第159話君は騙されているだけなんだ…!

  斗奴雷が改まって自分に真面目そうな表情を見せてくれては、質問を尋ねようとする態度に小首を傾げていく楽々花はぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「どうぞ?」「きゃは…」ごくりと固唾を飲み込んでしまう斗奴雷は自分の顔を見つめて来ている金色の瞳に緊張を覚えては、胸元の奥が彼女が発していた声に操られては、暴れ回っているような気がしている彼は照れくさそうにと赤くなっている顔を自分の太股に向けてはぽつりと呟いていく、「ずるいです…」


  忽然、ハニカム斗奴雷が自分に投げて来ていた一言に見開かされては、ぼんやりと両手にあるポニーテールを下ろしていく楽々花、「え?」間の抜けた声を発してしまう楽々花にチラッと一瞥しては、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れていく斗奴雷は彼女が上げていた悲鳴のような声が可愛く思っていた事に罪悪感を覚えては、後ろめたい気分になっている彼はぽつり呟いていく、「か、可愛い過ぎます…」


  「ほ、」斗奴雷が萎縮しているように自分と目線を合わせようとしないでいる態度に口角を上げられていると同時に、彼の興奮を覚えているせいで微かに震えているような声色で紡いだ一言に心を占拠されていたような気分になれている楽々花、「ほ~?」まったりと腕を組んで行きつつ、しおらしくなれているようにと両手を太股に置いては肩を縮めている斗奴雷の赤くなっている耳殻に一瞥しては、彼のことをからかおうと思うと同時にもう少し彼に自分のことを褒めて貰いたいと強く思っている楽々花は、軽く顔を彼に近づけて行きつつ、声を上げていき、「そ、そういう声が好きだったんだね?」


  楽々花がまるで自分の耳元で囁いているような言葉に見開かされては、両手を握ってしまう斗奴雷は右手の手のひらに当たっていた小さなコンクリートのような違和感を気にすることなく猛然と彼女に顔を向けて行き、「べ、べ、別にそういう声が好きってわけじゃないのですよ…?!」自分の話を耳にすると一瞬にして失望したようにと眉をひそめては唇を尖らせている楽々花のことを見つめてしまう斗奴雷は、強く左手でガッツポーズを取っていき、「君の声なら全部好きなんだ!」


  ”ドクンー”忽然、斗奴雷が自分に向けて来ていた一言に心臓をぶん殴られていたように思えては、眉毛を跳ねらされていたような気がしている楽々花、「ううっ!?」真剣な眼差しを自分に向けて来ている斗奴雷の顔に一瞥しては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼女は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、恐る恐ると彼の気持ちを確かめて行こうと思っている、「ほ、本当に…?」


  「うう…」楽々花の自分が上げていた本音に興味を示してくれては、真偽を確かめに来ている言葉に心を苛まれているように思えては思わず俯いてしまいそうになっている斗奴雷は恐る恐ると頷いていく、「は、はい…」チラッと恥ずかしさに苛まれているせいで潤んでいる深い紫色の瞳を楽々花に向けていく斗奴雷は、照れくさそうにと真面目な表情を浮かんでいる彼女の顔を見つめていき、「さ、最初はちょっと酷い声だなって…思いましたけど…」


  斗奴雷が自分が残念の塊のようにも思えている声を好いてくれていた事に嬉しく思えていた楽々花は、つい彼が紡いだ一言に不満を覚えては唇を尖らせている、「うむ…」「じょ、徐々に聞いていくにつれ…」楽々花の無言で自分に文句を言いに来ているように眉をひそめている姿に見開かされては、大慌てで言葉を補足していく斗奴雷、「病み付きになりました…」一日中で自分が何度も楽々花に告白していたような気がしては、恥ずかしい気持ちに体を充填されていたような気がしている斗奴雷は、真っ赤になっている顔を床に向けてはぽつりと自分がさっき紡いだ本音を認めているようにと声を漏らしていく、「はい…」


  斗奴雷の本気で紡いだ言葉に見開かされては、彼はやはり自分が少しばかり嫌っている声を好いてくれていることに繊細な眉毛を跳ねらされているような気がしてしまう楽々花、「そ、そうなんだ…」口角が自然と上げては、心が幸せな気分に満たされているようにと思えている彼女、「へ~…」つい起伏している笑い声を上げていく彼女はチラッと潤んでいる金色の瞳で斗奴雷の横顔を見ていき、「そうだったんだ…」楽々花が嬉しそうにと軽く握っている右手で唇を隠して行きつつ、ピンク色の口角を上げている様はやけに愛おしく思えては、心が彼女の一挙手一投足に奪われているようにと思えている斗奴雷、「そうだったんです…はい…」


  斗奴雷の照れくさそうにと俯いていく様を見つめては、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れていく楽々花は体中を満たしてくれる幸福という感覚を彼と共に分かち合いたいと強く思っては、軽く両手をベッドに置いていた彼女は彼に顔を近づけて行きながら声を発していた、「あ、後でなでなで上げるね?」「うっ!」熱気を放っているようにと感じてしまうラベンダーの香りに驚かされては、心臓が一瞬縮んでいたような感覚に襲われている斗奴雷は大慌てで何度も首を横に振っていき、「や、やっぱりいいです…」宛ら鼻翼を爆ぜらせようとしているように強く力を入れていく彼は、眉をひそめている楽々花のことを見つめては、脳内で想像してしまう彼女に頭を撫でられていたシチュエーションに体中を焼かれているように感じては、苦しそうな声で言葉を紡いでいた、「心臓が持ち堪えません故…!」


  「あの…失礼ですが、」宛ら銃弾に胸元を貫かれていたようにと強く左手で胸元を鷲掴みにしては、降参しているような声色を上げてしまう久守は勝手に人の話を聞いているだけなのに、重症を無理矢理負わされているような気がしている彼女は懇願しているようにと声を上げていき、「一応あたしもいる事に気づいてくれませんかね…?」自分の右手の手のひらで微かに震えているような久守の声色に見開かされては、楽々花との会話に夢中になっていたせいで思わず久守のことを忘れていた斗奴雷はぱちくりながら右手にある携帯電話に視線を落としていき。


  自分と斗奴雷の会話に入って来ていた久守に眉をひそめ、不満そうにと唇をすぼめていた楽々花はつい本人を見つけては彼女に文句を言ってやろうと思っては、呆然と斗奴雷の右手にある携帯電話を見てしまう彼女は、つい斗奴雷はまだ彼の昔の同窓と話をしていた事を思い出してしまい、「あ…」「あって…」楽々花が上げていた間の抜けた声に目を半開きさせては、口角が斜め下の方向に向けて引っ張られているように思えている久守は、軽く左手で口角を掻いて行きつつ言葉を紡いでいき、「忘れてたんだね…もう一生分の飴を食べた気分になっているので…」斗奴雷と楽々花の会話を思い出しては、ただ傍で聞いているだけで二人はとても相手の事を思っては、お互いに気を遣っているんだと思えてしまう久守は苦い笑みを浮かべては、飽きれているようにと左手を上げていき、「もう勘弁してくれませんか…?」まったりと太股の上で眠っていたような抱き枕を抱えては、ぼんやりと背中を壁に当てていく彼女は、二人の間には入りたくもない自分の居場所はないんだと思いつつ、天井を見上げていき、「今夜どころか、」口角が愛し合っている二人に上げられているような気がする彼女は言う、「あの変な柱がこの星を潰すまでまともに眠れそうになくなっちゃうので…」

  

  「は、話を戻すけどよ、」楽々花のまるで久守が自分たちに投げて来ている言葉に打ちひしがれては、真っ赤になっている顔を上げようとしないでいる様を見てしまうと、自分が急いで何かしないとと思っている斗奴雷は猛然と鋭利な眼差しを携帯画面に向けては、久守に尋ねていき、「どうして急に電話をかけて来たの?」「いよいよ本題に入れるのか…」斗奴雷が自分に投げて来ていた一言に口角を上げられているような気がしては、思わず自分は彼に電話をかけていくのは、竜祥が自分に下してくれていたミッションを完成させるためではなく、二人の愉快な話を聞くためだったような気がしていた久守は可笑しそうにと軽く笑っては言葉を紡いでいく、「昔話はいっぱいしようって思ってたけど…夜遅くなってたし…」自分が紡いだ世辞の言葉は二人からしては少しばかり皮肉のように聞こえないかと微かに不安になっている久守は、チラッと自分の熱くなっていた体を冷やしてくれているひんやりとした風に吹かれては、起伏しているようなカーテンに一瞥していき、「なんか睡眠の邪魔するのも悪いしさ?」


  久守が紡いだ一言を耳にすると思わず腕を組んでは、彼女と斗奴雷はもしかしたらいっぱい話せるほどの話があるんじゃないかと頭が勝手に連想してしまう楽々花、「うむ…?」微かな不満な思いが込められていた楽々花の声色を耳にすると、斗奴雷が慌てては何とか彼女の機嫌を直そうとする表情が目に浮かんでいるように思えては、軽く口角を上げていく久守は言う、「安心してていいんですぞ彼女さん、」斗奴雷にまたしても困らせては、楽々花の機嫌を直すような言葉を紡がせてしまうと、自分は朝になってもちゃんと二人の事をアジトまで誘えないように思えている久守は言う、「昔、一緒に遊んでいたゲームについて語って行こうと思ってただけですから。」


  「まぁ…」久守が平坦な声で紡いだ一言をぼんやりと耳にしつつ、まるで彼女の話に賛同しているようにと何度も頷いてくれている斗奴雷に一瞥していく楽々花は、まったりと組んでいた両手を解して行きつつ声を上げていき、「あんたは信じないけど、彼は信じるわ。」「お、おお…」楽々花が自分に投げてくれていた言葉に感動を覚えては、涙目になってしまいそうな気がしている斗奴雷は恐縮しているようにと軽く顎を引いては、嬉しそうな笑みを浮かべていき、「ありがとうございます…」電話越しで伝わってくる斗奴雷の素直に喜んでいる態度に目を細められては、流し目で携帯画面を見ていく久守は彼のことをからかっていくかのようにと声を上げていく、「信頼されてるね~斗奴君~」


  「ま、まぁね…」楽々花との会話を全部久守に聞かれていたのは少しばかり恥ずかしく思いつつ、これで彼女は楽々花が自分の事を信頼してくれている証人になれるんだとポジティブに久守の存在を考えて行こうと思う斗奴雷、「昔話は別にいいけどさ、」軽く鼻を啜っては眉間に皺寄せて行きつつ、久守は急に自分に電話をかけてくれていたことに違和感しか覚えないでいる斗奴雷はぽつりと声を発していき、「それより滅茶苦茶気になっていることがあるんだけど…」斗奴雷が浮かんでいる深刻そうな表情はやけに格好良く思えては、彼の紅潮していた頬と潤んでいる眼に目を半開きさせては、まったりと猫背になっていく楽々花は彼の事を信じると決めた以上、大人しく彼と久守の話が終わるまで待って行こうと考えている。


  「聞いてもいい?」斗奴雷が自分に投げて来ている楽々花と話している時の和気藹々とした気分とは違っていて、まるで敵を警戒しているような態度に微かに寂しい思いを覚えている久守は軽く口角を上げていき、「どうぞ?」竜祥のミッションを達成するために、斗奴雷と自分の距離を少し縮めて行こうと思っている久守は軽く左手の人差し指を立てては、冗談に言葉を紡いでいき、「彼氏は募集中だけど、もう定めている方がいたりするからね?」


  久守が言い聞かせて来ていた一言に眉間に皺寄せては、思わず小首を傾げてしまう楽々花はぽつりと弱っている声を上げていた、「少し矛盾してない…?」楽々花がぽつりと呟いていた言葉に目を細めて行きつつ、久守が楽々花に危害を加えに来ているかもしれないんだと思っては、自分たちにはもう他愛のないをしていく暇はないように思えては、冷静に左腕を太股にくっついていく彼は冷酷な眼差しを床に向けては、久守に尋ねていた、「君はどうやってこの番号を手に入れてたの?」


  斗奴雷が自分が紡いだ一言を無視しに来ている態度に苦笑いしては、気まずそうにと軽く左手の人差し指で頬を掻いていく久守、「冗談がきかなくなったね…」「冗談はいくらでも聞くけどさ…」久守が喉から漏れているような残念そうな声に目を細められては、自分が彼女にかけていた言葉も態度も冷酷にも思えては、楽々花の安全を最優先にしている自分がすることは決して間違っていないはずなんだと強く思っている斗奴雷は軽く歯を噛んでは、久守に納得行けるような説明を紡いでいく、「今は特殊な時に置かれている事も分かるんだろう?」斗奴雷の凛とした姿に目を細められては、冷たい彼も格好良く見えてしまう自分は少し可笑しいのだろうかと自分に問いかけて見たくなっている楽々花は、照れくさそうにと両手で熱くなっている頬を押さえていく。


  「まぁね。」呑気な久守が上げていた自分の説明に納得してくれている言葉に目を細められては、まったりと背筋を伸ばしていく斗奴雷は横目で携帯画面を見ていき、「答えてくれるのかな。」「嗚呼、」まったりと首を横に振って行きつつ、斗奴雷と楽々花の幸せそうな話をぼんやりと耳にしていたさっきまでの、幸せを分けて貰えるような気をさせてくれるひと時の幸せを無くしていたような気分になっている久守、「やっぱりそう来るもんね…」軽く左手を上げては頭に連れては自分の肩を撫でているような淡い紫色の髪の毛を弄ってしまう彼女は言う、「もう少し他愛ない話をしようって、」賢い斗奴雷にはきっと直ぐに自分は彼とはクラスメートだった竜祥と折尾と一緒に活動している事に気がついてくれるのだろうと思っては、少しばかり緊張し始めている久守は軽く鼻翼に力を入れては、時間稼ぎと同時に斗奴雷に困らせないようにと楽々花に話を振っていこうとする、「彼女さんの声を聞くまでは思ってたよ。」


  「ふ、ふん!」久守が斗奴雷と仲良くなっていこうと口にしていた話に唇を尖らせては、嬉しそうに腕を組んでいく楽々花は自分は恋敵を一人撃退出来たように思えては嬉しそうにと軽く右手の人差し指で携帯電話を指差していき、「彼女さんと言ってくれてたことに免じて甘んじて許すわ。」楽々花が携帯電話に投げて来ている一言を耳にすると思わず目を半開きさせてしまう斗奴雷はぽつりと弱っているような声を発してしまい、「許すのですか…」忽然、潤んでいる金色の瞳の中にある自分を目にしてしまうと、思わずさっき悲しみのあまり涙を零していた楽々花の事を思い出してしまうと、つい彼女に少しぐらいは自分に焼きもちを焼いて欲しいと願っていた自分は馬鹿馬鹿しく思えている斗奴雷は急いでいるようにと何度も首を横に振って言う、「って、墓穴を掘ってしまうところだったよ…」


  楽々花の小首を傾げてはまるで自分が紡いだ一言を上手く理解できていないような態度に眉毛を上げられては、急いでいるようにと彼女から視線を逸らしていく斗奴雷は軽く左手を唇に当てては厳かな声を上げていき、「茶化さないで貰おうか…君には感謝しているんだけど、」自分の唇から漏れていた一言に目を細められては、チラッとまるで机の上にパソコンを見守っているような棚を占拠していたゲームソフトの群れに一瞥してしまう斗奴雷はつい、もし久守がいなかった自分にはきっと世界が可笑しくなれていた前のようにゲームのレビューを書くことで、地獄のような毎日から逃れることが出来なくなっていたのであろうと思い、自分が彼女に対する態度は些か酷く思いつつ、弱い自分には選べる余地なんてないんだと強く思ってしまう彼は言う、「今は世界が違って来たからね。」


  「おお~」斗奴雷が上げていた自分に申し訳なく思っているような話に目を細められては、嬉しそうにと口角を上げていく久守、「しっかりしているね。」軽く歯を噛んでは無言で自分が紡ごうとする話を待ってくれているような斗奴雷の態度に、苦い笑みを浮かべて見たくなっている彼女、「まぁ、」観念したようにと軽く額を上げては紅の瞳で天井を映し出していく彼女は言う、「折尾さんから…なんだけどさ。」


  ”ドクンー”刹那、言いづらそうにと自分に薄々感じていた真実を告げてくれていた久守の話に見開かされて仕舞っては、心臓の鼓動が一瞬無理矢理止められていたような気がしている斗奴雷、「そう…」目の前にいる自分の両足と床は震えているような視界につられては、揺れているようにと見えてしまう彼は悔しそうにと歯を噛んでは、久守が折尾と一緒にいることを知れてしまうと、つい柱の近くにある森で会っていた折尾が口にした竜祥のことを思い出しては、彼女は人に平然とした姿で危害を加える人間になってしまうんだと思っては、子供の頃が自分に優しく接してくれていた彼女はもういないんだと実感しているような気がしつつ、涙目になってしまいそうな彼は悲しそうにと鼻翼に力を入れて行きつつ、ぽつりと声を発していた、「君は…竜祥の奴と…会ってたんだ…」斗奴雷が上げているやけに深刻そうな話に眉間に皺寄せられては、興味を引かれているような気がしている楽々花はつい小首を傾げては、彼の悲しんでいるような横顔を見つめてしまい。


  斗奴雷が自分に投げて来ていた一言に目を細められては、彼の鋭い考えに驚かされては、ついひんやりとした空気を吸い込んで見たくなれている久守、彼の悲しんでいるような口調に少しばかり戸惑っている彼女は恐る恐ると首を縦に振って言う、「うん…」「それに…」まるで久守が竜祥の仲間になれているかもしれないと言う現実であるはずの可能性を受け入れたくないでいるようにと何度も首を横に振っていく斗奴雷、「あいつらの仲間に…」軽く戦慄しているような顎を上げては、自分が紡いでいる可能性を全力で否定していきたいと強く思っている彼はぽつりと弱り切っている声を上げていた、「なっちまったんだね…」


  斗奴雷の嗚咽まじりの声色に戸惑っては、思わず眉間に皺寄せてしまう久守は彼が自分がかなり尊敬している竜祥のことを悪く言っているような口調に不満を覚えつつ、ぽつりと渇いたピンク色の唇を開けていき、「なんか竜祥さまの事を快く思っていないようなニュアンスを感じてるんだけど?」久守がまるで竜祥の下僕になれているような一言に見開かされては、左側の眉毛が限界なまでに上げられているように思えては、チラッと軽く両手を握って自分に心配そうな表情を向けて来ていた楽々花に一瞥していく斗奴雷は言う、「竜祥さまって…」


  脳内を過っていく竜祥のニヤリと口角を上げている様に心が冷えているように思えては、楽々花の無垢な瞳を見てしまうと、きっと折尾は自分が楽々花と一緒に行動している事を竜祥に知らしては、自分だけではなく、楽々花まで利用しては、民衆を束ねる道具に使うつもりであろうと思い、もし自分が彼に刃向かったら、今度こそ自分が殺されてしまうんだと強く思っている斗奴雷、ごくりと固唾を飲み込んでは、金色の瞳の中にある表情が見る見るうちに強張ってしまう自分につられているような楽々花が浮かべている深刻そうな表情から逃げているように、視線を自分の両足に向けていく斗奴雷は言う、「悪いことは言わないが…」


  軽く歯を噛んでは、久守はきっと外見が格好いい竜祥の虜になっているのであっては、もう十数年も会っていない自分の話を信じてくれないと知りながら言葉を紡いだ、「あいつから離れた方がいいよ?」強く左手を握っていく彼はまるで自分の話を否定しに来ているような久守の微かに荒くなっている吐息を聞きながら、彼女に竜祥と接触してしまうのがどれだけ危険なことなのかを知らせていこうと強く思っている、「もう仲間に入れた以上、簡単には脱走させてくれないだろうけどさ…」


  久守の無言で自分の話を聞いてくれている態度に心臓の鼓動が段々強くなれては、もしかしたら彼女の隣りには既に竜祥の存在がいて、それと竜祥が既に自分たちの住所を把握しているかもしれないと思い、「僕は…」竜祥への畏怖に苦しめられては、顔が白い粉雪に包まれているような斗奴雷は恐る恐ると視線を楽々花に向けては、ぽつりと声を発していた、「僕は…」


  楽々花のまるで自分がどうして怖がっているのかを知れないでいるような態度を気にすることなく、楽々花を助けたいと思うと同時にこんな世界になってしまった以上、久守が竜祥の傍にいると、いずれ捨て駒に使われてしまうか、或いは見せしめに殺されてしまうのであろうと思い、モニターを支えていた机の引き出しに一瞥しては、眉をひそめていく斗奴雷は自分に希望を残してくれていたかつての久守を思い出してしまい、自分には彼女が泥沼に殺されかけている事を知りながら見捨てるようなことをしてはならないと強く思っている斗奴雷、「君の助力するから。」


  斗奴雷が上げている偏見の塊のような言葉に苛立ちを覚えつつ、困っている人々の事を積極的に助けようとして来ていた竜祥の事を彼に悪く言われるのを思うと、つい不服そうにと唇を尖らせていく久守、「竜祥さまは弱っている皆を助けようとする善良な方なんだぞ?」軽く歯を噛んでは、斗奴雷が人の陰口を言うような人間になれていた事に悲しく思いつつ、切なげに憤っているような声を上げていた、「なんだよその言い方は。」


  「違う。」久守が竜祥が善良な人間であることを口にしていたことに口角が強張られているように感じては、彼女はきっと竜祥と接しては間もないはずなんだと強く思っては、唾液を飲み込んでいく斗奴雷はチラッとまるで自分の事を見守ってくれているような楽々花の華奢な両足に一瞥しては、もし久守が大人しく自分の話を聞いてくれないというのなら、わざわざ楽々花を無くすようなリストを背負ってまで、久守のことを助けるのが可笑しく思い。


  忽然、まるで自分の考えを否定しに来ているようにと勝手にひそめてしまう眉毛に苛まれているように感じては、悲しみに鼻腔の奥が麻痺されているように思えては、自分にはやはりただ騙されている久守の事を見捨てることが出来ないように思っている斗奴雷、「君は騙されているだけなんだ…!」喉から苦しそうな声を絞り出していく彼は歯ぎしりしながら声を発していた、「あいつは違うんだよ。」宛ら記憶の中からこみ上げて来ている竜祥への恐怖に苦しめられているように震えている左手に一瞥していく斗奴雷、「人間離れしてるんだ…」体が竜祥の存在に震わされているように思えては、大人しく折尾に携帯電話の番号を教えるべきではなかったと一瞬思っては、竜祥に目をつけられた以上、あいつはどんな手を使ってでも必ずしも自分たちを潰しに来るはずなんだと思っては、恐る恐ると左手で自分の楽々花を失ってしまうかもしれないと言う畏怖に苦しめられている額を押さえていき、「君が僕を信じるのも嫌うのも、全部あいつが考えていた通りに運んでいるかもしれないんだ…」


  額が汗ばんでいるように思えては、体が上手く動くことが出来なくなっているような気がしている斗奴雷、口角が竜祥が楽々花に向けて来ている未知なる計画に斜め下の方向に向けて引っ張られているように思いつつ、自分には楽々花を守れる最善の手段はもはや今にも外に出ては、色んな弱そうな強化者を殺しては、自分の力を強化して行きつつ例え団体で襲撃をかけられたとしても、自分には竜祥の手下を逐一殺していきながら、体を強化していて、確実に楽々花のことを守る他ないんだと思っては、宛ら瞬きを忘れたような斗奴雷は自分の握りしめている左手に充血している瞳を向けては、爪に食い込まれている手のひらの痛みを気にすることなく、今すぐにでも久守の電話を切っては、楽々花を連れてマンションから逃げ出しては、遠くまでに逃げて適当な民間人を殺しては、その人の屋敷を奪っていく他ないように思えている。


  「う…」突然、まるで自分に甘えて来ているようなラベンダーの香りを伴わせている柔らかい感覚に見開かされては、恐る恐ると震えているように思えている頭を自分の右側に向けていく斗奴雷はぼんやりと深い紫色の瞳で強く両手で自分の身体を抱いてくれている楽々花の顔を見てしまい。”ドクンー”宛ら自分の顔を見れている事に喜んでくれているような笑みを浮かべてくれている楽々花の仕草に、凍えている心を撫でられているような思いをしている斗奴雷。


  まったりと頬を斗奴雷の硬直しているような右腕に付けていく楽々花は幸せそうな笑みを浮かべて行きつつ、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「大丈夫。」”ドクンー”刹那、まるで自分の真っ赤になれては血生臭い臭いを漂わせて来ている心臓を貫いてくれているような楽々花の声色に浄化されては、潤いを与えて貰っているような感覚を味わっている斗奴雷、「え…?」

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