第329話いい事がきっと起こりえる、そうなるのに違いないって。

  「うん…」彼女の自分に甘えに来ているような声色に乗せていた自分の名前に、口角が微かに斜め下の方向に向けられているように思えては、人生初めて自分の名前が恋しく伝わって来るようにと感じてしまう彼は、照れくさそうにと軽く右手を上げては、自分の顔を掻いて行きつつ、彼女の眼を見つめていく、「ねぇ、春菜。」忽然、急に改まっては、酷く厳粛にも伝わって来る姿勢を自分に向けに来ている野黒新に困らされては、ぼんやりと小首を傾げてしまう春菜は、彼の決断を下していたようにと握りしめていく両手に一瞥しては、彼に微笑んでいた、「なぁに?しん君?」


  シロップのように甘く伝わって来ては、自分の顔を蕩けようとしているような春菜が自分を呼んでくれていた声を漠然と心の中で感じて行きつつ、何度も鼻翼に力を入れては、ゆっくりと左手を上げてしまう彼は、強く左手で自分の激しく鼓動を刻んでいる胸元の存在を感じては、猛然と揺るぎない眼差しを彼女に向けていき、「ぼく、」呆然と小首を傾げては、自分の紡ごうとする話を待ってくれているような春菜の眼を見つめてしまう彼は、何度も鼻翼に力を入れては、強く喉に力を込めていた、「ヒーローになりたいんだ。」


  ”ドクンー”突然、無邪気にも感じて来ていた野黒新が、急に厳粛な声色で自分の鼓膜を撫でに来ては、真剣な態度で自分を守り通すぞと知らせに来ているような声に、口角を軽く上げられているように思えては、思わず嬉しそうにと目を細めてしまう春菜、呆然と微かに霞んでいく視野の中で自分の白いワンピースに包まられていたような胸元を見下ろしては、心臓の苦しみが確実に自分と真摯に向き合って来ている彼に、和らげているような気がしている彼女、「うん、」丁寧に頷いては、軽く握っていた左手を暴動を起こしているようなくらいに激しく鼓動を刻んでは、少しばかり痛く思える胸元の感覚を感じてしまう彼女は、潤んでいる眼で彼の存在を映し出していた、「応援してる。」


  「うん。」自分のことを信じてくれては、少しでも自分が彼女の存在を助けていけることに疑いを抱えていないような春菜の存在に、心を撫でられては、視界が霞まされているような気がしてならないでいる野黒新。悔しそうにと軽く歯を噛んでは、霞んでいた視野の中で自分に満面の笑みを浮かべてくれては、紺色の星空を抱えているようにと両手を広げていた春菜の丸く描かれていた絵を見下ろしては、自分の存在を苦しんでいるようにと感じてしまうと同時に、酷く愛おしく感じてしまう両手に抱えられていた画帳を漠然と見下ろしては、苦しそうにと軽く歯を噛んでいく彼。


  ”ピチャー”ゆっくりと自分の酷く熱くなっているような気がしてならないでいる頬から、滴り落ちていく涙の粒がまるで春菜の足元にある草原を快く思っていないかのようにと強く体を緑色のクレヨンに塗りつぶされていた彼女の足元に当たっていたことに、脳内に浮かんで来る春菜が自分と離れ離れになっていくシチュエーションに、脳内にある何もかも全てが焼き滅ぼされているような気がしてならないでいる彼は、強く赤くなっていた鼻翼に力を入れては、後悔にとっくにどす黒くなっていた心を満たされているような気がしている彼、「うっ…」


  「ペンペンちゃんアタック~」忽然、まるで後悔と悔しい思いで出来上がっていた海から、自分の存在を救い出してくれているようなやけに元気に満ちては、心にある暗闇を少しでも払ってくれるような女性の声に、眉毛を微かに上げらされているような気がしている彼はぼんやりと唇を開けては、右手にあるピンク色のステッキを自分に見せつけに来ているようなピンク色のコスチュームを着こなしていた、女の子の楽しそうにと笑っているような表情を見つめていく。


  ”パン~!”まったりとピンク色のステッキを包んでいくかのような、ピンク色の粒子で作り上げていく大きなハンマーを弱っては、何故だか彼女に叩きやすくしているかのようにと四つん這いになり、臀部を上げていた、黒いコスチュームを着ていたた役に、瞳を奪われているような気がしてしまう野黒新。”パンパン~”可愛らしく見えてしまう女の子の手にある大きなピンク色のハンマーに臀部を強く叩かれては、有り得ないにも感じてしまうくらいに澄み渡る空に向かって飛んでは、キラリと小さな星となって行くように一瞬光っていくキャラクターに、目を細められているように思えては、成人である自分が訳の分からないアニメを見て、それを救済措置にしている時点で、自分にはもう救われようがないようにと感じては、ぼんやりと傷心に耽っているような目線を、自分の前にある黒いサイドテーブルの上に置かれていた、両手をかざしていたパンダがプリントされていたクッキーの缶に、入れられていた手紙の群れに一瞥していく野黒新。軽く歯を噛んでは、つい自分に元気になって貰いたがっているような手紙の淵に、描かれていたパンダの絵に心臓を軽く刺さられていたように感じては、急いでいるようにと目線をテレビの方向に向けては、救いを求めていくようにと強くテレビを見つめてしまう彼。


  「う…」刹那、まるでサイドテーブルの上にある手紙と、自分の太股の上に置かれていた画帳と、グルを組んでは自分の存在を揉み消しに来ているようにも感じてしまう、テレビのもとに置かれていたカラスのマスクを付けていたフィギュアに心臓を苦しめられては、思わず立ち去って行きたいと強く思わせに来る心情に、顎を強く引っ張られているように感じつつ、猛然と悲しみに操られるがままに画帳を見下ろしては、まだ死んではいけないと、自分に知らせに来ているような春菜が用意していた絵日記のような画帳に、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる野黒新、苦しそうにと軽く鼻を啜っては、恐る恐ると左手で軽く自分の涙に濡らされていくページにある春菜の絵を見下ろしていくと、つい次のページには、まだ自分が彼女に守ると、語っていた人物がいる事を思い出されては、辛そうにと熱くなり、酷く渇いているような気がしている喉に潤いをもたらしては、唾液を飲み込んでいた彼は軽く唇を噛んでしまい。


  ”とんとんー”刹那、まるで自分の過去の思い出来から感じて来る、泥のように自分にこびりついては、地獄まで引き摺り下ろそうとしているような、苦しみから己の存在を解放して来てくれているようなノックの音に見開かされては、両手に強く力を込めては、獰猛なまでに戦慄している指の関節を潰そうとしていたんだぞと、苦しみに意識を奪われていたような自分に教えに来ているような、痛くなっているようにと感じて来る指の関節の存在に、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてしまう野黒新は、ぼんやりと潤んでは、霞んでいた視野の中で自分を自責の地獄から呼び戻して来るドアを探していく。


  「新よ、起きてるかのう?」まったりと自分の耳に伝わって来る、爺さんの和やかな声色で紡いだ一言に眉毛を軽く跳ねらされているような気分になれている野黒新、「あ…」思わず漠然と唇を開けてしまう彼は、急いで爺さんにドアを開けにいかないとと強く考えて行きながら、宛ら自分の立ち上がろうとしている両足を阻んで来るような、自分の太股に当たって来ていた少しばかり硬く感じてしまう画帳の感覚に、眉毛を顰められているように思えては、呆然と自分の涙に濡らされては、まるで自分と同じように主人を失っていたことで悲しんで来るような涙に、起伏されていたページに心臓を苛まれているような気がしてならないでいる彼は思わず軽く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れては、急いでいるようにと左手にある画帳を軽くサイドテーブルの上に置いては、ごくりと固唾を飲み込んでいく彼は軽く渇いて唇を噤んでは、右手で軽くサイドテーブルにあるリモコンを手に取り、自分を元気づけてくれているようなピンク色のコスチュームを着こなしていた女の子のキャラクターに、俯かされていた口角が軽く上げられているようにと感じている彼、ぼんやりとしている視界の中で女の子のキャラクターと同じように、自分を励ましてくれているようなカラスのマスクを付けていたフィギュアに、鳩尾を軽く殴られているような気がしている彼は悔しそうにと目線をドアの方向に向けていき。


  まるで自分の手を引いて来ているような銀色のドアノブを琥珀色の瞳で映し出して行きながら、軽く右手を握っては、まったりと左手をひんやりと感じてしまうと同時に、少しばかり硬く感じているドアノブを捻っていく彼。宛ら自分に老いていた皮膚を守っているようなサンダルを、見せつけてくれているようにと軽く足先を外側の方向に向けては、猫背になっていた爺さんが自分の顔を見た途端に、皺だらけの口角を上げてくれては、微かに背筋を伸ばして来ては、自分の顔を見れたことで元気になっているんだと、語って来ている姿勢に、彼の真っ白になり、微かに曲がっているようにも見えてしまう髪の毛に、俯かされてしまいそうな口角を軽く上げられているような気がしている野黒新。


  「なんだ、」忽然、自分の姿に驚かされているようにと、目の下に狭まれていたような瞼を開けて来ては、自分の顔を微かに濁っていたような瞳で映し出して来ている、爺さんが浮かべて来る驚愕の表情に困らされては、ぼんやりと小首を傾げてしまう野黒新。呆然と両手を背に隠しては、自分の手のひらを微かに刺さって来ていたような感覚を、ぼんやりと感じて行きながら、孫の酷く弱っては、悲しみに目の周りが少しばかりピンク色に染め上げられている姿に心を引かれては、老いれていた体が悲しみに刺激されているような気がしてならないでいる爺さんは、心配そうにと軽く顔を彼に近づいていき、「泣いたのかな?」


  「うっ…」自分に攻めて来るようにとサンダルを、自分の足元に向けて踏み出して来ていた爺さんの仕草に、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしつつ、既に自分のために散々苦労して来ていた彼に、もうこれ以上迷惑をかけたくはないんだと強く考えてしまう彼、「ううん…」萎縮しているようにと軽く体を引いては、何度も首を横に振ってしまう彼は、自分のもとで佇んでは顔を見上げて来る爺さんの自分の涙目になっていた具体的な原因を知りたがっているような姿に、心を曇らされているような気がすると同時に、悲憤に体中を嬲られているようにと感じて来る彼は軽く顎を上げて、ごくりと固唾を飲み込んでは、急いでいるようにと右手をポケットに突っ込んでいた、『欠伸をかいたから、』微かに白い眉毛を顰めて来ては、真剣そうな表情を保ったままで、自分の急いで文字をかけているのに、どうしても遅延してしまうタイピングの遅さに、苛立ちを覚えている野黒新は何度も鼻翼に力を込めては、携帯画面に表示されていた赤いラッパのアイコンをタップしていき、『涙目になっちゃってたんだよ。』


  「そうなのか…」孫のあからさまなまでに、サイドテーブルに置いていた画帳と手紙で悲しんでは、涙を零していたことを素直に自分に教えてくれないでいる姿に、少しばかり悲しみを心の奥に植え付けられているような気がしてしまう爺さんは、チラッと項垂れては頑なに自分と目線を合わせようとしないでいる彼の様を見上げて行きつつ、まったりと口角を上げては、左手にあるパンを包んでいた包装を彼に向けていく、「ほれ、これは朝飯だ。」ぼんやりと自分に琥珀色の瞳を向けて来ては、急にパンを差し出している自分に驚かされているようにと、ぱちくりしている彼に向けては、ニヤリと口角を上げていく爺さんは、ゆっくりと赤い花がプリントされていた緑色のビニール袋を握っていた右手を上げては、人差し指を立てて言う、「好きだろ、パンだ。」


  「う…」刹那、まるで自分の胸元に言葉の寒さを当てて来ては、無理矢理自分の体を退かそうとしているような爺さんが紡いで来る、あまりにも詰まらない駄洒落に困らされているように感じつつ、丁寧に左手で軽く透明な包装に包まられていたようなパンを握っては、自分が彼が紡いで来る駄洒落に向ける対応を期待して来ているようにと、潤んでいる眼を自分に見せつけに来ては、口角を上げて来る爺さんに姿勢に目を半開きさせていく彼は、軽く右手にある携帯電話を弄っていた、『パンダとパンはまったく噛み合っていないような気がするんだけど…?』


  「へへ、」自分が紡いだ自分ですら詰まらないなと思ってしまう冗談に、突っ込みを入れてくれていた孫の少しばかり元気になれている姿勢に、胸元の奥をくすぐられているように感じては、可愛くアピールしているようにと左手の親指を軽く立てていた爺さんは、横目で彼の顔を見つめて行きつつ、軽く左目を瞑って言う、「ナイス突っ込みじゃの。」宛らテレビで出てきそうなアイドルの真似をしているような、老い耄れた爺さんの姿に困らされては、孫でもそんな動作をする年を過ぎてるんだけどと、叫んで見たくなっている野黒新、まったく恥ずかしいと言う単語を知れないでいるようにと、ゆっくりと左目を開けては、左手を下していく爺さんの行動にぱちくりして行きつつ、舌を無くしていた以来、初めて上手く言葉を紡げないのは得したような気分になっている彼は、漠然としている琥珀色の瞳で爺さんのことを映し出して行きつつ、ぼんやりと頷いていた、「ああ…」


  野黒新のどう見ても自分が彼に向けていた、少しでも元気になって欲しい行動に、飽きれて来る様に目を半開きさせて行きつつ、やはり彼も自分も可愛い女の子にさっきのような可愛らしい仕草をされてみたいものなんだなと、ぼんやりと心の中で思って行きつつ、軽く右手を膨らんでいたような腰に当てて行きながら、ゆっくりと目線を黒いサイドテーブルの上にある手紙と画帳に向けてしまう爺さんは、ぽつりと声を発していき、「またその絵日記としずく君の手紙を見ていたのかね。」


  ”ドクンー”突然、爺さんが紡いだ自分の心を抉り込んで来るような話に困らされては、口角が斜め下の方向に向けて軽く引かれていたような気がしている野黒新は、軽く歯を噛んでは、ゆっくりと頷いていた、「ええ…」孫が自分の背に向けて来ていた、酷く落ち込んでいるような肯定する声に、目を細められているように思いつつ、まったりと流し目で彼の俯いては、自分と目線を合わせようとしないでいる様を見ていいく爺さんは、まったりと左手の人差し指を立てては、閉ざしていた画帳の方を指差して言う、「片方は多分もう返事しても直ぐには届かないと思うが、」宛ら自分が彼に向けていた意味深な一言に、刺激されているようにとビクッと眉毛を跳ねらせては、額に皺寄せ、自分に顔を向けて来る彼の眼を見つめてしまう爺さんは軽く口角を上げては、ゆっくりと画帳を指差していた左手を引いていき、「もう片方には、返事する気ようになったのかな?」


  「うっ…」爺さんが紡いで来る既に亡くなっていた春菜より、今まで、まだ自分の為に何かしらの努力をしようとする白野に、返事を向けていて欲しいと語って来る姿勢に、困らされているように感じつつ、そもそも既にとんでもないくらいに惨めになっている自分が、今更どんな顔で白野と和流に会わせたらいいのかが分からなくなり、苦しそうにと強く歯を噛んでは、ごくりと固唾を飲み込んでいく野黒新は、今の自分は普通に知らない人と接したら、相手は自分の過去を上手く知れないのであろうとぼんやりと考えて行きながら、昔、酷く生き生きとしていて、春菜の前で馬鹿みたいに英雄になると言い張っていた自分が二人に顔を合わせてしまうと、二人が自分を馬鹿にすることがなくとも、二人と、何より春菜の面前で強がって来ていた酷く馬鹿馬鹿しく感じて来る過去の自分が、否応なしに脳内に浮かんで来そうな気がしてならないでいる野黒新は苦しそうにと、鼻翼を弾けるくらいに力を入れては、自分に白野に返事を向けて行くことに関して、微かな期待をしているような眼差しを向けて来る爺さんに、申し訳ない心境になっている彼は軽く渇いた唇を噛んでいた、「ううん…」


  酷く悩んだ挙句、自分に落ち込ませに来るような返答を紡いで来る野黒新の姿に、困らされているように思いつつ、思わずため息を吐いて見たくなってしまう爺さんは、軽く緩めているようにも感じて来る上の唇で渇いた下の唇を噛んでは、チラッと目線をクッキーの箱に入れていた手紙の群れに一瞥しては、視界を埋め尽くそうとしているような溢れて来そうな手紙の量に、苦笑いして見たくなりつつ、如何やら自分にはまだまだ死ねないような実感を得ている彼はチラッと横目で佇んでは、自分のもとまで歩こうとしないでいる野黒新に一瞥していく、「流石にあんなにも書いて来たんだ、」軽く歯を噛んでは、小さなプラスチックのような渇いた白皙の頬に、尖っていた角を微かに浮かばせて来る野黒新のまるでもう自分の話を聞きたくはないと、語って来る姿勢に微笑んでいく爺さんは声を発していた、「少しばかりぐらいは話をしたって罰は当たらんだろうよ?」


  爺さんが自分に向けて来るもっともな話に、心を苛まれているように感じては、残念そうにと何度も鼻翼に力を入れていく野黒新はごくりと固唾を飲み込んでいき、『返事をして、もう俺に構わなって、』ゆっくりと自分とまだま話をしたがっているような爺さんのもとに向けて歩いて行きつつ、呆然と左手にあるパンを自分が着ていたパーカーのポケットに入れていく野黒新、『言っても、彼女は聞いてくれないって、』急いでいるようにと両手で携帯電話を弄っては、爺さんに待たせたくはないと強く考えている彼、『あんたも知れてたんでしょ?』


  野黒新が携帯電話に言わせている微かに飽きれていると同時に、酷く悲しんでは、白野のことをどうしたらいいのかが全くもって分からないでいる一言に、口角を微かに上げられているような気がしてしまう爺さんは、まったりと目線をサイドテーブルの上にある手紙に向けていた、「健気な子だからね。」「うん…」爺さんが紡いだ言葉にまったく反論出来ないと強く感じつつ、白野が自分のことを家族のように思ってくれては、どうしても自分のことを放ってはおけないと思ってくれば来るほどに、自分は彼女にとんでもないくらいに借りを残しているような気がしてならないでいる彼は強く歯を噛んでしまい、『俺ならとっくに諦めていたのにな…』


  悲しそうにと目を細めて行きつつ、クッキーの缶を満たそうとしているような手紙の群れに心を照らされていると同時に、自分の醜く感じては、酷くちっぽけな心が晒し者にされているように思えている野黒新、『こんな奴に構っているより、ちゃんと勉強して、ちゃんとした大学に入って。』切なげに悲しみに麻痺されているような鼻を啜っては、思わず強く両手にある携帯電話を握っていく野黒新、『こんなことのせいで、成績も落ちてちゃ…』白野が自分なんかの為にではなく、もっとちゃんとした青春を送っては、和流と恋人になり、彼と楽しく遊園地で遊んだり、映画館に行ったりとかするべきであり、漠然と霞んでいく視野の中でサイドテーブルの上に置かれていたパンダがプリントされていたクッキーの缶を探しては、自責しているようにと何度も鼻翼に力を入れていく彼は、もし白野には疫病神のような自分と知り合っていなかったら、きっと今になるともう和流と婚約も結んでいたんじゃないのかと考えてしまう彼は携帯電話に言わせていた、『退学にされてしまいそうな状態になって欲しくないんだよ…』携帯電話が紡いだ声をぼんやりと耳にして行きつつ、手紙の縁に描かれていた二匹のパンダの絵を見てしまうと、退学そうになった訳は多分全般的に自分のせいではないようにと一瞬思っては、それでも自分は加害者であり、主犯であるのに違いないと考えては、苦しそうにと手にある携帯電話を強く握っていく彼。


  まるで懺悔の言葉を自分に向けて来ているような野黒新の様に、口角をくすぐられているように感じつつ、彼は懺悔する相手を間違っていないぞと、彼に言ってみたくなっている爺さんはまったりと腕を組んで行きつつ、右手にある緑色のビニール袋を強く握りながら、野黒新が紡いだ話を同意しているようにと何度も頷いていく、「いい女だね、しずく君は。」爺さんの酷く悔やんでいる自分のことをからかって来ているように、紡いだコメントにも思える一言に飽きれては、目を半開きさせて行きつつ、彼の横顔を見つめていく野黒新は、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「はぁ…」


  自分に残念そうなため息を投げて来る野黒新の姿勢に飽きれては、まったりと両手を上げては軽く肩を竦めてしまう爺さんは、流し目で彼の顔を見て行きつつ、ニヤリと口角を上げていた、「まったく、もし秋人の小僧がいなかったら、」軽く眉毛を跳ねらせては、自分が紡ごうとする言葉に戸惑っているようにと、ぱちくりしている彼のこと見つめていく爺さんは軽く左手を腰に当てて行きつつ、拗ねている子供のようにと唇を尖らせては、右手の人差し指を立てていく彼は言う、「わしの孫娘にして欲しいくらいのにな。」


  またしても自分に可愛くアピールしに来るアイドルの真似事をしに来ている爺さんの姿勢に、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる野黒新、困り果てているような眼差しを爺さんに向けては、少しばかり己の年を考えてみようぜと、上手く爺さんに言葉を紡げないでいる自分の無くなっていた舌に、再び感謝して見たくなってい彼は軽く携帯電話に平坦な声を上げて貰っていく、『ねぇよ…』


  携帯電話から伝わって来る平然としている声に、眉毛を微かに顰めて行きつつ、面白がっているようにと軽く左側の白い眉毛を上げては、軽く顎を斜め下の方向に向けていく爺さんは、彼のことをからかっていくようにと声を発していき、「なんでじゃい?」爺さんが自分に向けてくる、彼は絶対と言っていい程に答案を知れていたはずの質問を自分に投げて来ていた様に目を半開きさせて行きつつ、チラッと目線を自分の右手にある携帯画面に向けていく野黒新、『彼女は本当にいい人過ぎるから、俺みたいな罰を抱えて、』


  携帯電話から上げている自嘲気味になっている言葉に、口角を無理矢理上げられているように思えては、ぼんやりと両手で携帯電話を弄っていく彼、『人生を過ごさせてしまったら、彼女は多分そこまで苦しくはないけど、』残念そうにと軽く口角を上げては、白野に恋をしたことがないけれど、爺さんが自分に向けて来た言葉のせいで、つい彼女に振られていたような気分を味あわされているような気がしてならないでいる彼は、ぼんやりと目線を爺さんの方向に向けていた、『俺は死ぬより苦しいし、悲しくて泣いてしまうよ。』


  呆然と目を細めては、自分の耳殻を殴り込んで来るような携帯電話の話を聞いて行きつつ、ぼんやりと右手にある緑色のビニール袋に目線を落としていく爺さんは、ぽつりと声を発していき、「孫よ。」忽然、やけに真剣な声で自分の存在を呼んで来る爺さんの言葉に、悩まされているように感じつつ、漠然と細い眉毛を顰めては、彼の横顔を見つめてしまう野黒新、「うん?」宛ら自分の目線を呼んで来るような野黒新が上げていた間の抜けたような声色に、口角が少しばかりくすぐられているように思えては、まったりと彼に向けては左手の人差し指を立てていく爺さんは言う、「人生ってのは捨てたもんじゃないぞ?」


  「ふん…」爺さんのやけに陽気な態度で、自分に紡いだ嘘でしかないように聞こえて来る話に、視野が一瞬にして細められていたように思えては、ぼんやりと俯いて行きながら、左手で軽く彼が自分にくれていたパンを守っているポケットに触れていく野黒新、チラッと視線をテレビを乗せていたテーブルの上に、置かれていたカラスのマスクを付けていたフィギュアに向けてると、つい人生なんてものは、誰もが捨てるものだとは言えないけれども、少なくとも自分にとっての人生はもうとっくに終わっては、今はただ爺さんと、白野に悲しませたくないでいるだけで、自分は生きているんだと強く感じている野黒新は、苦しそうにと強く歯を噛んでは、右手にある携帯電話を握って行きつつ、俯いていた。


  沈んでは、まるで二度と浮かぶことのないくらいに、悲憤と絶望に侵されているような孫の表情に苦笑いして見たくなりつつ、まったりと少しばかり重たく感じてしまう左手を上げて行きながら、自分のことを見ようとしないでいる彼に向けて軽く左手の親指を立てていく爺さん、「頑張って行こうじゃないか、」軽く口角を上げては、彼にはまだまだ素晴らしい未来が残されているのに違いないんだと、強く思っている爺さんは、まるで自分が彼に向けていた言葉を拒否しているようにと、強く歯を噛んでいく彼に視野を細められているように思いつつ、まったりと左手を胸元に向けて引いていく彼、「いい事がきっと起こりえる、」まったりと鼓動を刻んでいる胸元の感覚を感じて行きつつ、何度も鼻翼に力を入れては、チラッと自分に目線を向けに来る野黒新の顔を見つめてしまう爺さんは軽く口角を上げていた、「このわしが言っているんだぞ?」自分に自信を持っているようにと軽く顎を上げては、ニヤリと皺だらけの頬の皮膚を上げていく爺さんは言い放った、「そうなるのに違いないって。」


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