　　竜祥の渇いた唇から漏れて来る温かい吐息と自分の事を気にかけてくれているような声色に、口角を支えられているようにと感じている久守は、自分の口角に沿っていく寒風に冷やされていく赤い液体の事を気にすることなく、必死に人生の最後で自分が惚れていた相手の事をもっと具体的に知りたいと願っている、「死に行くのは…」強張っているような口角が微かに震えている彼女は軽く左手を握っては、竜祥の眉間に皺寄せている様を見つめて言う、「悲しんですしね…」

　　久守が自分に抗う事なく言葉をかけて来ている態度に心を攻撃されているような気がしてならないでいる竜祥、軽くひんやりとした息を吸い込んでは、悔しい心境に体を焼かれているような思いを沈ませてから、ちゃんと自分にとっての、自分の目標に一番近づけるような行動は何なのかと考えて行こうと強く考えている彼は、まったりと目を瞑っては軽く顎を上げていく、「力を集めるのは、」軽く細長い黒い眉毛を開けていく竜祥は怒気に満たされているような眼で自分の事を嘲笑っているようにも見えてしまう柱を固定して行くように睨んでは、喉から声を絞り出していた、「あのふざけた神に挑むためなんだ。」

　　竜祥のやけに本気の口調で紡いだ話に眉毛を跳ねらされているように感じつつ、一瞬中二病にも思えていた彼の言葉に疼く心をくすぐられているような気がしている彼女はぼんやりと顎を上げては、彼のやけに真剣な表情を見つめてしまうと、口角を軽く上げられているように感じては、彼にはきっと彼が本気で紡いだ言葉を成せるんだと強く信じている彼女はぽつりと弱っている声を発していき、「神様に…挑むのですか…？」

　　「ああ、もちろんだ。」久守のまるで自分が紡いだ言葉を信じられないでいるようなくらいに驚いている口調を耳にしながら、迷わずに強く頷いていく竜祥は言う、「民衆の事を慰める為の戯言を言ったつもりはないぞ、」遠くにある空を貫いては大海原のど真ん中で佇む柱を睨んでいた竜祥は、揺るぎない眼差しを久守に向けていきながら声を発していく、「俺は確実にそうするんだ。」竜祥が自分に向けて来ているやけに力に満ちあふれているような声色に口角をくすぐられているように思いつつ、微笑んでいく久守は何度も小刻みに頷いては、とめどなく自分の口角を濡らしては、まったりと地面に滴り落ちていく生き血の粒に不満を覚えては、人類の輝きにも思えてしまう竜祥が着こなしていた服装を汚したくないと強く思っている彼女、「うん…信じてますよ。」ぽつりと自分たちの事を殴って来ているような風に掻き消されてしまいそうなぐらいに弱っている声を発してしまう彼女は呆然と竜祥の事を見上げて言う、「けど…どうやって…？」

　　「致命的なダメージを与えるには、」久守の否応なしに震わされている両足に一瞥していくと、軽く歯を噛んでしまう竜祥は彼女の左肩にかけていた左手に力を入れて行きつつ、彼女が自分に聞きたがっている事を全部教えてから彼女に死んで貰っていこうと思っている彼は言う、「百匹の蟻より確実の狂犬の一撃なんだよ。」まるで口元にある生き血で自分が着ていたシャツを汚したくないと言っているように自分の左手に従ってくれないで、顔を逸らそうとしている久守は愚かのように思いつつ、苦笑いしてしまう彼は否応なしに胸元を彼女の口元にくっついていく。

　　「うう…」まるで自分の事を逃がさないようにと強くほんのりとした香りを鼻腔に突っ込んでくれては、有無を言わせずに口角に白いシャツを付けて来ている竜祥に困らされている久守は眉間に皺寄せて行きつつ、まるで自分を寒風から守ってくれているような彼の苦しそうに微かに眉をひそめている様を見上げていく彼女は言う、「竜祥…さま…？」ぽつりと開けている鉄さびの匂いに侵されている彼女の艶やかな唇と、少しばかり赤くなっている彼女の歯と、彼女が自分に向けて来る戸惑っている眼差しや質問を気にすることなく、言葉を紡いでいこうとする竜祥は、左腕の中で震えている彼女の肩を握っている左手に微かに力を込めていく、「お前も分かるはずだろう？」

　　自分が発していた声に困惑気味になりつつ、まるで自分に強く抱えられていることを楽しんでいるようにと嬉しそうな笑みを浮かべている久守に苦笑いしてしまう竜祥、彼女とどれだけ話をしたって自分の作戦に影響を及ぼす事はないと知りながらも、彼女と話せば話す程に柱とシルエットに向けていく作戦を考える時間は減ってしまうんだと強く思っている竜祥は目を細めて行きつつ、紅の瞳の中にある自分の顔を見つめて言う、「たかが数百のあのふざけた神が与えに来ていたパラメータでは、」

　　軽く鼻翼に力を入れてはひんやりとした息を吸い込んでいく彼は久守が未だに、彼女の命を奪おうとしている自分に向けて来る崇拝の眼差しを感じてしまうと、つい作戦ばっかり考えより、具体的な作戦を練り上げるには、ちゃんと情報や考えを整理していく必要があるんだとぼんやりと考えている彼、「到底大したことが出来やしないってことぐらいは、」久守の致命傷を負っても真面目に自分が語っている言葉を耳にしてくれている様に悔やんでは、勝手に彼女の自分に向けて来る数少なくなっている問題を全部教えてあげたいと思っては、その事に理由を付けていく自分に飽きれている彼、「だから、人間を馬鹿にして来ていたあの神とやらに、」声に乗せていた言葉に苛立ちを覚えているようにと歯ぎしりしてしまう竜祥はゆっくりと自分に抱えられている彼女の潤んでいる紅の瞳から目線を柱に向けていき、「人類の未来を、俺の人生を、」喉が自分が紡いだ言葉に刺激されているようにと強張っては、悲憤に頭を充填されているような気がしてならないでいる彼は強く歯を噛んでは、右手にある震えがだんだん弱くなっているように感じてしまう久守の鼓動を感じて行きつつ、ぽつりと憤っている声を発していた、「完全に潰していたあの神に復讐するんだ…俺は。」

　　いつも冷静沈着のような彼が向きになっているように自分に投げて来ている話に口角をくすぐられているように感じては、目を細めていく久守は自分の身体を包んでくれているような爽やかな薄荷の匂いを感じて行きつつ、ぽつりと呟くようにと声を上げていき、「やっぱり…人間のためを思って…」まるで自分が発している言葉に興味を引かれているようにゆっくりと自分に目を向けて来ている竜祥の顔を見つめていく彼女は、ぼんやりとしているように見えて来る赤い瞳の中にある自分の笑顔を見つめては、呟いていた、「くださったのですね…」

　　久守が自分に向けて来ていた言葉に目を細められては、何度も鼻翼に力を入れてしまう竜祥は自分の右手を濡らして来ている彼女の体を感じて行きながら、彼女の事を殺そうとしている自分に淡い笑みを向けて来ている彼女は頭が可笑しくなっていたのかと思い、彼女のまるで何事もなかったかのように微笑んでくれている姿勢を理解出来ずにいる彼は言う、「怒らないのか、お前は。」

　　竜祥の自分に向けて怒っているような言葉を投げてくれていた事に口角を支えられているように感じては、幸せそうな笑みを浮かべて行きながら、胸元から全身に広がっているいく痛みが大分緩和出来ているように思えてしまう彼女、「やっと…」潤んでは微かに充血している紅の瞳で彼の困っているようにと眉間に皺寄せていく様を映し出している久守、「素であたしに話てくださったのですね…？」久守の感動しているようにと軽く震えている左手を上げては、自分の頬に触れようとしている姿に軽く歯を噛んでは、今度は彼女の事を避けてしまうと、自分に好意を抱いてくれている彼女は永遠に自分に触れることが出来なくなるんだと強く思っている竜祥、「死に行く奴の前でどれだけ偽ったって意味がないからな。」

　　向きになっているようにと軽く自分から隣りにある工場に目を向けていく竜祥のあからさまに自分を避けている態度は、些か可愛く思えている久守は軽く右側の口角を上げていき、「えへへ…」自分の左手を避けずにひんやりとした風に嬲られている右頬を触れさせてくれている彼の事を思うと、一瞬にして自分が見えないぐらいに速い攻撃を仕掛けて来ていた彼が、もし本当に自分に残酷な手をかけようとしたらのなら、自分はきっともう何十回も死んでいたのであろうと思いつつ、左手にいる彼の存在を感じていくと、つい彼はやむを得ずにいるせいで自分を殺そうとしているんだと信じている久守は言う、「それもそうですよね…」

　　竜祥の自分が発していた言葉に負い目を感じているようにと軽く眉間に皺寄せてくれている様に目を細め行きつつ、唾液を飲み込むのが尋常じゃないぐらいに難しくなっているように思えている久守、「あたしは思うのですよ…」体に力を入れてるのは辛く感じてしまう彼女は風に押されているようにと、ぼんやりと頬を右肩に寄せて行きながら、彼の顔を見つめていく、「大勢の人を束ねていくのって…」ぼんやりと言葉を紡いで行きながら、竜祥は自分の殺すのはきっと何かしらの大義の為なんだと思っている久守、「やっぱりしんどいことぐらいは…」賢い彼には到底自分なんかじゃ触れることが出来ない領域で、彼なりの考えがあったりするんだと呆然としている頭でそう考えてしまう彼女は言う、「皆は簡単にパニックに陥ってまともな判断が出来なくなるのかと思いますよ…」

　　久守が紡いでくれているまるで自分が彼女の事を殺すの方が当たり前だと言ってきている様に瞼をこじ開けられているような気がしてならないでいる竜祥は、思わず何度も鼻翼に力を入れては、彼女の左肩を握っている左手に微かな力を込めてしまい。「だから…」自分の視界を隠そうとしているような徐々に重たくなっている瞼に微かな不満を覚えてしまう久守は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、彼の顔を見つめていく、「具体的な事を教えられても多分あたしにはわからないのですから…」軽く口角を上げてしまう久守は靄がかかっているように霞んでいく視界の中で彼の面影を見つめながら、ぽつりと生き血に汚されていた唇を開けていき、「あなたが本当に人間のためを思ってやってくれていた事なら、」口角を上げては自分の死で負い目を感じては、人間の未来のためへの判断を鈍らせたくないと強く思っている久守は自分の考えは可笑しく思いつつ、ちゃんと彼に全ての事を聞かされてから殺されるのは、やっぱり斗奴雷と同じように、既に出来上がっていたことをどれだけ気にかけても、結末が変わらないと言うのなら、このままの方がいいんだと思っている彼女はまったりと彼の頬に当てていた段々重たくなっているようにと実感している左手を下ろして行きつつ、ぽつりと声を発していく、「あたしには文句を言ったりはしませんよ。」

　　久守の命を奪っていく相手である自分のやることを理解してくれている態度に見開かされては、思わずあんぐり口を開けていた竜祥は猛然と強く歯を噛んでは、軽く顔を彼女の見る見るうちに白いファンデーションに塗られているような顔に近づいていき、「愚かだな、」不服そうにとぼんやりと目を閉ざそうとしている彼女の事を睨むように見つめていく彼は言う、「人間には神に勝てるはずもないだろうに。」

　　竜祥のまるで彼に苛立ちを覚えているような怒っている話に困らされては、呆然と額を自分の体を温めてくれているような彼の胸元に当てて行きつつ、可笑しそうにと口角を上げていく久守はチラッと彼の顔を見ていき、「矛盾してません…？」彼女が自分に聞かせて来ている質問に目を細められては、何度も首を横に振っていく竜祥は潤んでいる赤い瞳で柱の事を映し出して行きながら、悔しさに満たされているようにと感じている体の芯から声を発していた、「していないさ、俺はガチで神に挑みたいけど、」いとも簡単に自分には想像すらしていなかった技術を見せつけて来ていたシルエットは、もし本気で人類を潰したいと言うのなら、自分がどれだけ知恵を絞っても、人間以外のものに勝てるはずもないと強く思っている彼、「勝てるなんて考えちゃいない。」

　　自分が発していた無力な話に苛立ちを覚えては思わず強く歯を噛んでしまう竜祥は言う、「力も情報も武器も、」残念そうにと何度も首を横に振ってしまう彼は到底自分にはシルエットに勝てるような可能性を試すより、相手がくれていたルールに従って、地道に力を集めていく他ないように感じている彼は言う、「何もかも違っている相手とどうやって戦うって話だ。」

　　竜祥は勝てない戦いだと知りながらも人類を散々苦しめて来ているシルエットに戦いを挑もうとしていることを知れてしまうと、ますます彼に尊敬してしまうように思えている久守は彼の凛とした顔立ちを見つめて行きつつ、彼に尋ねていき、「なのに…戦うのですか…？」「ああ、」久守が自分に投げて来ている、自分からシルエットは一体どれだけ手強い相手なのかを知れては、微かに恐れているような声色で紡いだ質問を耳にすると、迷わずに首を縦に振っていた竜祥、「人間を舐めるなって、」ゆっくりと微かにぼやけては、光を失っているような彼女の瞳から逃げていくように目を逸らしては、柱の事を見上げていく竜祥、「そのふざけた神にその言葉をぶつける必要はなく、」灰色の雲に隠されている柱の頂点が見えないでいる事に苛立ちを覚えつつ、まるで自分にはシルエットに打ち勝つことが出来ないんだと知らせてくれているように思えている彼は、左手にある彼女の事を強く抱えては、怒りに頭を満たされているようにと感じている彼は沈んでいるような声色で言葉を紡いでいく、「ただ一矢を報いってやりたいだけだ。」

　　竜祥のやけに怒っている態度を呆然と見つめては、体中に拡散していく激痛がだんだん弱くなっているように感じてしまうと同時に、手足が酷く冷たくなっているようにと思えている久守、軽く歯を噛んでは、自分の視界から彼の存在を奪おうとしているような暗闇と戦おうと強く思い、もう少し彼が自分にだけ紡いでくれている説明を聞いていきたいと願いつつ、あわよくば、彼にもっと話をしては、彼に斗奴雷と楽々花に関してこれ以上の事をしないでと懇願していこうと強く思っている久守。

　　「一瞬でもビビらせるようなことをする。」自分が声に乗せていた話は非常に情けなく感じてしまう竜祥は、自分が紡いだ話を実行するのも精一杯なくらいに、相手は人間の常識から遥か上にある存在なんだと思っている彼は悔やんでいるようにと揺るぎない眼差しを久守に向けて言う、「それが俺の狙いだよ。」竜祥がやけに強く聞こえて来る口調に微かな勇気を貰えていたように思い、強く歯を噛んでは、彼がまだ自分に話をしてくれている限りは、簡単に暗闇に身を投じて、冷たい床で眠りたくないと強く思っている彼女は無理矢理閉じてしまいそうな瞼を開けていき、「本当は…」まるで自分の願いに応えてくれているようにと霞んでいた視界が少しばかり綺麗になれているように見えては、自分の事を抱きしめてくれては真面目な表情で自分の顔を見下ろしてくれている竜祥の赤い瞳に軽く口角を上げられては、もう少し彼の傍で彼に抱えられ、彼の声が聞きたいと願っている彼女は言う、「勝ちたいのでしょう…」

　　久守がぼんやりと自分に向けて来る当たり前のような話に鼻をくすぐられては、刺し違えても、必ずしもシルエットを地獄に連れていきたいと強く思っている竜祥は、残念そうに笑っては、声を発していた、「復讐するには、それが一番だろうけどよ…」目を細めて行きながらぼんやりと自分の顔を見上げてくれている久守の体を左腕で抱えてしまうと、やはり人間は酷く弱いものなんだと思ってしまう彼は言う、「でも、所詮人間ごときって話だ。」

　　「えへへ…」竜祥の悔やんでいるような態度がまるで上手く宿題を解けることが出来ずにいる学生のように感じている久守は、可笑しそうに笑いながら彼の事を見つめていき、宛ら自分が発していた笑い声に困らされているようにと眉をひそめている竜祥の事を見つめていく彼女は、軽く右側の口角を上げて行きつつ、嬉しそうに微笑みながら彼に尋ねていく、「実は本当に皆の事を守りたいって、」自分の体を冷やしに来ているような冷たい空気を吸い込んでいく彼女は、星々を背景にしているような彼の頬を飾り付けているような赤い瞳の中にある自分の事を見つめていく、「一瞬ぐらいは思いませんでしたか…？」

　　久守が自分に向けて来る言葉に顔を逸らしては、可笑しそうにと軽く右側の口角を上げてしまう竜祥は横目で柱のことを睨んでは、シルエットが人間を苦しめたいと言うのなら人間は苦しめられてしまうように、自分が人間を助けるかどうかを思うのは、シルエットと柱の前では些末な事なんだと思ってしまう彼、悔しそうにと軽く歯を噛んでいく彼は自分から大切な人を奪っていたシルエットに、何もかも予想に反するような出来事を仕掛けあげたいと強く願っては、あわよくば本気で全人類を助けて見るのも悪くないと一瞬思っては、目標が定かではなくなってしまうと、自分は足踏みするしか出来なくなるんだと強く思っている彼はぽつりと声を発していた、「全然。」

　　竜祥の平然と口にしていた言葉に目を細めて行きつつ、シンプルな一言を声に乗せるには大分時間をかかっていた彼は、やはり自分に図星を指されていたんだと思ってしまう彼女、「そうなのですか…」口角を上げては、軽く細い眉毛をひそめている彼の事がどうしても嫌いになれないでいる自分はどうかしているんだと思いつつ、割と今の自分が嫌になれないでいる自分はもうすっかり彼に身も心もを抱えられていたんだなとぼんやりと考えている彼女は言う、「でも、大事な人を、」宛ら自分が声にしていた言葉に驚いているようにと軽く眉毛を跳ねらせていた竜祥の顔を見つめていく彼女は、軽く歯を噛んでいる彼につられているようにと切なげに眉をひそめていき、「守れなかったから…」苦い笑みを浮かべていく久守は竜祥の頑なに自分と目線を合わせようとしないでいる態度を見つめてしまうと、彼はやはり自分が思っているような人なんだと感じている彼女、「そうなっていたのでしょう…？」

　　”ドクンー”まるで自分の何もかも見抜いているような紅の瞳に微かな畏怖を覚えてしまう竜祥は、強張っているような右手に蔓延るようにと感じている液体の感触に心を苛まれているような気がしてならないでいる彼は強く歯を噛んでは、彼女から目を逸らしていく、「ノーコメントだ。」竜祥のあからさま慌てている素振りに目を細められては、嬉しそうに微笑んでいく久守はつい自分たちはカップルのようになれているように思いつつ、切なげに右側の口角を上げていく彼女は言う、「図星ですね…？」まるで自分が紡いだ言葉は聞こえていないようにと無言で自分の体を抱えてくれて、星空を見上げている竜祥の横顔に淡い笑みを見せていく久守、「教えませんでしたか…？」

　　まるで自分に何がだと聞きに気ているようにと軽く眉間に皺寄せている竜祥が自分に向けて来ている頬に微笑んでは、小さな笑窪を彼に見せていく久守は威張っているようにと軽く右頬を彼の胸元に当てていき、「あたし、結構鈍いのです…」体が竜祥にずっと抱えられているせいで、つい凍えているようにと思えてしまう両足をどうやって歩かせるのかを忘れていたようにと思えてしまう久守は、ぼんやりと自分に熱量を与えてくれているような彼の体を感じて行きつつ、黙々と自分の話を待ってくれている彼の胸元にあるまるで自分に挨拶しに来ているような心臓の鼓動に顔をくすぐられているように感じている彼女は微笑んで言う、「でも…今はなんだか…」自分には段々力を無くしているのを、冷えている体の芯で感じている彼女は黙々と内心でもう少し持ちこたえてくれと願いながら声を発していた、「鋭くなったような気がしているのです。」

　　久守が自分にかけて来ていた思わせ振りの言葉に戸惑っては、ぼんやりと小首を傾げていく竜祥はつい彼女は一体何に気が付いていたのかと気になっては、胸元の奥からこみ上げて来る好奇心に唇をこじ開けられている、「何が言いたいんだ？お前。」自分のことを応援してくれているような竜祥の心臓の鼓動を感じて行きつつ、ついまるで自分の体を地面のそこまで引き摺り下ろそうとしているような、氷と化している両足に負けてはいけないと強く思っている彼女は言う、「あなたと共に別荘に行っていた時で、」

　　自分の首に鎌をかけて来ている死神と抗っているせいで、息遣いが段々荒くなっている彼女は、まるで強く息を吸いこむことを許してくれないでいるような胸元の荒れ狂っているような激痛に苛まれては、ぽつりと錆び付いていたように感じてしまう喉から嗄れている声を絞り出していた、「何となく分かっていたのです…」自分が命懸けで紡ごうとしている言葉に苦しめられているように感じては、思わず苦い笑みを浮かべていく彼女はぽつりと呟いていく、「自分には小夜さんに勝てないんだってことぐらいは。」

　　”ドクンー”重症を負ってはいつ声を発することが出来なくなるのも可笑しくないはずの久守が、やけに健気に言葉を紡いでいる姿勢に感動を覚えていた竜祥、彼女がまるで生き血に気管を微かに詰まらされているような濁っている声色に歯を噛んでは、口角を斜め下の方向に向けて引っ張られては、胸元が彼女が紡いだ言葉のナイフに刺されていたようにと思えている彼、「そう…」まるで自分が紡いだ話は正しいぞと教えに来てくれているような彼の段々激しくなれている心音に口角をくすぐられているように感じつつも、もう少しで他界してしまうのであろう人に、残酷な現実を声に乗せようとしないでいる彼はやはり優しい人間なんだと強く思っている久守は言う、「彼女は…綺麗な人で…」ぼんやりと自分の事を招待してくれていた竜祥の別荘を思い浮かんで行きながら、別荘にふさわしい女主人は自分ではないんだと思えている彼女、「縫いぐるみとか…」視界が苦しみに霞まされているように感じては、鼻腔の奥が、鼓動が酷く弱っている胸元の奥からゆっくりと上げて来る悲しみに麻痺されているように思えている彼女は言う、「動物が結構好きだったんじゃないしょうか…？」

　　久守の泣き出してしまいそうなぐらいに弱り切っている声色を耳にすると、強く歯を噛んでしまう竜祥はつい彼女の事を見る資格を無くしているように感じては、彼女の体を支えない方がいいんじゃないかとぼんやりと考えている彼は軽く鼻を啜っては、脳内を過っていく自分に微笑んでくれては、まるで自分の背中を推して来ている寒風と化しているように、自分にちゃんと弱り切っている久守を支えて欲しいと言いに来ているような小夜の存在に涙目にされては、心臓が潰されているような激痛に苦しめられ、瞳が悲しみで出来上がっている赤い糸に囲まれている彼は言う、「ああ、好きなんだ…」

　　声が微かに震えている竜祥はやはり自分なんかより、ずっと自分には実際会った事のない小夜と言う女の子の方が好きなんだと考えてしまう久守、「あの別荘も、額縁の隣りにある指輪も…」額を彼の自分の口の中から流れていく生き血に汚されていた彼のシャツに当てては、彼に甘えているような気分になれている久守は軽く額をずらしては横目で彼の顔を見つめようと考えている、「彼女の為にわざわざ作っていたものなのでは…？」

　　久守のまるで自分と小夜の間で起こっていたことを、自分の胸元を通して読み取れてくれているような態度に口角をくすぐられているように感じては、歯を食いしばっていた竜祥は切なげに自分の顔を見つめて来ている彼女に言う、「鋭いな、お前。」「えへへ…」彼が素直に自分の事を褒めてくれていた事を思うと、凍え始めているような心臓が微かに温かくなれては、自分にはもう少し頑張って行けるようにと思えている彼女は、切なげな笑みを浮かべて行きながら言葉を紡いでいく、「壊れていたとしても…」

　　目を細めてしまう久守はつい自分が紡いでいる話は自分の心臓を精神的に追い詰めては、抉っているようにと思えている、「やはり彼女が履いていたハイヒールを捨てることが出来なかったり、」自分が紡いでいく言葉をぼんやりと耳鳴りが止まないでいる耳で聞いている彼女、「折れていたヒールも捨てることが出来くらい…」言葉を紡いで行けば行く程に、自分には既に彼の心の中に住んでいる住人には勝てやしないようにと思えている久守、「もうサイズが合わなくなったら誕生日プレゼントの…」一気に紡ぎたい言葉を最後まで口にするのは非常に困難に思えては、軽くひんやりと空気を少しだけ吸い込んでは急いで話をしていかないと、自分に残されていた時間に間に合わなくなってしまうんだと思っている彼女は言う、「スニーカーも捨てずにずっと大切に保存して来たぐらいに…」ぼんやりと自分の頬にくっついて来ていた彼の胸元を感じていくと、自分が肌で感じているように、自分は彼の胸元に止まっていては、決して彼の心に入ることが出来ないんだと思えている彼女、まるで自分の考えに苦しめられているような潤んでは充血している眼は竜祥の顔を映し出して行きつつ、ぽつりと小さな透明な粒を零しては、空にある瞬く間に星を凝縮していくと同時に紺色のキャンバスを跨ぐ流れ星の如き、ファンデーションを塗っていた頬に白皙の軌跡を残していく、「あなたは彼女の事を愛しているのでしょう…？」