第193話あの馬鹿でかい柱が降りて来る前の社会は、一言で例えるのなら、フィルターと煙のようなもんさ。

  「だからさ?」まるで自分が発していた声に思いを遮られていたような竜祥の、自分が彼の事を甚振っていくように起伏している声に驚かされては猛然と額を上げている様を見つめていく入れ墨の男性はゆっくりと顔を彼に近づかせて行きつつ、小首を傾げて行きながら声を発していた、「この一時的に完全なる主動権を握っている俺たちの機嫌を損なってしまうと、」自分が紡ごうとする話を完全に理解しているようにと軽く両足を引いては歯を食いしばっている竜祥の顔を見つめていく入れ墨の男性は強く鼻で息を出していた、「どうなっちまうのか、分かる?」


  まるで自分の心身ともに潰そうとしているような入れ墨の男性が投げて来ていた言葉に喉を殴られているように思えては、彼に反抗してしまうと、つい残酷な彼にどれだけ酷い目に遭わされてしまうのかと考えていく竜祥、「うっ…」宛ら心が木端微塵のようにと潰されていたようにと、苦しそうに痙攣しているような両手を握っている竜祥の事を凝視していく入れ墨の男性はまったりと右手を彼の脂っこい黒い髪の毛に向けて伸ばして行きつつ、声を上げていく、「それこそお前の両親がびんびんしているとしても、」宛ら黒いボールを弄んでいるように、ゆっくりと涙を堪えようとする竜祥の頭を鷲掴みにしては、左右に回していく入れ墨の男性は言う、「貧乏人の話なんて誰も気にしたりはしねぇんだよ、」


  入れ墨の男性がまたしても自分に酷く赤裸々にも思えてしまう言葉を投げて来ていた態度に苦しめられては強く歯を噛んでいく竜祥、体格で負けたとしても、精神的にまで負けてたら、自分は完全に目の前にいる悪道な人間に負けてしまうんだと強く考えている彼はごくりと固唾を飲み込んでは、悲しそうにと鼻を啜っていく。竜祥の悲しみとひんやりとした廊下に突っ込んで来ている寒風に苦しめられては黙々と涙を零していく様を楽しんでいるようにと肩をすくめて行きつつ、横目で彼の事を見下ろしていく入れ墨の男性は言う、「これが社会のルールだ、覚えておけよ?餓鬼。」


  入れ墨の男性のまるで自分には彼が紡いでいる言葉を分からなかったと、語って来ているような態度に苛立ちを覚えつつ、つい内心を満たして来ている悲憤に駆り立てられているように思えては、ゆっくりと額を上げていく竜祥は潤んでは充血している眼で彼の顔を睨んでいき、「じゃ…僕には凄い知り合いがいるとしてたら…?」自分が厳かな口調で紡いだ言葉に絶句されているようにとゆっくり両手を下している入れ墨の男性の事を凝視していく竜祥は軽く唾液を飲み込んでは、はったりでも入れ墨の男性に驚かされてやりたいと強く願っている竜祥は震えている両手を握り締めつつ、彼に尋ねていた、「君はどうするつもりなのかな?」


  竜祥の平然としている態度に口角を上げられているように思えては、彼の自分が驚くんじゃないかと期待しているような眼を見れば見るほど程に不満が募っているように感じては、強く鼻で笑っていく入れ墨の男性、「ははっ、」まったりと右手を額に向けて行きながら何度も首を横に振っていく入れ墨の男性は、自分のリアクションに戸惑っているようにと眉をひそめている竜祥の顔を見つめては、残念そうにと肩をすくめていく、「これだから貧乏人の餓鬼は分かってねんだよな?」


  入れ墨の男性のまったく自分がコネを持っている事に関して萎縮していない様を見つめると、もしかしたら彼には警察の中にいる偉い人と何かしらの繋がりでもあるんじゃないかと想像してしまう竜祥、ごくりと固唾を飲み込んでいく彼はつい向きになっては入れ墨の男性に歯向かうような話を紡いだ事に関して後悔し始めている、「何が言いたいんだよ…」竜祥の自分の余裕そうな態度に畏怖しては、軽く体を引いていく様を見つめつつ、彼に自分のもとから逃れようとしないでいる入れ墨の男性はゆっくりと彼に向けて歩いて行きながら声を上げていく、「ちゃんと俺を解雇するほどのコネを持っている奴は、」チラッと視線を破られていた窓から突っ込んで来ている大きな風と雨の粒に濡らされていく使い古されたドアに向けていく入れ墨の男性、「きっともっと上を目指して社会のヒエラルキーを目見定めて登っていくに決まってるんだろうが?」軽く顎を上げては竜祥の自分に論破されていたようにと眉毛を跳ねらせている様が実に滑稽に思えては、自分の心を冷やしに来ていたような話を紡いだ彼の事をもっと可愛がってやろうと強く思っている入れ墨の男性は言う、「誰が自分より下にいる奴の事をまともに見る?」

  

  「うっ…」入れ墨の男性が自分に向けて来る微かな希望も残されていないような社会の様に心を鷲掴みにされているように思えては、やはり自分の事を助けてくれる小夜だけは自分にとっての光であり、希望なんだと強く思っている竜祥は恐る恐ると自分の左側まで歩いて来ていた入れ墨の男性の事を一瞥していく。「ほら、」まったりと腕を組んでは、竜祥の自分の存在を恐れてはちゃんと自分の目線を合わせることも出来ずにいる態度に口角を上に固定されているように感じては、否応なしに強く右足で彼の臀部を目掛けていく入れ墨の男性、「さっさと歩けや!」


  ”ドー”忽然、宛ら自分に彼に刃向かっていた罰を下しているようにと強く自分の臀部を蹴って来ていた入れ墨の男性の右足に、否応なしに体を階段に向けて動かされては、体が当たり前のように前のめりにされている竜祥、「ううっ!」大慌てで両手を上げては小汚いガードレールを強く握っていく竜祥の弱り切っている背中姿を睨みながら軽く笑っては彼を脅迫するようにと大きな声を上げている入れ墨の男性、「こっちだって暇じゃねぇんだからよぉ!」


  「僕は…」自分の両手の手のひらを汚しに来ているような深い緑色のガードレールの上で溜まっていた灰を睨みつつ、自分の事を酷く見くびっている入れ墨の男性に悲憤を覚えては、もっとまともな家庭にさえ生まれてこれたらきっともっと普通の暮らしが出来ていて、誰にも馬鹿にされることがなくなるんだと強く思っている竜祥は悔しそうに歯ぎしりして行きつつ、金と地位でしか人間を測れない社会は間違っていないのだろうと考えては、もし間違っていたとしても、自分は絶対に間違っている社会のルールから誰よりも上手く舵を切っては生き延びてやると強く願っては、絶対にいっぱい金と地位を手に入れては、小夜に幸せな毎日を向かわせてやると必死に内心で叫んでいる彼、「僕は…絶対にー」


  竜祥のまるで宣言しているような態度に苛立ちを覚えては、猛然と右足を上げて強く彼の震えている背中を蹴っていく入れ墨の男性は自分の上げていた右足に弱っている体をガードレールに固定されている竜祥の事を睨んで行きつつ、眉をひそめていく、「僕はじゃねぇよ!」言葉を紡いで行きつつ、まったりと右足を引いては、これっぽちも子供らしくない竜祥の事を見れば見るほど不満を覚えている入れ墨の男性は猛然と左足を上げては彼の背中に向かって突っ込んでいく、「馬鹿餓鬼が!」


  ”フー”宛ら自分の耳を独り占めしようとしているような風が立てている鋭くにも思えてしまう音を感じて行きつつ、右手を握り締めていく竜祥。ぼんやりと赤い瞳で自分の右手を映し出していく彼は脳内を過っていく貧乏故に馬鹿にされていた過去を思いつつ、軽く歯を噛んでは、まったりひんやりとした風を吸い込んでいく彼は自分が着こなしていた黒いスーツをかっさらおうとしているように白いシャツに当てては、スーツを捲り上げていく大きな風の存在を気にすることなく、呆然と佇んでは、右手をポケットに突っ込んでいく彼はまったりと潤んでいる赤い瞳で紺色の空を照らそうとするようなまろやかな月と、月に寂しい思いをさせないような瞬く星を映し出していく。


  軽く左手を自分の痛く思えてしまう温かい腹部に当てている竜祥は腹部の存在を感じていくと、自然に上げてしまう口角に自分は多分まだ幸せなんだと自分に言い聞かせてみたくなっている彼は星空を眺めながら、ぼんやりと自分に近づいて来ている足音を耳を傾けていく。”ざざ”宛ら自分に挨拶を交わしに来ているような靴底が地面にある小石を踏んでいる音を耳にして行きつつ、まったりと左手を腹部から離れていく竜祥はぽつりと渇いた唇を開けていき、「俺はな、雷が嫌いなんだ。」


  背中を自分に向けたまま言葉を紡ぎ始めている竜祥に見開かされては、ぼんやりとリップクリームに艶を貰えていた唇を開けてしまう久守、「えっ…?」「音だけがやたらとデカくて、」目を細めていきながらゆっくりと自分の軽く握っている左手に視線を落としていく竜祥はぽつりと唇を開けていき、「自分を怖がれ、」宛ら自分が紡いだ話で入れ墨の男性に虐められていた時の事を思い出していたようにと軽く歯を噛んでいく彼は、軽く渇いた唇を舐めては、ぽつりと声を上げていた、「自分こそがこの瞬間の覇者だと叫んでる愚か者に感じてしまうからだ。」呆然と竜祥が紡いでいく話を耳にして行きつつ、まるでピンク色の花畑で遊んでいるような白い蝶々を見下ろしていく久守は自分が履いていたピンク色の靴を気にすることなく、彼が言葉を紡いでいる厳かのはずなのに、微かな温かい優しさが秘められているような口調に目を細められては、幸せそうな笑みを浮かべて行きつつ、彼の背中姿をぼんやりと目にしては、ひんやりとした風の中で依然と佇む彼が途轍もなく格好良く思えている彼女。


  「けれど俺は雷が好きなんだ、」まるでゆっくりと右足を引いては久守に体を向けようとしている自分に合わせてくれているように、まったりと自分が着ていた黒いスーツを吹いてくれては、自分の黒い髪の毛を利用して額をくすぐりに来ている爽やかな風を感じていく彼はぼんやりと自分の足元にある石ころを見下ろしては、まったりと顔を上げていく、「愚か者みたいに天真爛漫な奴なんだからさ?」軽く首を傾げていく彼はまるで自分が浮かんでいる微笑みに見惚れているようにとゆっくりと両手を上げては、繊細な両手を握っていくコーヒー色のコートを着こなしていた久守のあんぐり口を開けている顔を赤い瞳で映し出して行きつつ、言葉を紡いでいく、「そして俺は物事を理解できない阿保は嫌いだ。」


  竜祥のまるで彼が語っている人間を吐き捨てていくようにと軽く眉毛をひそめていく様に眉毛を跳ねられていたように思えては、思わずぱちくりしてしまう久守はつい彼に何かが遭っていたのだろうかとぼんやりと想像している。「ちゃんと自分がどんな場所にいて、」軽く赤くなっていた鼻翼に力を入れては自分の握り締めていたせいで微かに震えている左手を睨んでいく彼は言う、「どうやって上に向かって行けるのかも分かるい奴は淘汰されるのが目に見える話だ。」竜祥が心底彼が語っている人間を毛嫌いしているような言葉に見開かされては、思わずごくりと固唾を飲み込んでいく久守はつい自分がまさしく彼が語っているような類の人であるように思えては、ゆっくりと視線を彼の左手から自分に向けて来ている彼に見開かされては、あんぐり口を開けられてしまいそうな久守は急いでいるようにと膝を包んでくれていた青色のジーンズを合わせては、厳粛に彼に返事をしていき、「は、はい…!」軽く艶やな唇を噛んでしまう久守は呆然と紅の瞳で竜祥の顔を映し出して行きつつ、彼の赤い瞳を見つめては、まるでベージュ色のボンネットに守られているような自分の頭を彼の眼を頼って見てしまうと、思わずボンネットを剥がしては自分の顔を隠して貰いたいと強く思ってしまう久守は、もしかしたら彼はただミッションに失敗していた自分の事を叱って来ている為だけに自分をわざわざ呼んできたんじゃないかと思っては、思わず心を包んで来る不安に殺されてしまいそうに思えては、ごくりと固唾を飲み込んでいた。


  久守の無言で彼女の顔を見つめている自分に恐れている態度に口角をくすぐられているように感じつつ、目を細めていく竜祥はまったりと左手を胸元に当てては、淡い笑みを彼女に見せて行きながら彼女に不安になって欲しくないと強く思っている彼は言う、「けれど何もかも分かっているのに、」目を細めていく竜祥は軽く視線をボンネットに隠されていたような彼女の淡い紫色の髪の毛に向けていき、「それでも愚か者と同じように黙って過ごして、」久守の自分が紡いだ話に戸惑っている様とわざわざおめかしして来ていた彼女は愚かであり、可愛く思えてしまう竜祥はまるで彼女に興味を無くしていたようにゆっくりと右手をポケットから抜け出していく、「愚か者の代わりに声を出す、そのようなどうしようもないくらいの馬鹿は、」脳内を過っていく斗奴雷の苦い笑みを見せて来る表情に心をくすぐられているように思えては、彼が自分の仲間にならないのは非常に残念に思いつつ、もし彼が自分の仲間になろうと思ってしまうのなら、自分にはそんな平凡な奴と共にヘンテコな柱と神に挑みたくないと思っては、自分の矛盾だらけの思いに鼻をくすぐられているように思えている彼は、チラッと潤んでいる赤い瞳でぼんやりと両手を握っては白い吐息を漏らしていく久守の事を映し出していた、「俺は好きなんだよ。」


  「あっ…」まるで自分に告白しに来ているような竜祥が紡ぐ言葉に見開かされては、つい自分に向けて来る告白でもないのに、勝手に加速していく心臓に口角を斜め下の方向に向けられているように感じては、照れくさい心境に頬を軽く撫でられては熱くなっているように感じている彼女は恥ずかしそうに俯いていき。”ザザー”自分の久守に向けて歩いていくと曲を奏でてくれているような地面にある石から立てている音を耳にして行きつつ、軽く首を傾げていく竜祥は自分に近づかれていた事に驚かされては大慌てでぱちくりしている久守に微笑んでは、軽く右手を彼女に向けていく彼は言う、「ところで、俺が君に送っていたバタフライナイフはまだ持っているのかな?」


  「あ、」竜祥が自分にバタフライナイフを求めに来ている様に見開かされては、大慌てで左手でコートの右側にあるポケットを押さえて行きながら、右手をポケットに突っ込んでいく久守は急いで竜祥に彼が求めている物を渡しては、もしかしたら彼は自分に手品でも用意してくれていたんじゃないかと思ってしまう彼女は自分の右手に当てて来ていたようなひんやりとしたバタフライナイフの感覚を強く握っては迷わずに青色を宙に残していた、「は、はい!」

  

  丁寧なまでに両手でバタフライナイフを握ってくれては渡そうとしている久守の行動に目を細められては微笑んでいく竜祥は、軽く右手で青色の蝶々がプリントされていたバタフライナイフを握って行きつつ、軽く頭を下げていく、「ありがとう。」「い、いえ!」竜祥が自分に向けて来ていた言葉に眉毛を上げられているように感じては、ごくりと固唾を飲み込んでいく久守はつい自分と彼しかいないひんやりと空間の中にいることを意識してしまうと、胸元の奥の鼓動が段々激しくなっているように思いつつ、彼のまるで自分の心にある恥ずかしさのリードを引いているように、自分に微笑んでくれている表情を直視すると、心臓が爆発して仕舞いそうな気がしてならないでいる彼女は照れくさそうに後ろに隠していたような右手を上げて行きながら、痒くなっている頬を掻いて行こうと考えている彼女は目を逸らしてはぽつりと呟いていく、「始めて竜祥さまから貰った大切なプレゼントなので…」


  必死に喉を詰まらせに来ているような緊張感を飲み込んでは軽く鼻翼に力を入れていく久守は強く両手を握っては、揺るぎない眼差しを竜祥に向けて言う、「肌身離さずに持ってますよ!」宛ら自分が発しているやけに元気そうな声色にからかわれているようにと軽く握っている左手を唇に当てて行きつつ、微笑んでいる竜祥の事を見つめては、もしかしたら彼に阿保な子だと思われているんじゃないかと思っている彼女は彼が見せて来る笑みを見てしまうとつい彼に笑顔にさせることが出来たら、そう思われるのも悪くないと思っている久守は恥ずかしそうにと左手で後頭部を擦って行きつつ、強く右手を握っていく、「これからもお守りのような感覚で持っていきます!」


  久守の右手でガッツポーズを取っている様に口角を上げられているように感じては、軽く右手にあるバタフライナイフを右側に向けていく竜祥、まったりと自分たちにぶつけに来ている空気と抗っていくかのように風を殴って行きつつ、開けていくバタフライナイフの柄から鋭い刀身に目を向けていく彼は言う、「随分と物騒なお守りだね。」竜祥が自分に向けて来る切実な話に心をくすぐられているように思いつつ、苦い笑みを浮かべてしまう久守は左手で後頭部を擦って行きながら、例え物騒な物だとしても、彼から貰えるのなら、嬉しく思えている彼女、「えへへ…」


  無邪気なまでに笑ってくれている久守の笑顔に心を甚振られているように思えては、つい彼女の眩しく思えてしまう笑みを見れなくなっているように感じては、申し訳なさそうに彼女の笑顔から右手にあるバタフライナイフに視線を落としていく竜祥、「でもこんな世の中になって仕舞った以上、」自分の薬指を挟んで来ているようなバタフライナイフの柄に目を細めて行きつつバタフライナイフを軽く空に向けて投げていく彼。


  まったりと彼が着こなしていた黒いスーツを背景にしているように、ゆっくりと宙を舞うバタフライナイフに見開かされてはぼんやりと唇を開けている久守、「あっ…」潤んでいる紅の瞳で彼の右手にあるバタフライナイフを映し出していく久守は、ぱちくりながらもしかしたら彼は本当に自分が予想しているように自分に手品でも見せてくれるんじゃないかと思っては、期待に体を満たされているように感じている彼女は思わず強く両手を握っていた。


  ”フー”宛ら宙を止まっているようなバタフライナイフを空から奪うように、強くひんやりとした柄を握っていく竜祥、「こっちのお守りの方がより確実に守ってくれるのだろうな。」「あっ…」まるで宙から消え去っていたかのように一瞬にして竜祥の右手に戻っていたバタフライナイフに見開かされては、思わずあんぐり口を開けていた久守はぱちくりながら呆然としている自分にどうかしたのかなと尋ねて来ているようにと、小首を傾げている竜祥の余裕そうな表情に見惚れているように思えては、彼が自分に手品を見せてくれていたとは言えなくもないような気がしつつ、彼の格好良く感じている仕草を間近で見れていただけでも何となく得していたような気分になれている彼女は強く首を縦に振っていく、「うん!その通りですよ!」


  久守が自分に見せてくれている自分が何を言おうとも何をしても応援してくれるような態度に微笑んでは、ぼんやりと自分の右手にあるバタフライナイフに目を向けていく竜祥、「知ってるか?」チラッと小首を傾げては自分の話を待ってくれている久守の頭から佇んでいたような柱に一瞥していく竜祥、軽く歯を噛んでしまう彼は微かな紫色の粒が浮かんでいる柱を目にしてしまうと、つい勝手にも思えてしまうぐらいに強く歯を噛んでいる自分には、演技をすることも出来ないぐらいに柱の事を恨んでいるんだと思っている彼は自分が浮かんでいる表情に違和感を覚えているようにと軽く眉毛をひそめている久守の顔を見ていき、「あの馬鹿でかい柱が降りて来る前の社会は、」軽く右側の口角を上げては、急いで彼女に違和感の正体に感づかれる前に、さっきの失態をフォローしていこうと強く思っている竜祥はゆっくりと左手の人差し指を立てていき、「一言で例えるのなら、フィルターと煙のようなもんさ。」


  「そう…なんですか…?」竜祥が自分に掛けて来ている抽象的な話に困らされては、社会はかなり複雑にも思えていた久守は彼の凛とした赤い瞳の中にある自分の姿を目にすると、思わず彼が紡いだ言葉を強く信じて見たくなっている彼女。「ああ、」久守の自分の話を理解できずにいる様に微笑んで行きつつ、まったりと左手をポケットに突っ込んでいる竜祥はもう少し彼女と話をしていこうと考えては、ゆっくりと声を発していた、「道徳を違反するもの、罪を犯すもの、」自分が紡いでいく話を真面目に聞いてくれているように真剣な表情を浮かんでは、軽く頷いてくれている彼女の事を見つめていく彼、「管理に大人しく従わない奴らも、皆等しく煙なんだ。」竜祥が紡いだ例え話をぼんやりと耳にしては、彼が言っている話は間違っていないと思っている久守、軽く唇をすぼめていく彼女はまったりと腕を組んで行きつつ、左手をファンデーションに守られていたような顎に当てていく、「うん…」


  「そして法律やルールと言うフィルターを利用して、」右手にある尖っていたバタフライナイフの先端を見つめている竜祥はぽつりと声を発していき、「分けているのさ。」竜祥が紡いだ話を呆然と分析して行きつつ、彼は間違いなくフィルターの向こう側にいるんだと強く信じている久守、斗奴雷が必死に何度も五月蠅いく思ってしまうぐらいに自分に伝わって来ようとする話を思い返してしまうと、つい竜祥は万が一本当に斗奴雷が言っているような人間だったらと言う畏怖に駆り立られては、軽く肩を縮めてしまう久守は恐る恐ると彼に尋ねていく、「フィルターの向こうは…」ごくりと固唾を飲み込んでは、まるで自分が紡いだ話のためにわざわざ言葉を止めてくれているような竜祥が浮かんでいる淡い笑みを見つめていきく久守はぽつりと呟いていき、「安全なのでしょうか?」


  「ううん、」久守が自分に投げて来ていたあまりにも甘い考え方に口角を上に向けられているように思えている竜祥は何度も首を横に振っていく、「違うんだ。」「えっ?」自分の理論に絶句されては、驚愕の表情を見せてくれている久守の態度に微笑んでは、丁寧に左手をポケットから抜け出しては、人差し指を立てていく彼、「フィルターの向こう側には、白い煙さ。」「えっ…」竜祥が自分に向けて来ていた話に戸惑いつつも、何となく理解出来なくもないような気がしている久守は、夜中でわざわざ自分を秘密基地まで呼び出して来ていた彼には、ただ自分に煙とフィルターについて語って行きたいだけなのかと、自分の項を刺激しに来ている寒風に苛まれつつ、ぼんやりと考えている彼女は困っているような表情を浮かんで行きながら彼に言う、「どっちも煙じゃないですか…それに…」


  自分の頬を嬲って来ているような冷たい風に苛立ちを覚えつつ、つい足踏みしては、寒い空気から体温を取り戻したいと強く願ってしまう久守は、赤い瞳の中にある自分の事を見つめて、困り果てている彼女はぽつりと呟いていた、「失礼ですけど…その話はあたしを呼んだ事とは…一体…」ぱちくりして行きつつ竜祥の機嫌を伺っているようにと横目で彼の顔を見つめていく彼女は、軽く右手の人差し指で頬を掻いていく、「どこが繋がっているのですか…?」


  久守が自分に投げて来ていた物事の核心に触れて来ていた話に目を細められては、チラッと自分の項垂れていた右手と同じように項垂れていたバタフライナイフに一瞥してしまう彼は残念そうにと口角を上げて行きつつ、ゆっくりと凛とした赤い瞳を彼女に向けていき、「最後まで聞いておくれ?」ゆっくりと右手にあるひんやりとしたバタフライナイフの刀身を口元に当てていく彼は流し目で久守の顔を見つめては、ぽつりと囁くように声を発していた、「告白なんだ。」


  ”ドクンー”刹那、竜祥が自分に投げて来ていた思わず自分の耳を疑って仕舞いそうな言葉に見開かされては、心臓が強く鼓動を刻んでいたように思えている久守、「うっ!?!」肩がびくっと跳ねてしまう彼女はぱちくりして行きつつ、微笑んでくれている竜祥の魔性にも感じてしまうルビーのような神秘的な眼に封印されているような自分の顔を見つめていく久守、「は、はいっ!」喉を強く殴って来ている心臓と耳元で鳴り響いているような心音に苦しめられているように思いつつ、口角を上に固定されてはまるで笑窪に触れたがっているような彼女はびしっと背筋を伸ばしては、大きな声を発していた、「喜んで!」

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