第319話もう手紙を送って来ないでよ、俺に構うな。

  宛ら向こう側にいるはずの和流に触れたがっているようにと、軽くカーテンの方へ向けている自分の右手と微かに前のめりになっている体勢に困らされては、ごくりと固唾を飲み込んでいく白野、心臓がもう一度和流に会いたいと言う思いに駆り立てられては、ちゃんと彼に会えても、自分は彼とどんな話をしたらいいのかが分からなくなり、恐る恐ると興奮気味になれている両足をカーテンのもとに向けては、彼に会いたいけれど、会ったらまたしても叱られたりしないか、自分が彼にどんな顔を向けたらいいのかを考えてしまうと、つい脳天がこっぴどく嬲られているように感じては、苦しそうにと歯ぎしりして見たくなっている彼女は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、戦慄しているような汗ばんでいる右手でカーテンを握っては、困り果てているようにと自分の胸元を見下ろしていく彼女、自分はただ自分の家にあるカーテンを開けては、空気を入れ替えて見ようとしているだけであり、万が一彼と顔を合わせたとしても、彼が自分に何も言わないと言うのなら、自分も特別に彼に向ける話を考えていく必要もなく、彼がちゃんと元気にしているのかどうかを確かめたら、急いでカーテンを普段通りにしておけばいいと、心の中で自己催眠していくようにと何度も自分に言い聞かせている彼女は、軽く喉に引っかかっていたような唾液を飲み込んでは、猛然とカーテンを握り締めていた右手を左側に向けていく。


  ”ファー”猛然と自分の視野の左側まで退かされていた分厚いカーテンの事を気にすることなく、宛ら眼を飛び出そうとしているようなくらいに強く目に力を入れては、深いピンク色の瞳で、主人の代わりに自分の存在を拒んで来ているような窓と閉めていたカーテンに困らされては、ぼんやりと目を細めて行きつつ残念そうにと何度も鼻翼に力を入れていく白野、「ですよね…」引き攣っているような右側の口角を上げて行きながら、まったりと俯いていた目線を自分の拗ねているようにと、くっついていた足先から逸らそうと考えてしまう彼女はぽつりと渇いた唇を開けていき、「はぁ…」


  ぼんやりと顎を上げて行きながら、自分の顔を照らしてくれているような空を見上げては、まったりと右手に握り締められていたカーテンを放してしまう白野は、思わず辛そうにと硬直しては、俯いていたような口角を上げて行きつつ、ぽつりと呟いていく、「いい天気だな、今日って。」呆然と目を細めては、軽く唇を噛んでしまう白野。急いでいるようにと両手を握り締めては、ごくりと固唾を飲み込み、眉間に皺寄せて行きながら、右手にある鞄を握りつつ、自分の後頭部を引っ張って来ているような髪の毛の事を気にすることなく、深い黄色のスーツを着こなしては、左手を上げて行きながら、チラッと目線を左手に握られていた携帯電話に目を向けてしまう白野、「うう…」携帯画面に示されていた時間に眉毛を跳ねらせているように思えては、口角が一瞬にして斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる彼女は、悔しそうにと歯を食いしばっては、自分の視野にあるアーケードの隣りで佇んでいたようなビルを見上げて行きつつ、ぽつりと小さな声を漏らしていく、「こりゃあ遅れるわ…」


  ”ドクンー”忽然、まるで自分の視野を引っ張って来ているような黒い帽子を被っては、元気を失っては抜け殻となっていたように、俯いたままで漠然と右手にある一個の食パンと、野菜と肉が詰まっていた緑色の基調をしては赤い花がプリントされていたビニール袋をぶら下げていた男性に、目線を奪われているような気がしてならないでいる白野、「えっ…?」宛ら自分が発していた酷く驚かされているような声色に、刺激されているようにと額を上げて来ては、微かな白髪が挟まっていた黒い髪の毛に、顔面を覆われている暗闇に飲み込まれていたような琥珀色の瞳に見開かされては、思わず漠然と唇を開けてしまう白髪、突然、まるで猛獣を目の当たりにしているようにと急いで振り返っては、自分のもとから走り出そうとしているようにと強く両手を握っていく彼の様に、眉毛をビクッと跳ねらせていたような気がしてならないでいる彼女は、急いでいるようにと左手にある携帯電話をポケットに突っ込んでは、黒いパーカーを着ていた彼の衰弱しているようにも感じて来る背中姿に向けて走り出していた、「ま、待って!」


  自分の切羽詰まった感情に満たされている喉から絞り出していた一言に、背中がブーストをかけられているようにと猛然と加速しては、自分から段々距離を置いていく彼の態度に見開かされては、鳩尾を軽く殴られていたように感じては、もしかしたら和流だけではなく、自分がずっと力になり、助けようと思って来ていた彼にまで嫌われては、本気で拒まれているのではないかと、不安になっている白野は悔しそうにと強く歯を噛んでは、全力で黄色の靴に守られていた両足で小汚い灰色の地面を踏んでは、脛に力を込めて行きつつ、猛然と左手を彼の背中に向けて伸ばしていき、「どうして逃げるのよさ!」


  まるで自分に風を与えに来ているようにと、急いで両手を前後に振りながら、ビニール袋に詰められていた一個の食パンと野菜と肉を揺らしていく彼の、金輪際自分と話をしようとしないでいる態度に苛立ちを覚えては、迷わずに左手を口角に添えていく白野は、向きになっている子供のような態度を自分に示して来る彼の後頭部に目線を向けていき、「ああー!」突然、自分の必死に上げている大声に驚かされているようにとビクッと弱り切っては、項垂れていた肩を跳ねらせていく彼の姿に手応えを覚えては、口角を上げられているように感じてしまう彼女は言い続けていき、「転んでしまうわ!」


  刹那、白野の無理矢理自分に胸元を彼女の方向に向かわせに来ていたような叫び声と話に見開かされては、思わず強く右手にあるビニール袋を握っては、猛然と振り返っていく野黒新は、ずっと自分のことを思ってくれていた彼女に、自分のせいで傷を残して欲しくないと切に願っては、強く地面を踏んでいた右足に力量を込めては、顔面と頬に沿ってしまいそうな髪の毛を気にすることなく振り返っていく彼。


  ”どー”突然、まるで小型の熊に胸をぶつけられていたような感覚に見開かされては、否応なしに自分の鼻腔の奥を占拠しに来ている、ほんのりとした甘い香りに見開かされている野黒新、「うっ…?!」強く両手で自分の弱っていた叫び声に応えてくれては、振り返ってくれていた野黒新の温かく思える体を強く抱えては、プレゼントを貰えた子供のように嬉しそうにと口角を上げて行きながら、額を上げていく白野、「えへ~」ぱちくりながら降参しているようにと両手を軽く上げては、金縛りに遭っているようにどうしたらいいのかが分からなくなっている野黒新の、緊張に硬直されている顔を見つめていく彼女は、ニヤリと口角を上げて言う、「つ~かまえた~」


  「うう…」自分と追いかけっこしていたような気分をさせに来ている白野が、自分に向けて来ていた起伏しているような声色に、口角が斜め下の方向に向けて強く引っ張られているような気がしている野黒新、自分に会えていた事に心の底から喜んでくれているようにと、笑ってくれている白野の態度に弱らされては、ごくりと固唾を飲み込んでいく彼は観念したようにと彼女に抱えられていた体から力を抜けて行きつつ、まったり左手をポケットに突っ込んでいく彼は、困り果てているようにと眉間に皺寄せて行きながら、あからさまなまでに自分を騙していた彼女に、文句を向けていくようにと唇を尖らせにいく彼はぽつりと渇いた唇を開けていき、「うが…」


  拗ねているような声色を自分に向けて来る野黒新の少しばかり可愛く思える声色に戸惑いつつ、漠然と小首を傾げて行きつつ、彼の体を抱えては、逃げさせないようにすると心の中で強く考えている白野は、ぽつりと疑問の声を発していた、「うが?」案の定、どうせ上手く喋れないでいる自分が、適当に紡いだ文句交じりのニュアンが込められていた発音を理解できずにいる白野の戸惑っては、ぱちくりしに来ている顔を見下ろしていく野黒新、天真爛漫なまでに自分のことを見つめて来ている彼女の体から伝わって来る温もりに、弱らされているように思えては、思わず彼女から目線を逸らしてしまう彼は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、軽く左手の親指で携帯画面を弄って行きながら、別に抱えて来なくとも、自分はもう逃げるつもりはないんだと、彼女に知らせようと考えている彼は、急に携帯電話を弄り始めている自分に困らされては、呆然と小首を傾げていた彼女に一瞥していき、『喋れないからだよ…』


  「あっ…」刹那、前のめりになっていた自分の体を退かしに来ているような、携帯電話から発してい平坦な声色で紡いだ一言に、眉毛を跳ねらせているような気がしている白野、「そ、そうだったわね…」急いでいるようにと酷く痩せていた体の腰に、抱きついていた両腕を引いては、困り果てているようにと両手で鞄を強く握っていく白野は頭を下げて言う、「ごめんなさい…」頭を下げに来ている白野の姿勢を目にすると、つい自分のことを丁寧に扱ってくれて来た彼女に負い目を覚えては、申し訳ない心境になってしまう野黒新、宛ら自分は勝手に逃げたりしないのかと不安になっているように、前屈みになりながらも、白皙の額に皺寄せては、自分を監視しに来るような深いピンク色の瞳に困らされている彼、思わずため息を吐いて見たくなっている彼は、急いでいるようにと左手の親指で携帯画面を弄っては、彼女に待たせたくはないと強く考えている、『もう帰ってもいい…?』


  野黒新の携帯画面に触れていた親指に注目しては、ついラグのある会話するのも少しばかり新鮮に感じてしまう白野、彼が自分に向けて来る尋ねに来ているような弱っている眼に心をくすぐられているように思えては、右側の口角を軽く上げてしまう白野はまったりと左手の親指を立てていく、「ダメ。」きっぱりと携帯電話じゃ伝われない自分の帰して貰いたい思いを拒んで来る白野に困らされては、口角が軽く斜め下の方向に向けて引っ張られていたようにと感じている野黒新は、残念そうにと俯いていき、「うう…」


  ようやく会えていた野黒新がこのまま自分のもとから離れていくのは非常に勿体無く感じては、和流のことを上手く処理することが出来ないでいる自分は、せめて野黒新の思いをちゃんと知れては、出会えた彼のことをちゃんと片付けてから、彼と共に和流に向けていく作戦を考えて行こうと、自分の少しばかり理想過ぎる思いに苦笑いして見たくなっている白野は、懇願しているようにと白皙の左手を彼の右手に向けて伸ばしていく、「少し時間を頂戴?いい?」宛ら自分に興味を持っていないと語って来ているようにと両腕を俯かせては、目線を自分から逸らしていく野黒新の態度に目を半開きさせて行きつつ、胸元の奥に秘められていた闘争心を刺激されているような気がしてならないでいる白野は、まったりと胸元を彼に寄せていき、「いいわよね?」ゆっくりとと踵を地面から離れては、彼の顔に近づいて行きながら、自分の仕草に見開かされては、微かに唇を開けられている彼に屈託のない笑みを浮かべていく白野は、甘えているようにと軽く口角を上げて言う、「いいと言わないとお家までついていくからね。」


  白野が自分に投げて来ていた一言に、左側の眉毛をビクッと跳ねらされていたように感じては、まるで自分の頬にキスしようとしているようなくらいに、顔を近づかせに来ていた彼女の態度に悩まされては、彼女の酷く麗しく思える眼から逃げていくようにと、顔を左手にある携帯電話に向けていく野黒新は、携帯電話を弄って行きつつ、ごくりと固唾を飲み込んでいた、『お前…図々しいぞ…』


  携帯電話の平然とした声色で紡いだ野黒新の思いに、体が彼から退かされているように感じつつ、不服そうにと強く歯を噛んでは、彼に顔を更に近づいていく白野、「図々しいって!」まるで自分に体は当たってしまうと語って来ているようにと、前のめりになっている自分に合わせてくれている仰向けになり、強張っている顔で自分の胸元を指して来る野黒新の態度に困らされては、拗ねているようにと唇を尖らせていく白野、「まぁ…図々しいかもね…」自分の左手にある彼のビニール袋を握っていた右手を強く握っていく彼女は、何度も白皙の鼻翼に力を入れていく、「いっぱい手紙を書いたしさ?」


  宛ら不貞腐れるような口調で言葉を紡いでいる自分に、驚かされているようにと眉毛を跳ねらせていた野黒新の瞳に目を細めて行きながら、ニヤリと右側の口角を上げてしまう白野、「送っても全然返事しないし、」軽く右手を上げて行きながら、手にある鞄は少しばかり邪魔に感じつつも、人差し指を頬に当てていく彼女は言う、「顔を合わせてくれないしさ?」宛ら自分につられているようにと目を半開きさせに来ては、口角が自分の態度に斜め下の方向に向けられている彼の顔を見つめていく白野、「嗚呼、」残念そうにと何度も首を横に振って行きながら、まるで自分の態度に刺激されては、何かしらの話を自分に向けようとしているようにと、左手にある携帯電話に目を向けている野黒新の態度を見つめていく彼女は言う、「図々しいわ、」何度も繊細な首を横に振って行きながら、悲しみに耽っているような演技をして行こうと考えている彼女、「あたしったら図々しい女だわー」


  『もういいよ!』まったりと左手の親指を携帯画面に表示されていた赤いラッパのアイコンから離れて行きつつ、暗闇に飲み込まれているような琥珀色の瞳で携帯電話が上げていた大きな声に見開かされては、ぱちくりながら自分の顔を見つめてくれている彼女に飽きれては、思わずため息を吐いて見たくなっている彼は、弱っているようにと目線を自分の右手を掴んでは、放そうとしないでいる彼女の左腕に向けていく、『話せばいいだろう、話せば!』


  野黒新がようやく素直になってくれては、自分と話をしようと考えてくれるようになっている事に、心を弾まされているようにと思えている白野、「えへへ~」幸せそうな笑い声を零している自分に目を半開きさせて来ては、無言で自分に何かしらの文句をぶつけて見ようとしているような彼の態度に、口角をくすぐられているように感じている白野は嬉しそうにと彼の右腕を引いて行きつつ、軽く左手の人差し指で自分たちのことを待ってくれていたようなベンチを指して言う、「あっちのベンチに座ってお話をしようかな?」


  遠足しに行く子供のような態度を自分に示して来る白野の完全に異質のような存在であり、社会に見捨てられていたような自分を受け入れてくれている態度を肌で感じると、つい困惑気味になり、どうしたらいいのかが分からなくなってしまう野黒新、「うう…」項垂れては宛ら両足が灰色の地面に引っ張られ、上手く歩けなくなっているような野黒新の様に微笑んで行きながら、まったりと彼の背中に回っていく白野、「ほらほら早く早く。」


  忽然、まるで自分を遊園地に誘おうとしている子供のようにと、自分の背を押して来てはベンチに座らせようとする彼女の態度に眉毛を跳ねらせては、思わずぱちくりしてしまう野黒新は恐る恐ると頷いていき、「う、うん…」まったりと体をベンチに向けては、きっと前のめりになっているはずの白野が、自分が急に背筋を伸ばしては、急いで歩き出していたせいで支えを崩されては、転んだりしないのかと気にかけて行きつつ、チラッと両手を自分の後ろから離れては、自分の隣りまるで駆けつけに来る彼女の深いピンク色の瞳に一瞥しては、嬉しそうにとピンク色の口角を上げてくれていて、白い歯を自分に見せつけに来ているような彼女が浮かべる燦爛な笑みに、心を困らされているように思いつつ、まったりと臀部をベンチに付けていく野黒新は、まったりと右手にあるビニール袋を左側に置いては、かなりアクティブな白野はきっと自分がお互いの間にビニール袋を置いたとしても、自分の左側に座って来るんじゃないかと、白野の事は決して嫌いではないけれど、苦手意識が芽生えている自分に弱らされている彼、『お前、出勤するんじゃなかったのかよ…』


  携帯電話から自分に向けて来ていた平坦な声に、眉毛を軽く上げらされているように感じては、彼はやはり自分が彼に送って来ていた手紙をちゃんと見てくれて来たんだなと、心の中でぼんやりと考えて行きつつ、右手にある鞄をベンチの隣りに置いていく白野は軽く左手の人差し指を、全力で走っていたせいで少しばかり紅潮している頬に付けていき、「出勤するけども?」

  

  当たり前のようにと鞄を置いては、自分とまったり会話しようとする白野の仕事を全くもって気にしていないような態度に見開かされては、口角が驚愕に斜め下の方向に固定されているような気がしている野黒新、『いいのか?』急いで両手の親指で携帯画面を弄って行きつつ、屈託のない笑みを自分に向けて来ては、喜んで待ってくれているような白野の様にぱちくりして行きつつ、少しばかり照れくさい思いを抱えている彼は、困り果てているような眼差しを彼女に向けていた、『そのくそつまらなくて、ルーチンワークに行かなくても。』


  携帯電話から伝わって来ている自分の仕事について心配してくれていて、不安になってくれている野黒新の態度に口角をくすぐられているように思えては、まったりと細長い両足を軽く上げては、前に向けて蹴っていく白野、「良いってことよ、」朗らかなまでに伸びをしては両手をかざしていた自分の、まったりと両手で膝に触れようとしているような前のめりになっている姿勢に、見開かされている野黒新の事を見つめて行きつつ、チラッと遠くで自分を俯瞰していたようなビルに一瞥してしまう白野は、自嘲気味に鼻で息を吐き出していき、「どうせ飽きたし、首にされたいぐらいだわ。」


  白野の自棄になっている態度に心を苛まれているように感じては、きっと自分にいっぱい手紙を書いて来ていたせいで上手く勉強もしていなかった彼女には、さぞや時間を無駄に使っていたはずなんだと思って行きつつ、彼女が自分に向けて来る屈託のない笑顔に、心臓を苛まれているような気がしてならないでいる野黒新は何度も鼻翼に力を入れては、残念そうにと白い歯を噛んでは、目線を左手にある携帯画面に向けていた、『お前な…』


  携帯電話から伝わって来る自分に飽きれているような感情が込められていたような話に、口角を微かに上げられているように感じては、ニヤリ右側の口角を上げて行きつつ流し目で彼のことを見つめてしまう白野は微笑んで言う、「何々?お姉ちゃんになんか言いたいことでもあるのかな?」やけに積極的に自分に当たってくる白野の様に、目を半開きさせて行きつつ、健気にも思える彼女が自分のせいで青春を無駄にして仕舞ったなと、内心で悔やみながら強く歯を噛んでは、失恋したことがないはずなのに、白野が書いてくれていた手紙に心をつられては、悲しみで出来上がった海に沈めているようにと思えている野黒新、爺さんとの会話を思い出していくと、つい苦笑いして見たくなっている彼はチラッと自分に期待に満ちているような眼差しを向けに来る彼女に一瞥しては、爺さんが言ういい事が起こると言う言葉は、果たして叶えているのだろうかとぼんやりと考えていく彼、『ないよ、別に。』


  「ふん…」やけに物事に耽っているような横顔を自分に見せてくれて来たのに、酷くシンプルな話を携帯電話に言わせていた野黒新に不満を覚えつつ、つい目を半開きさせては、唇をすぼめてしまう白野は拗ねているようにと腕を組んでいき、「冷たいじゃん…」不満そうにと軽く両腕を掴んで行きつつ、何度も鼻翼に力を入れていく彼女は言う、「折角会ったんだしさ?」白野が自分に向けて来る、ずっと自分に会いたがっているような態度に心を困らされているように思えては、軽く歯を噛んでいく野黒新はごくりと喉に引っかかって来ていたような唾液を飲み込んでは、どうして彼女はここまで自分に執着するのかが分からなくなりつつも、これ以上彼女の時間を奪ってはならないんだと、心の中で強く決意を固めていく彼は、携帯電話に言わせていたた、『もう手紙を送って来ないでよ、俺に構うな。』


  まったりと携帯電話から発している声に合わせて来ているようにと、拗ねているような子供の如く震えている眉間に皺寄せては、厳かな表情を自分に向けて来ている彼に屈託のない笑みを見せては、まったりと首を横に振っていく白野、「そういう訳には行かないよ。」白野が自分に返して来ていた一言に、更に困らされているような気がしては、つい自分は一体彼女に何をしたのだろうかと、漠然と考えて行きつつ、彼女にここまでして貰えるような出来事は、何一つしていなかったはずなんだと漠然と考えていく野黒新は軽く白皙の顎を上げては、アーケードの前にある地面に一瞥しては、軽く歯を噛んでいた彼はつい無言で笑ってくれている彼女に、負い目を深く感じてしまい、『何でだよ…もうクッキーの缶に詰まってるくらいの量を貰ったんだけど…?』


  暗闇に飲み込まれていたような琥珀色の瞳を自分に向けてくれては、平然と自分と携帯電話を頼って会話出来ている野黒新の様に、心を弾まされているように思えては、心身ともに潰されても可笑しくない程の絶望に洗礼されていた彼が、ちゃんと社会復帰出来そうな様に心の底から喜んでいる白野、「何でって、」軽く口角を上げては、自分の顔を見つめてくれている彼に微笑んで行きつつ、自分はいつまでたっても彼のことをちゃんと待っているんだぞと、何としても彼に伝えていきたいと切に願っている彼女、ずっと自分の事も他の人間を拒んで来ていた野黒新が、ようやく自分と話をしてくれている様をぼんやりと考えていくと、つい自分が今まで培ってきていた努力は無駄になる事なんて何一つもなかったんだと、和流に知らせてやりたくなりつつ、一瞬脳内を過っていく和流の様に心を弱らされているように思えては、軽く唇を噛んでは、ようやく絶望から微かに自我を取り戻せていた野黒新に、自分の負の感情の渦に巻き込んではならないと強く思っては、楽しそうにと笑って行きながら、左手の人差し指を立てていた、「そりゃあ、あんたの事をほっとけないからだよ。」


  白野のやけに、自分に向ける言葉を考えていた様にぱちくりして行きながら、困っているようにと軽く右手でこめかみを掻いて行きつつ、目線を携帯画面に向けていく野黒新、『別に、俺のことを恋人に思っていない事を、』漠然と自分と共に携帯電話から発している声を耳にしている白野の、困っているようにと小首を傾げ行きつつ、ぱちくりしている姿を見つめていく彼、『和流に知らせたら?』


  ”ドクンー”忽然、否応なしに自分の胸元の奥を殴り込んで来ては、左側の眉毛を跳ねらせに来ているような彼が携帯電話に言わせていた一言に、あんぐり口を開けられているような気がしてならないでいる白野、「えっ?」悶絶してしまいそうなくらいに、苦しんでいたような声を発していた自分に、目を半開きさせに来ている野黒新の態度に口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる白野、恐る恐ると肩を縮めて行きつつ、弱っているようにと人差し指を突いてしまう彼女は、ぽつりと艶やかな唇を開けていき、「何で急に…」


  白野の少しばかり可愛く見えてしまう態度に苦笑いして見たくなりつつ、どうやら彼女は自分に彼女と和流の間で起きていた具体的には分からないけど、必ずしも異変を起きていた事を隠し通せていたつもりでいたんだなと、漠然と分析して行きながら左手にある携帯電話を軽く弄っていく野黒新、『仲違いしてたんだろう?それも俺のせいで。』「えっ?!」突然、携帯電話から伝わって来るまるで自分の心臓を貫いて来ているような言葉に、眉毛を跳ねらされているような気がしてならないでいる白野、宛ら自分のリアクションを堪能しているようにと、自分の顔を見つめて来ては軽く口角を上げていく野黒新の態度に、気まずい思いが心臓に植え付けられているような気がしている彼女は、思わず猛然と左手を胸元に当てていき、「か、書いてないのにぃ?!」


  白野の彼女が手紙に彼女の身の回りで起きていた出来事を書かないと言うのなら、自分には手紙の内容を通しては、彼女に何か遭ったのかは思いつくことは永遠に出来ないと思い込んでいるような様に、目を半開きさせていく野黒新、『想像がつくわ…』軽く両手の親指で携帯画面を弄って行きながら、上手く言葉を紡げないでいる自分に困らされては、親指で携帯電話に文字をかけていくのは、非常に面倒くさく思えている彼、『善良なあいつが手紙を送って来ないで、』ぱちくりながら大人しそうにと両手を握って、軽く太股の上に置いては、先生にこっぴどく叱れている子供のような態度を示して来る白野に、苦笑いして見たくなっている野黒新、『そして手紙にあいつが悪戯を仕掛けて、そして叱られたって言うのなら、』優しい和流が訳の分からない事をして、急に白野を叱ったりするはずもないんだと考えては、手紙にある矛盾だらけの内容に白野の心境が垣間見えていたような気がしている野黒新は携帯電話に言わせていた、『十中八九俺のせいである事くらいはよ。』


  

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