第298話いたいのいたいのとんでいけって。

  『そうかもしれないね。』忽然、自分が携帯電話に言わせていた一言に、驚かされているようにとビクッと眉毛を跳ねらせていた利佳の、可愛らしく思える態度に淡い笑みを見せてしまう野黒新は、目を細めて行きつつ、チラッと目線を自分の太股の上にある画帳に向けて行き、『何せあの俺たちの人生を狂わせに来ていた神が出会わせてくれてたんだもの。』「おぉ…」携帯電話が発していた平坦な声に唇をこじ開けられているように思えては、ぼんやりと軽く小さな両手を握って行きつつ、軽く激しく鼓動を刻んでいた胸元に当てていく利佳は、彼の横顔を見つめて行きながら、軽く鼻翼に力を入れていく、「案外役に立つな…」ぼんやりとしている視野の中で自分の両手にある痣を見下ろしていく利佳は、体中にある鈍い痛みの存在を感じて行きつつ、自分がずっと夢にしか出ることのなかった野黒新に出会えては、ちゃんと自分が思っていたような彼と同じ屋根の下で、毛布に包まれている事が出来ると知れたら、鷹泰呂に向けられていた地獄のような日々に向ける心構えは、少しばかり上達するんじゃないかと考えてしまう彼女は軽く歯を噛んでは、自分だけではなく彼まで苦しんでいたシルエットの存在に苛立ちを覚えては、ぽつりと渇いた唇を開けていく、「あの死にぞこないって…」


  忽然、利佳が自分たちだけではなく全人類の未来を根絶やしにしていたような技術を持っていた、自称神のシルエットの悪口を呟いていた事に左側の眉毛が否応なしに跳ねらされているような気がしてならないでいる彼は、恐る恐ると喉に積んでいたような唾液を飲み込んでいき、『死にぞこないって…』目を半開きさせて行きつつ、携帯電話の声に顔を引かれてはぼんやりと小首を傾げている利佳の、まだ彼女が語っていた事の重大さを理解していない様に、不安を強いられているように感じている野黒新、『全くもって間違っていないとは思うけど…』まるで自分が彼女と同じ思いを持っている事に関して、喜んでくれているように口角を上げている利佳の天真爛漫な子供のような態度に、苦笑いして見たくなっている彼、『監視されているかもしれないぞ…?』


  ”ドクンー”「うっ!」突然、野黒新が携帯電話に言わせていた、自分には想像すらしなかった事を自分にぶん投げに来ていた様に、心臓をこっぴどく殴られているように思えては、背中からまったりとひんやりとした恐怖が脳の奥までこみ上げて来ている感覚に、口角が斜め下の方向に固定されているように感じては、つい心臓の芯を抉りに来ているような不安に苛まれては、思わず畏怖に戦慄されている両腕を抱えていく彼女、「うう…!」


  苦しんでは気絶してしまいそうなくらいに弱り切っている唸り声を零していた利佳は、恐る恐ると震えては潤んでいるような視界を自分たちを守ってくれているような部屋に向けて行き。”パー”刹那、内心にある恐怖に負けていたかのようにと猛然と両手を上げては、強く合掌していく利佳は必死に目を瞑っては、ようやく出会えていた野黒新と離れ離れになるのはもう嫌なんだと、強く考えている彼女は強く少しばかり疼く喉から声を絞り出していた、「すみませんごめんなさい…!」


  全力で謝っているようにと強く合わせていた両手を上げていく利佳の、泣き出してしまいそうなくらいに弱っている態度に、苦い笑みを浮かばせてしまいそうに思いながら、軽く右手にある携帯電話を握っては、人差し指で頬を掻いて行く野黒新はぼんやりともしかしたら彼女にそのような話を向けて行くべきではなかったんじゃないかと、ぼんやりと考えている。「つい本音を言ってしまいました…!」必死に歯を噛んでは、内心にある野黒新が語って来ていたリアルになり兼ねない未来に、起爆されていたような不安に泣かされてしまいそうな気がしている彼女は、強く震えている声を上げていた、「もう意地悪なことをしないでください…!」


  ぼんやりと利佳の本気で謝っているはずなのに、彼女の運命を弄んでいた自称神のシルエットを小馬鹿にしていたような言葉に、目を半開きさせて行きつつ、思わず引き攣っているような右側の口角を上げていく野黒新は、軽く左手で痒くなっている頬を掻いて行きながら、携帯画面に目線を落としていく、『謝っているけど…まったく謝っていないような…』「ううう…!」パニックに脳内を真っ白にされているように思えていた利佳は、つい飄々と傍らで自分の本気で悩んでいる様を眺めながら、自分を揶揄しに来ている話を投げに来ていた野黒新に不満を覚えていき、「なんだよキミ!」


  猛然と潤んでは少しばかり赤くなっていた瞳を彼に向けては、何度も繊細な鼻翼に力を入れていく利佳は、強く両手を握っている自分の怒っている態度に驚かされているようにと、眉毛を跳ねらせていた彼の顔を睨むようにと見つめていく、「あの神の味方なのかえ!」眉毛を顰めて行きつつ、思わず強く左手を胸元に当てていた彼女は、叫ぶようにと声を上げていた、「ちゃんとボクを擁護してなさい!」


  利佳の泣き出してしまいそうなくらいに自分が紡いだ、きっと本当の事になっているはずの未来に脅かされている可愛く見えている態度に、微笑んでいく野黒新はまったりと左手を彼女の繊細な左肩に添えていき、『あいよ、』宛ら自分に触れられていた事に驚かされているようにと、ビクッと温かい体を跳ねらせていた彼女に淡い笑みを見せていく彼、『愛おしいお嬢様?』


  一瞬にして自分の内心にある不満を掻き消してくれている野黒新の行動に、内心の不安が恥ずかしさに乗っ取られているように感じては、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしならないでいる彼女は、萎縮しているようにと白皙の両手を太股の上に置いていき、「ううっ…」彼の軽く肩に触れて来た逞しく思えては、温かい左手の手のひらに内心にある羞恥心がくすぐられているように思えている彼女は、チラッと潤んでいる瞳を彼に向けては、拗ねている振りをして行くように軽く眉間に皺寄せては、淡い笑みを浮かんでくれている彼の凛とした表情から目線を逸らしては、唇をすぼめていた利佳、「す、素直でよろしい…」


  頬が紅潮してはまるで自分と目線を合わせることが出来なくなっているように、俯いて行く利佳の態度に微笑んで行きつつ、ぼんやりと右手にある携帯電話に目を向けていく野黒新、『大丈夫さ、』まったりと左手を引いては携帯電話が上げていた平然としていた声色に、顔を引かれている彼女の事を見つめていく彼は軽く左手の親指を立てていき、『いざという時は命に代えても助けてやるからね?』


  ”ドクンー”刹那、まるで自分の鼓膜を殴り込んで来ているような携帯電話が上げていた声と、揺るぎない眼差しを自分に向けて来ていた野黒新の態度に、唇をこじ開けられているような気がしならないでいる利佳、「えっ…?」利佳のまるで自分が携帯電話に言わせていた言葉に、脳天を嬲られているような様に淡い笑みを見せて行きつつ、まったりと熱くなれている体を、冷やしてくれているようなひんやりとした空気を吸い込んでしまう彼、『だから心配しないで。』


  野黒新が自分に向けて来ていた話をぼんやりと考えてしまうと、自分が酷い目に遭ってしまうよりずっと自分を苦しんでくれる可能性を得たように思えては、思わず猛然と顔を彼に近づいていく利佳は軽く汗ばんでは、畏怖のせいで上手く力を込める事が出来なくなっている両手を握って行きながら、切羽詰まった思いに喉を詰まらされては上手く声を発する事が出来ずにいる自分に、ぱちくりして来ている彼の顔を睨むようにと見つめては、焦燥感に苛まれているような両足で地団駄を踏んでいく彼女は、苦しそうにと震えている唇をこじ開けられていき、「よ、余計に心配するわ…!」ぱちくりながら上手く自分が紡いだ言葉を理解できずにいるように、小首を傾げている彼に不満を覚えては、不服そうにと唇を尖らせては、腕を組んでぷいと首を横に向けていく利佳、「ばか…!」


  自分を嫌っているような罵倒の言葉を投げて来ていたのに、酷く愛嬌のある声に伝わって来る彼女の自分の心を弄んで来ているような態度にぱちくりして行きつつ、内心にある照れ臭いに口角をくすぐられているように感じては、ぼんやりと河豚のように軽く頬を膨らませている彼女の顔を見つめていく彼、『なんで守るつったのに罵られないといけないのかな…俺…』携帯電話から伝わって来ている平坦な声に、潤んでは泣き出してしまいそうな青色の瞳を引かれているように思えては、唇をすぼめてはチラッと彼の顔を見ていく利佳、「だって…」ぼんやりと小首を傾げてくれては、まるで息遣いが酷く荒くなっている自分を慰めてくれているようにと、淡い笑みを浮かんでくれている彼の自分に罵られていたのに、まだちゃんと自分に気を遣ってくれている態度に、負い目を覚えている利佳は悔やんでいるようにと眉間に皺寄せたままで俯いていく、「ボクよりキミに生きて欲しいからだよ…」チラッと自分の内心にある思いに驚かされているようにと、軽く上半身を引いては眉毛を跳ねらせていた彼の顔を見つめ、軽く左手を熱くなっては麻痺されているようにも感じている胸元に当てていた利佳、「本当に。」


  まるで自分に天使の形を見せてくれているようにと、真っ白な髪の毛に飾られている彼女の揺るぎない眼差しに、目を細められているように思えては、ぼんやりとしている自分の代わりに彼女に返事をしてくれているような軽く上げている自分の口角に、照れ臭い思いを強いられているような気がしている彼は淡い笑みを保ったままで、目を自分の右手にある携帯電話に向けていた、『そう。』右手にある携帯電話に親指の残像を残しては、携帯電話の平坦な声に返事をして行くようにと強く頷いてくれている利佳の思いに、頬の筋肉が微かに上げられているような気がしている野黒新、『でも、多分俺たちは仲良くくたばってしまうと思うけどな?』


  「うっ…」野黒新が自分に投げに来ていた賛同しざるを得ないでいる言葉に、口角が斜め下の方向に向けられては強く引っ張られているような気がしている利佳、「それもそっか…」ぼんやりと自分の両腕にある傷跡と、体中を苛んで来る痛みと、もう二度と物を見れなくなってしまうのだろう、彼がくれていた眼帯に守られていた左目の存在を思い出していくと、地獄に突き落としていた自称神のシルエットが、自分に野黒新と言う救いを与えてくれては、残されていたあまりにも短すぎた時間の中で、彼に上手く心身共に近づいては、将来に向かって歩んでいけるかどうかすら分からせてくれないでいる現状に、心を潰されているような気がしている彼女は軽く太股の上に置いていた両手を強く握っては、決意をするようにと潤んでいる青色の瞳を彼に向けていた、「あ、あの…」


  やけに深刻そうな表情を浮かんで来ては、自分に何かしらの相談をしようとしている利佳の様にぱちくりして行きつつ、ぼんやりと小首を傾げていく彼、『なに?』「も、もし天国で会えたら…」ぽつりと自分の唇から漏れていた、微かに自分の温度を帯びている寂しく思える言葉に、苦笑いして見たくなっている利佳は右手の人差し指で軽く頬を掻いて行きつつ、自分を映し出してくれている彼の瞳を見つめていた、「よ、よろしく…」


  睨むように見つめてくれている利佳の宛ら獲物を狙っているような態度に、苦笑いして見たくなりつつ、自分を見逃さない為に瞬きを忘れては、見つめて来る彼女に心をくすぐられているように感じつつ、軽く唇を噛んでいく野黒新は残念そうな目線を自分の右手にある携帯画面に向けていき、『天国か…俺は多分地獄に落ちるな、』自分が携帯電話に言わせた言葉に見開かされては、あんぐり口を開けて来ている利佳に微笑んでいく彼は、軽く左手を上げていく、『数え切れない程の命を奪ったからね。』


  野黒新が彼が殺していた極悪非道の人に、負い目を覚えている態度に困らされているように思えては、弱っている人のことを思って、悪い奴を殺す事に負い目を感じている彼こそが天国に行くべきなんだと強く思ってしまう利佳は、悔やんでいるようにと強く唇を噤んでは、何度も繊細な鼻翼に力を入れていき、「じゃ、じゃ!」まるで駄々をこねる子供のように、何度も握っていた両手を上下に振っていく自分の仕草に、困らされているようにとぱちくりしている彼の顔を凝視しては、揺るぎない眼差しを彼に向けたままで強く左手を胸元に当てていた彼女は言う、「ボクも地獄についていく!うん!」


  自分が彼に向けていた言葉に賛同していくようにと、強く頷いてしまう利佳は自分が紡いだいささか無理のあるような話に困らされているようにと、軽く細い眉毛を跳ねらせていた彼に笑っていき、「悪い事は…」軽く興奮に震わされている左手の人差し指を立てていた利佳、自分がもし彼と一緒に入れるのなら、地獄はまったく怖くないような気がしている彼女はぱちくりして行きつつ、自分が今までして来ていた悪さは地獄に落ちて行けるかどうかが心配になっている彼女は強く左手を握っては、ガッツポーズを取り、揺るぎない眼差しを彼に向けていく、「これから沢山しよう!」


  利佳の向きになっている子供のような態度に苦笑いして見たくなりつつ、彼女が自分の傷だらけになっていた心臓を癒してくれるような不思議な能力を持っているようにと、思えている野黒新は目を細めて行きつつ、自分に如何だろうかと尋ねに来ているように軽く握っていた両手を太股の上に置いては、自分の顔を覗き込んで来ている彼女に微笑んでいた、『ばかか…お前…』


  まるで自分が彼に投げて来ていた言葉に呆気を取られているような彼の態度に、口角をくすぐられているように感じつつ、嬉しそうにと右肩を彼の左腕に向けていく利佳、「馬鹿です~」遠足しにいく子供のようにと笑っている声を発していた彼女は、楽しそうにと自分がぶつけにいた彼の逞しく思える左腕の感覚を感じて行きながら、彼に微笑んでいく、「馬鹿同士になりたいから~」自分に甘えに来ているような利佳が紡いだ言葉に、目を半開きさせているように感じては、不満そうにと軽く鼻翼に力を入れていく彼、『さり気なく俺をディスって来るな…お前って。』「えへへ…」自分とじゃれ合ってくれるような話を向けてくれていた野黒新の態度に、口角が上に固定されているような気がしてならないでいる利佳は笑って行きながら、幸せそうにと彼の顔を凝視していく、「一緒に、いたいの…」


  胸元の奥を過っていくようやくずっと夢にしか出会えないでいた彼と知り合ったのに、間もなく柱のせいで、離れ離れになるのかどうかすら分からない、死の世界に身を投じて行かないといけない事に悔やんでは、悲しそうにと俯いてしまう利佳、「何処までも、」軽く右手を彼の左腕に向けては、左手を太股の上に置いていた彼の太股に座っていたような画帳に目を向けてしまうと、思わず自分が泥棒猫になっているような気分を味わってしまう彼女は、悔しそうにと軽く歯を噛んでは、自分だってもう少し早く彼と知り合って見たかったのにと、内心にある自分を泥棒猫だと思い込んでいる思いに文句を向けて見たくなりつつ、軽く右手を握っては、彼の左手から引いてしまう彼女は切なげに眉毛を顰めては、ぽつりと呟いていた、「離れるのはもう嫌なんだ…」


  忽然、まるで自分の彼に触れていくのを恐れているような思いを見破いてくれては、否応なしに自分の右手を掴んで来ていた野黒新の左手の温もりに見開かされては、唇が否応なしにこじ開けられているような気がしてならないでいる利佳は、ぼんやりとぱちくりして行きつつ、まるで自分が彼のことを見ていくのを待っているようにと、淡い笑みを浮かべてくれている彼の頬にある、小さな笑窪に飾られていた光を無くされていた琥珀色の瞳に封じられているような自分の顔を見つめていく。


  丁寧に自分の左手を拒んで来ているような震えている彼女の右手を掴んで行きつつ、まるで自分に彼女の手を離さないでと語って来ているように、繊細な指先で自分の自分の手のひらに触れて来ている抜け殻と化していたように、自分の顔を見つめては、漠然と唇を開けていた彼女の瞳に微笑んでいた彼、『頑張ってみるよ。』「うん…」平坦な声に乗せていた酷く自分に自信を付けに来てくれる言葉に、口角を上げられているように感じては、幸せそうにと小さな口角を上げては、笑って行きながら、目線を自分たちのくっついてしまいそうな足に向けていく利佳は、嬉しそうにと呟いていた、「ありがとう…」


  幸せそうな声で自分にお礼の話を向けてくれていた利佳に、心をくすぐられているように思いつつ、ぼんやりとしている目線を自分の太股に乗せていた画帳に向けてしまう野黒新は、軽く左手を彼女の右手から引いては、ゆっくりとページを捲っていた。淡いに照らされていく楽しそうにとカラスのマスクを掛けていた玩具を握っては、左手で赤くなっていた額を擦っていた、顔が酷く丸く描かれていた野黒新。ぼんやりと絵と化していた彼の様を見下ろしてしまう春菜は、右手にある灰色の鉛筆を握って、電気スタンドに照らされていた画帳にある自分が描いていた野黒新の顔と、自分が添えていく文字を緑色の瞳で俯いてしまう春菜は微笑んでいく。

  

  晴天だけれど、私の気持ちはちょっと曇ってるんだ。幼稚園から卒業してしまうから、もうしんと会えなくなるって思って、私は彼を家に誘ったんだ。自分が画帳に残していた文字を目にしてしまうと、つい照れ臭い心境になり、恥ずかしそうにと軽く右手にある鉛筆を下していく春菜は、軽く小さな右手の人差し指で自分が描いていた文字を指していき。いつもぼんやりしている彼が迷子にならないように、私たちは幼稚園で待ち合わせして、私が家に案内したんだ、帰る時には叔母さんが迎えに来たんだだけど。

  

  丁寧に華奢な右手の人差し指で文字にアンダーバーを引いて行くようにと、文字の下に沿って行きつつ、自分が絵に添えていた文字は間違っていた部分はないのかと確認していく春菜。家に来たしんはどうして急に呼んだのかって聞いてくれてて、私はなかなか答える勇気がなかったの、彼は私の部屋の本棚にある漫画を見るとね、見てもいい?見てもいい?って何度も聞いて来て。自分が書いていた文字を心で読んでいくと、口角が自然に上げられているような気分になれている春菜は、嬉しそうにと目を細めていた。彼が嬉しいなら、私も嬉しい、読んでいいよって言ったら彼は何も喋らなくなって漫画を読み始めたんだ。


  いたっ!椅子に座っていた私はベッドに座っていたしんの声を聞くと、慌てて彼のところに行ったの。白いページに残されていた文字に苦笑いして見たくなりつつ、チラッと自分が描いていた彼の赤い額に目を向けては、絵の彼をからかって行くようにと軽く左手の人差し指で、彼の膨らんでいたような額を擦っていく春菜はぽつりと呟いていた、「おっちょこちょいんだから…」自分に返事を向ける事が無いと知りながらも、絵に話しかけていた春菜は微笑んでは、彼が自分に返事を向けて来ない故に、自分はちゃんと彼に内心で思っていた全ての言葉を画帳に残して行けるんだと漠然と考えてしまう彼女、胸元の奥にあるいつ爆発してしまうのかが分からない存在に、心に憂いを纏わされているような気分を味わっている彼女は軽く鼻翼に力を入れては、思わずため息をついて見たくなってしまう彼女はチラッと目線を画帳に向けていく。


  しんは漫画を読むのに夢中になっていて、床に座っていた彼が漫画を高くして読んでいくにつれて、頭が強く私のベッドに当たっていたらしい。ううっ!って、めちゃくちゃ苦しそうな声を上げていた彼の事がすごく、ものすごく心配してる私は走って彼にどうしたのって、聞いてたんだ。「うんうん。」まるで自分が書いていた文章に満足しているようにと軽く両腕を机に付けては、白皙の顎を繊細な右手の手の甲に付けていた春菜は、自分が書いていた文字を見つめて行きつつ、脳内に浮かんで来ていた彼のおっちょこちょい姿を楽しんで行くようにと軽く口角を上げては、急いでいるようにと目線を灰色の文字に向けていた。


  私に頭を撫でられるとね、しんの顔はアニメのヒロインが急に主人公にキスされたように真っ赤になっちゃていて、ボーっと私を見ていた彼の涙が出ちゃいそうな目を見るとね、私が頑張って何とかして上げないとって思ってて、めちゃくちゃ痛かったらしいから漫画の続きも読めなくなっていた彼に、何をして上げたらいいのかなって思っている私は彼の髪を撫でながら、ものすごく考えてたの。


  軽く両手を握ってはまるで自分が書いていた文章に、声を当てて行こうとしているように、屈託のない笑みを自分が描いていた野黒新の頭を擦っていた絵に、合わせて行くようにと軽く白皙の首を伸ばしては、両親にまだ眠っていないのかと心配をかけたくないと強く思っては、軽く声を抑えていくようにと華奢な両手を口角に添えていく春菜、「は~!」って私はアニメで学んだ魔法の呪文を思い出したんだ、なんだか不思議な魔法でね、どう考えても痛いのが飛ぶはずないのにって、アニメを見た時の私はずっと思ってたけど、いざ身近で怪我人が出るとね、お医者さんじゃない私にはもうこれしかしてあげれる事はないやって、諦めたような感覚で彼の顔を見ながら笑ってたの、「いたいのいたいのとんでいけって。」


  まるで自分が画帳に残されていた言葉に刺激されているようにと、両手で画帳を握っては、軽く眉間に皺寄せていく春菜は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、画帳に描かれていた台詞を見つめては、ぽつりと声を上げていた、「どのキャラが言う台詞だよ…」軽く喉元に力を入れては、野黒新の声色を真似していた春菜は、まるで自分が演じていた彼の声色にヒントを貰えたかのようにと微笑んでは、軽く左手でガッツポーズを取っていく、「ペンペンちゃんが敵のお尻を叩いた後で言う台詞なんだ~」


  自分が発していた嬉々とした声色に心をくすぐられているように思えては、思わず自分がアニメーションの中にあるキャラクターの声を演じていけたらと一瞬夢に見ては、ぼんやりとしている目線を自分の胸元に向けては、心臓のことを思い出していくと、つい悔やんでは、自分には綺麗な夢を持ったとしても、ただ悲しんでしまうだけなんだとぼんやりと考えては、悔しそうに唇を噤んでしまう春菜は内心にある憂いを誘っている現実から、逃げて行くようにと目線を自分の右手に握られていた画帳に向けては、ゆっくりと椅子から離れて行きつつ、画帳に描かれていた野黒新の絵を見つめながらぽつりと声を上げていた、「ぼくは敵かな…?」


  脳内に浮かんで来る後頭部を擦って行きつつ、自分に苦笑いしてくれていた野黒新の態度に目を細められては、彼のことを思い出していくと、つい内心にある悲しみが消え去ってしまいそうに感じている春菜はぼんやりと俯いては、幸せそうな笑みを浮かんでいた、「えへへ…」まったりと左手をページに添えては、ぷいと頭を絵の中にある自分に向けてくれていた野黒新の後頭部の絵に、合わせて行くようにと唇をすぼめていく春菜は、不貞腐れるようにと声を上げてき、「もういいよ、帰る。」


  忽然、まるで自分が真似していた彼の声色に心を苛まれているように、思わず猛然と左手を電気スタンドの方向に向けていた春菜、「ま、待って…!」まったりと振り返っては自分が演じていた不満そうな彼の声色に、眉毛を引かれているようにと眉間に皺寄せていく彼女は軽く顎を上げて行きつつ、ぼんやりと薄暗い部屋の壁を見つめていき、「なんだよ。」両親に自分はまだ起きている事を知らせたくはないと、強く思いながら恐る恐ると右足を前に向けて一歩を踏み出していく春菜は、恐る恐ると震えている左手を画帳に添えていた、「実は…ずっと話したいことがあるの。」


  弱り切っているような声を上げては、段々自分と彼の話を自分が画帳に残していた絵に合わせていくのが、酷く楽しく思い始めている春菜は小さなコマの中に封じられていたように、眉間に皺寄せていた彼の絵を見て行きつつ、軽く左手を上げては、後頭部を擦っていく、「はあ…?どんな事?」軽く歯を噛んでは、鼻翼に力を入れて行きつつ、まるで自分が描いていた小さな彼の絵に、顔を誘導されているようにと部屋の左側にある本棚に目線を向けていく春菜は言う、「お勧めのアニメ?漫画?ゲーム?」「うっ…」自分が演じていた少しばかり不満そうな声色に、肩を縮められているように感じては、恐る恐ると一歩を自分が立っていた場所から引いては、軽く両手に握られていた画帳を前に向けて伸ばしては、腕を組んでいた野黒新の絵を見ていく彼女、「ううん…」まったりと首を横に振っては、軽く左手を胸元に当ててしまう春菜は、小さな右手で画帳を握って行きつつ、弱っている声を空気に向けていく、「あのね…」




  

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