい思いに震わされているように感じつつ、苦しんでいるようにと歯を食いしばってしまう竜祥は、切なげに声を発していき、「思いつけていないんだ…!」

  

  強く震えているような喉元からずっと強がって来ていて、自分を守って来ていたプライドの高い彼から見ればきっと凄まじいくらいに、恥ずかしい思いをしているのであろう言葉を絞り出して来た彼の様に、目を細められているように思いつつ、ぼんやりと彼の紅潮していた頬に付けていた両手で、彼の涙の粒を拭いていく小夜、「じゃ、」向きになっている子供のように、自分に彼の血走っている赤い瞳を向けようとしないでいる竜祥に、笑ってみようと思っている小夜は、右足からこみ上げに来る疼きを我慢していきながら、彼に尋ねていた、「あなたが満足していけるような方法は?」


  突然、有無を言わさずに自分の眉毛を軽く突いてくるような小夜が自分に投げに来た言葉に、眼光が有無を言わさずに彼女の方に向けられているようにと強く感じてしまう竜祥は、思わず漠然と渇いていたような唇を開けていき、「えっ…?」竜祥が自分に向けに来る間の抜けたような顔に微笑んで行きながら、どうしようもないくらいに追い詰められている旦那を、如何にか応援しては、支えていかないとと、自分の人生を支えて来たようにも感じてしまう竜祥の赤くなっていた鼻先にある鼻水を、丁寧に涙に濡らされていた両手の親指で拭いていく小夜は言う、「思いつけたのかな?」


  小夜のまるで自分の内心にある自称神であるシルエットに、一矢を向いて行きたいと言い思いを見破っていたかのような言葉を投げに来ていたことに、絶句されては、あんぐり口を開けられているような気分にされている竜祥は、思わず彼女の潤んでは、微かに充血しているような瞳から目を逸らしてしまいそうな気分になり、つい自分に彼女から目を逸らさないでいるような魔法でも自分にかけに来ていたのではないかと、思わせに来るような酷く綺麗にも感じつつ、透き通っていた空のような瞳を自分に向けに来る彼女の態度に、心を悩まされているような気分になり、苦しんでいるようにと強く渇いていた唇を噤んでしまい竜祥、「俺は…俺は…」


  丁寧に自分の涙を拭いてくれていて、無言でやけに言い淀んでいる自分の言葉を待ってくれているような小夜の態度に、心臓を鷲掴みにされているような気分になりつつ、思わず強く歯を噛んでいく竜祥は目一杯鼻翼に力を込めては、強く息を吸い込んでいき、「ただ…お前と一緒に居られるだけで…」悔やんでいるようにと強く両手を握っては、軽く震えている唇を白い歯で噛んでしまう彼は言う、「それで…いい…」自分の内心にあるシルエットに復讐していきたい思いが仇となっているような気分にされているように感じては、悔しそうにと強く痙攣しているような目線を小夜に向けにいく彼、「いいんだよ。」


  竜祥の彼の言う言葉を信じていないんだと、自分に教えに来るような、微かに自分に目線を逸らしていく姿勢に口角をくすぐられているように思えては、ぼんやりと目を細めていく小夜は可愛くアピールしていくようにと、彼が机に置いていた一本の注射器に一瞥して言う、「本当に?」いとも簡単に自分に嘘を紡いでいく権力を奪いに来ていたような、小夜が投げに来た言葉に心臓を抉られているような気分になり、つい彼女の瞳を見れなくなってしまったようにと強く思えている竜祥は、漠然と自分の頬に当てていた彼女の繊細な両手の存在を感じていく、「うっ…」


  まったりと自分の両手を連れては、動いていくような竜祥の頭の存在を感じて行きながら、軽く口角を上げては彼の瞳を見つめようとする小夜は、自分に頭を操られているようにと、ゆっくりと苦しみに満たされているような赤い瞳を自分の方に向けに来る彼に、真面目そうな顔を見せに言う、「嘘をつかないでよ、」自分が彼に投げていた一言に、驚かされているようにびくっと眉毛を跳ねらせに来る竜祥の顔に笑っていく小夜は軽く首を傾げては、シルエットが自分たちに知らせに来ていた、強化されていなかった人に残されている唯一健康体で生きていけるような方法を思い出して行きつつ、やけに疲れているようにと肩を起伏させている竜祥と、目一杯走って来たのに、まだ平然と彼に話しかけていける程の余裕を持っている自分と比べて見ると、つい常に彼に保護されて来た自分には、ようやくちゃんと彼を体を張っては、守っていけるようなチャンスが訪れたのかと、漠然と自嘲気味な事を考えている彼女は、まったりと息を吸い込んでは、全てを納得しているような声を彼に向けにいた、「本当の事を言ってみて?」


  小夜が自分に知らせに来る質問に悩まされているように感じつつ、漠然と机に置かれていた携帯電話に一瞥しては、彼女に自分の本当の思いを教えていた所で、如何にかなれるような問題でもないはずなのにと、やけに真剣な眼差しを自分に向けに来ている彼女に、言い聞かせて見たいと思ってしまう竜祥は強く右手を握っては、自分たちが話を交わしていく最中にも、発狂しているのであろう人々に何かしらの事をされては、無惨に殺されてしまう可能性があるのに、一刻も早く小夜に自分と共にあの世に行けては、そこでまた付き合い始めようとする言葉を向ける勇気を、持てないでいる自分を恨んでは、歯を食いしばっていく竜祥は、脳内を満たそうとしているような、自分がようやく手に入れて来た小夜との日々を、台無しにして来たシルエットの存在を思うと、つい憎まずにはいられないようにと強く考えている彼は、ぽつりと声を上げていき、「殺したい…潰したいんだ…」


  恐る恐ると自分が彼女に向けようとする表情と言葉に、少しばかり驚かされているようにと眉毛を跳ねらせにいく小夜の両手を軽く握っていく竜祥は、悔しそうにと歯を全力で噛む気力すら残してくれないでいる、シルエットと柱に向ける怨念が詰まっているような声を発していた、「あの柱も…あのシルエットも…」宛らやけに苦しんでいるようにと言葉を紡いでいく自分の態度に、弱らされているような小夜の目を細めている様を見上げて行きながら、何度も鼻翼に力を込めては、ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は言う、「俺とお前の大事な日々を奪いに来た全てのものを…」


  丁寧に自分の汚れていたような頬に触れてくれていた小夜の両手を握っては、ぼんやりとしているような目線を床に向けにいく竜祥は、自分のせいで捻っていたのであろう小夜の赤く腫れ上がっていた右足に目を向けては、つい全てのせいをシルエットにしようとする自分はダメな奴なのだろうかと、漠然とやけに重たく思えては、上手く物事を考えて行けないでいる脳内で思って行きつつ、焼かれては、涸れているような思いを与えに来る喉元を如何にか冷やして行こうとするように、自分の身体に入って来る自分を救って来ているのか、それとも嬲って来ているのだろうかも上手く知れいないでいる風の存在を感じていく彼、「潰して行きたいんだ…」


  竜祥が自分が彼に尋ねていた言葉に向ける返事を聞かせに来ていたことに、口角を軽く上げられているような気分になり、やはり常に自分の想像を遥か上に越えて来ていた彼には、素直に自分たちをこのまま世の中から離れていくのを納得するはずもないのだろうなと、自分に悔やんでいるような表情を見せに来ている彼に、淡い笑みを浮かべていく小夜は言う、「そそっかしいね…」小夜が自分に投げに来た自分に飽きれているような態度に、目を細められているように感じつつ、悔しそうにと強く歯を噛んでしまう竜祥は何度も鼻翼に力を込めては、呆然と目線を床に向けては、苦しそうにと握り締めている両手を下していき、「でも…俺には…」


  自己否定していく渦に陥っているような気分になり、つい人類全員をまとめた所で如何にかしていけるようなことも出来ないのであろう神相手に、いくら自分が頑張って行こうとしても、全くもって意味のないことなんだと、内心で苦しい思いに詰まらされているような考えを思っていく竜祥は、ぽつりと震えているような声を発しては、ゆっくりと目線を机にある注射器に向けて行きつつ、ぽつりと渇いていた唇を開けにいく、「無理だよ…総統も軍隊も全部潰していけるような奴に…」ごくりと固唾を飲み込んでは、困り果てているようにと眉間に皺寄せている男らしくもないくらいに、目一杯呼吸しては、如何にか涙を抑えようとしているけれども、大好きな彼女に情けない一面を見られていただけではなく、自分と同じように困り果てているはずなのに、自分を無言で慰めては、支えようとしているようにと、丁寧に両手で自分の顔に触れに来る小夜の態度を見上げていく竜祥、「俺は…」


  ぼんやりと目を細めてくれている小夜の自分の目の下を越えて行こうとする涙の粒を拭いてくる姿勢に、心臓を鷲掴みにされているような気分になり、彼女をどうしようもないくらいに、地獄よりずっとおぞましくなるのであろう世界に放り投げていくような駆け引きをしてはならないんだと、内心で自分に強く言い聞かせていく竜祥は、何度も鼻翼に力を込めては、ゆっくりと痙攣しているような視野の中で机にある注射器を睨んで言う、「もうこれを使って…」辛そうにと強く白い歯を噛んでは、口角が自ずと斜め下の方向に向けて、胸元の奥にある自分と小夜が今までようやく手にしていた幸せな日々を、自ら終わりに向かわせざるを得ないでいる現状に、固定されているようにと強く感じている竜祥は、震えているような、とっくに真っ赤になっていた顔面を床に向けにいき、「くたばるしか…!」


  竜祥が自分に見せに来るまだ復讐しようと思っているけれども、柱に全ての力を奪わられていたせいで弱気になり、自棄になっている姿に微かに困らされているような気分になっている小夜、如何にか彼の内心にある思いを観念しては、もしかしたら人類を救えるかもしれないと、やけに自分を目一杯驚かせに来ていた旦那に期待している自分の内心に、苦笑いして見たくなりつつ、つい彼が人類全員を助ける事が出来なくとも、せめて彼が納得していけるような状態で、格好良すぎては、自分にとって眩い太陽のような彼に、人生を終わらせて貰いたいと思ってしまう小夜は丁寧に首を横に振っていく、「ううん、」


  自分が彼に投げていたシンプルな返事に、酷く驚かされているようにと眉毛を跳ねらせに来ては、あんぐり口を開けに来るきょとんとしている表情を自分に向けに来ている彼に、淡い笑みを見せては、チラッと目線を彼が用意していた危なっかしくにも感じてしまう注射器に向けては、毒でも入っていたのではないかと、注射器の中身を自分の体に打ち込んでいくのを想像して行きつつ、シルエットが語っていた言葉が本当だと言うのなら、自分はただ先に彼よりちょっとばかり早くあの世に行っては、彼の活躍を見守っていけるような状態になるだけなんだと、どうしても困り果てては、このまま無様な姿を晒したままで死にたくはないんだと言うのを、自分たちが吸われている空気を通しては、自分の肌に触れに来る竜祥が自分に向けに来る血走っていた赤い瞳の中に、宿っている怒りを見下ろして行きながら、丁寧に軽く左足を曲がらせにいく小夜、「あなたなら出来ると、」


  自分が彼に投げていた鼓舞しているような言葉に、驚かされているようにと眉毛をビクッと跳ねらせに来る竜祥の瞳に宿っている負の感情だろうとも、まだ死んでしまうような状態ではないであるのを心で感じていくと、つい彼のような人類に役立ちそうな人間ではないである、何かしらのことで彼を守っては、昔、彼に語っていたように彼を救っていけるような英雄になりたいと、人類の為にも、夫の為にも、何よりのは、自分が彼に上手く生きて欲しいと言う願いを、一回で全部叶えていけるようなことは出来てしまうんだと言う方法を、自分に示してくれている机にある注射器を目にすることなく、まったりと彼の左頬に当てていた右手を引いていく小夜は、軽くガッツポーズを取っていき、「わたしは強く信じているのよ、竜祥君。」


  突然、小夜が自分に投げに来た自分の心臓を震わせようとしているようにも思えるような一言を、投げに来ていたことと、酷く納得しているように微かに輝いているようにも見えてしまう、青色の光を放っている瞳で漠然とあんぐり口を開けている、間抜けのようにも思える自分の顔を映し出してくれている様を見つめていく竜祥、「え…?」丁寧に左手を彼の熱くなっていた頬から引いて行きつつ、ゆっくりと彼の握り締めていたような両手に触れにいく小夜は、ぽつりと渇いていた唇を開けにいき、「したいなら、」ゆっくりと自分の彼に触れていく両手を拒んで来るように、何度も首を小刻みに横に振って来る竜祥の事を見つめていく小夜は微笑んでいた、「わたしは力になろう。」


  ”ドクンー”「うっ…」否応なしに自分の体全体を震わせに来ては、自分に一番と言ってもいい程に、決して耳にしたくはないであるような話を投げに来ていた小夜の様に、心臓が割れているような苦しみを植え付けられているような気分にされては、思わず強く白い歯を噛んでいた竜祥は何度も鼻翼に力を込めて行きつつ、震えているような顔面を如何にか彼女に近づかせにいこうと思っていく、「お前っ…!」必死に喉から自分に視野が転倒しているんだと言う錯覚を与えに来る声を絞り出していた自分の酷く慌てては、どうして彼女はそのようなおぞましくにも思えるような発想を持ってしまうのだろうかと、自分の割れているようにも感じてしまう苦しみと悲しみに、真っ白にされていたような脳内で必死に考えていく竜祥は、強く顔面を平然と笑ってくれている狂っているようにも思える、大切過ぎて来た彼女に近づかせにいき、「何を言って…!」


  如何にか愚かだと思われているのであろう自分の事を止めようとする竜祥の態度に、目を細められているように思えては、思わずまんざらでもなさそうな表情を浮かべにいく小夜はまったりと右手を胸元に当てては、淡い笑みを自分が何を言おうとしても、自分の言う言葉はもう聞きたくはないんだと、強く自分の彼に触れていた左手を拒んで来る、意固地になっていた子供のようにと左手を上げては、彼の赤くなっていた耳殻を隠していく竜祥の様に笑っていく小夜は言う、「わたしは、ずっとどうしようもないくらいに、」


  漠然と自分の脳内にある夕凪に小うるさい曲を奏でようとしているような蝉の鳴き声を、割らしに来るような小夜の天真爛漫な声に、心を握られているようにと強く感じては、彼女を無くしたくはないんだと言う思いに、脳内を充填されているようにと強く感じつつ、苦しんでいるようにと自分に溺水しているような錯覚を与えに来る鼻を啜っていく竜祥、「うぐっ…」苦しんでいるようにと両手を彼の上手くくっつかせに行く事すらままならないでいるような両膝に、置いていく竜祥が自分に示しに来る態度に目を細められているように感じては、可笑しそうにと笑って見たくなってしまう小夜はぼんやりと彼の涙の粒と鼻水に、汚されていた両手で人生に於けるかなりと言っていい程の、重大な決断を下していたと言うのに、割と平然と鼓動を刻んでいるような胸の感覚を感じて行きつつ、やはり自分のような、辛いけれども、辛い思いより、誰かに尽くしていけるような幸せな思いを確実に抱えてた方が、先に人生に終止符を打っていくべきなんだと納得している小夜は、段々霞んでいく視野の中で自分の顔を見たくないでいるように俯いては、何度も首を横に振っていく竜祥に微笑んで行こうと思って言う、「愚図でダメダメなわたしを守ってくれていて…」


  徐々に胸元の奥から込み上げに来る、鼻腔の奥を嬲って来るような感動なのか、それともただ大好きな人とこれからきっと充実で、毎日が幸せに詰められているような日々を楽しんで行こうとするはずだったのに、急に無理矢理究極にも思えるような選択を強いられては、ジレンマに陥っていたせいで、感じていた苦しみなのかは、分からないでいる麻痺しているような感覚を感じていく小夜、「影できっと色んな苦労をして来て…」何度も紅潮していた鼻翼に力を込めては、軽くピンク色の唇を噛んでしまう小夜は、大人しくなっているようにと俯いては、強く繊細な両手を握っている竜祥の存在を霞んでいた視野の中で、一秒でも多く目に刻んで行きたいと願っている彼女は、ぽつりと段々弱くなっているような声を、震えている喉から絞り出していた、「努力して来たあんたに恩返してみようって、」無理矢理口角を上げては、如何にか自分の大事な夫を頑張っていけるような状態にしていきたいと、彼と言う立派な夫を持っている誇りのある妻として、胸を張ってあの世に行きたいんだと思っている小夜は微笑んでいく、「ずっと思ってるんだ…」

 

  小夜が自分に投げに来るただでさえ見っともないと強く感じてしまう自分の事を、より泣かそうとしているような態度に心を苦しめられているようにと強く思えては、思わず歯を食いしばってしまう竜祥は、彼女の言葉を否定していくように何度も小刻みに首を横に振って言う、「そんなことをする必要なんざないんだ…!」体が焼かれているような思いをしているのに、やけに痙攣しては、迅速なまでに体温を無くしているような気分にされている彼は、向きになっている子供のようにと猛然と額を上げては、無言で自分の顔を見つめてくれては、笑ってくれているような彼女の瞳の中にある自分の顔を睨むようにと見つめていく竜祥は、懸命に悲憤と戦っているせいで、無理矢理感情に太らされては、上手く彼女に話を向けさせてくれないでいる、膨らんでいるようにも思える赤くなって喉元から声を絞り出していく、「お前に恩返しをしていかないと行けないのはむしろ俺の方なんだから…!」


  彼が自分に言い聞かせに来てくれていた言葉に、目を細めているように感じつつ、可笑しそうにと笑ってみようと思っている小夜は丁寧に両手を彼の頬に添えていき、「ずっと両想いだったんだね。」子供を宥めているようにと丁寧に自分の顔を擦って来る小夜の態度に、心臓を握り潰されているような気分になり、つい尋常じゃないくらいに情けなく彼女に涙を見せている自分の存在を恨んでは、如何にか危うい事をしようとする彼女を止めていかないとと、強く思っていく竜祥は必死に喉から彼女を止めて行けそうな話を紡いでいかないとと、内心で叫んでいく、「うっ…」


  猛然と胸元の奥から込み上げに来る彼女への思いに、喉仏が軽く突かれているような気分になり、つい上手く声を彼女に届けなくなっていた自分の存在を恨んでしまう竜祥は、丁寧に自分に笑ってくれている彼女の強く思いを決めては、もう自分にどんな言葉を向けようとも、思いを変えようとしないでいる態度に、思わず彼女を罵っては、一体何をしようとしているのか、彼女をずっと愛して来た自分にどんな思いを強いてしまうのかをちゃんと考えていたのかと、痙攣しているような喉から声を発する事が出来ずにいる自分の存在を恨んでは、自分の内心にある苦しい思いをまたしても彼女の少しばかり弱っているけれども、自分にとっては変わらずに燦爛としているような存在のように見えている竜祥は、苦しそうにと震えているような眉毛を床に向けにいた、「うん…」


  竜祥の確実にしたいことがまだ残っていると言うのに、自分の力を借りようとしないでいる態度に目を細められているように思えては、胸元の奥が自分が下していた決断に無理矢理揺さぶられているようにと強く感じつつ、決めたからには早く動いていかないと、賢くタイミング良くチャンスを狙って来た彼のお荷物になってしまうのではないかと、漠然と彼が机に残していた携帯電話に一瞥していく小夜は言う、「わたしもね、」ぼんやりと弱り切っているような目線を自分に見せに来る竜祥の、自分の力を借りたくないでいる様に微笑んで見たくなりつつ、取り敢えず彼の内心にある自分への負い目を消していく必要はあるんだと、万が一上手く生き残ってくれるのなら、自分にはようやく立派な旦那を正真正銘に救えることになるんだと、どうしようもないくらいに愛おしく思える彼に、ちゃんと生きて欲しいと思うと同時に、上手く生きる事が出来なくとも、せめて納得していけるような状態で、先にあの世に逝っていた自分のもとに来て欲しいと漠然とした思いを抱えている小夜は声を発していく、「街中にいる困っている人々を如何にか助けたいって、思って来てるんだ。」


  酷く善良のようにと伝わって来る小夜の言葉に、心を悩まされているような気分になり、ついまたしても人生今まで何回目なのかも分からなくなってしまうくらいに、彼女の綺麗な瞳に心を奪わられては、どうしようもない状態なのに、まだ何かしらのことが出来てしまうんじゃないかと、彼女の願いを耳にすると、つい大好きな彼女の為にまだ何かしらのことをしてみたいと思っていく竜祥は、辛そうにと噛みしめていた歯を解しては、震えているような顎を開けていき、「小夜…」竜祥のまるで彼の考えを少しくらいは改めてくれている態度に、口角を上げられているような気分になり、もし出来るのならば、彼に自分にいっぱい悩まされて来たのであろう両親のことも、如何にか救って欲しいと期待していく小夜は自分の両手に、縋って来ている彼の液体の粘って来るような感覚を感じて行きながら、ゆっくりと前のめりになっていた背筋を伸ばしていく、「わたしは、正義の英雄に憧れてたの。」


  急に酷く大昔の事を語り始めている小夜のどうしても残酷なまでに、自分のもとから離れようとしている姿勢に悩まされているようにと感じつつ、漠然ととしている目線を床に向けにいく竜祥は、ぽつりと弱り切っているような声を発していた、「そうだったな…」竜祥の追い詰められているような態度に目を細められているように感じつつ、たったの一ヶ月ぐらいしか残されないでいる命を思うと、もしもう少し時間が長かったら、自分にはきっと今のような決断を下していくことはなかったのであろうと、竜祥の力になりたいと願って来ていた自分には、今のチャンスを見逃していくと、何も出来ないでいる自分と、大して体を動かすのも無理にされて来た彼とは、ただ苦しみの連続の中で絶望が訪れるのを待つ他ないのであろうと、内心で思ってしまう小夜は言う、「わたしを、正義の英雄のお嫁さんに仕上げてくれませんか?」


  「うっ…」忽然、小夜が自分に投げに来ていた酷く皮肉のように思えては、自分は斗奴雷のような正義感に満ちている立派な人間ではなく、ただどうやって比較的に安全に生きて行けていて、どうやって小夜を守れるのかを、それ以外のことを考えてもいなければ、自分の大切な人以外の人間が生きようが死のうが、自分とは全くもって関係のないことなんだとずっと当たり前のようにと思って来た生活をしていた自分には、英雄なんて大層な言葉に似つかないんだと内心で強く考えていく竜祥は、自分を否定していくようにと何度も首を横に振っていき、「無理…よ…」


  口角が胸の奥にある苦しみに斜め下の方向に向けて固定されているような気分になり、辛そうにと震えている赤くなっていた額を上げては、自分に困らされているようにと弱っているような笑みを、視野が霞んでいた自分に向けに来る小夜に向けて、自分の本音を言い聞かせては、彼女に自分なんかに、今のような状態でどれだけ期待しようとも、自分には出来る事なんて殆どないであるのを教えていかないとと、強く考えてしまう竜祥は戦慄しているような左手を胸に当てて言う、「正義なんて大層な言葉には…」可笑しそうにと引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、正義なんざ言葉はもともと無いようなものなんだと、強く思って来ていた自分が正義を語るのは酷く滑稽で、無様のようにと感じて来る彼、「俺は似合わないんだ…」


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