第138話思い出にとっておいで

  小夜が自分に投げて来ていたまるで自分が彼女が離れるかどうかを決められるような質問に目を細められは、握りしめていた右手を胸元に当てては、何度も首を横に振ってしまう竜祥、「ううん…」眉間に皺寄せては真剣な眼差しで自分を見つめて来ている小夜に向けていく竜祥は、つい綺麗に思えている彼女の顔から地面に視線を向けてしまい、「悪い事と全部一緒に離れるのなら別にいいけど…」竜祥が紡いだ素直過ぎる言葉に見開かされては、ショックを受けているようにと強く両手を白皙の頬に当ててしまう小夜、「いいのかよ!」


  やけに大きな声を発していた小夜の言葉の中に隠されていた自分と離れ離れになりたくないでいるニュアンスに目を細められては、幸せそうな笑みを浮かべていく竜祥は恐る恐ると右手の人差し指を立てて言う、「悪い事が一つでも残すとなると…」竜祥の潤んでは充血している瞳に囚われているような自分の事を見つめていく小夜は、つい彼が紡ごうとする言葉が気になっては、ぽつりと声を発していき、「残すとなると?」


  自分の心臓を苦しめてくれているのに、決して離れようとは思わせないでいる魔性の桜色の瞳に困らされては、照れくさい心境に駆り立てられてしまう竜祥は恐る恐ると右手の人差し指で熱くなっている頬を掻いて行きつつぽつりと呟いていた、「やっぱりきみがいた方がいいと…」チラッと茂みから細い眉毛を跳ねらせていた小夜を見ていく竜祥はぽつりと呟いていく、「思っちゃうの…」


  竜祥が照れくさそうにと自分に向けて来る台詞に見開かされては、思わずピンク色の唇を大きく開けてしまう小夜、「おおお…」感動している声を上げては、ぼんやりと俯いていく彼女は呆然と左手をまるで自分の手のひらに挨拶しているように跳ねている胸元に、当てて行きつつぽつりと呟いていき、「さよ…」興奮気味になれては、背中が火に焼かれているような思いをしてしまう彼女は、チラッと小首を傾げて行きつつ自分が紡ごうとする一言を待ってくれている竜祥の顔を見つめながら、照れくさそうにと言葉を紡いでいく、「人生初めての告白がこんな台詞になる何て…」言葉を紡げば紡ぐほどに照れくさい心境に苛まれてしまう小夜は苦い笑みを浮かべては、軽く右手の人差し指で頬を掻いていき、「これは覚えていかないとね…」


  小夜が自分に向けて来ていた台詞にビクッと眉毛が跳ねらされてしまう竜祥は、大慌てで鼻翼に力を入れて行きつつ腕を組んでしまい、「べ、別に告白なんかじゃないし…」拗ねているようにと唇を尖らせていく彼は、横目で目を半開きさせている小夜の呆然としている態度を睨んで行きながら大きな声を発していく、「勘違いだよ!」眉をひそめながら本気の表情を浮かんでは、自分の始めての告白を二度と会うことができないかもしれない女の子に上げてはならないと、強く思ってしまう彼は迷わずに右手の人差し指を立てては真面目に桜色の瞳の中にある自分の顔を見つめて言う、「きみを魔除け扱いしてただけだよ。」


  竜祥の全力で自分が紡いだ言葉を否定しに来ている一言に目を半開きさせては、軽く首を傾げていく彼女は竜祥の赤くなっていた顔につられているように段々赤くなっている耳殻に一瞥してしまうと、口角をくすぐられているような気がしてならないでいる彼女は右手の人差し指を立てて行きながら言葉を紡いだ、「困っている時で、最初に浮かんだ名前がさよなのに?」忽然、小夜が自分に向けて来る論破しに来ていた一言に喉を握られては、思わず間の抜けた声を上げてしまう竜祥、「え?」


  竜祥の不意を突かれているような態度に口角をくすぐられては、軽く右手の人差し指を頬に当てて行きつつ流し目で彼の顔を見ていく小夜は、彼の事をからかいに行くかのようにと言葉を紡いでいき、「これはもうお父さんとお母さんを呼ぶより一歩先じゃない?」興奮気味になれては、両手を握ってしまう彼女はつい前屈みになってしまい、「もう恋人?家族?」小首を傾げて行きながら竜祥の顔を覗き込んでしまう小夜は微笑んで言う、「家族以上の関係に?」


  「うっ、」だんだん自分に近づいて来ている小夜の唇に目を奪われては、脳内で彼女が勝手にさっき自分の頬に唇をくっついていたシチュエーションを連想してしまう竜祥は悔しそうにと歯ぎしりしては、何度も鼻翼に力を入れていき、「う、うるさいぞ…!」竜祥の弱り切っている態度に左側の口角をくすぐられているように思えては、まったりと背筋を伸ばしていく小夜はさっきまでに冷静沈着に自分が紡ぐ言葉を否定して来ていた竜祥が自分に大事な話を論破されては、上手く反論する事が出来なくなっている態度に心をくすぐられているような気がしては、楽しそうにと両手を上げていく彼女、「わい~お兄さんが照れちゃった~」


  小夜のまるで自分の身体に照れくさい気持ちに苛まれている事を楽しんでいるような態度に不満を覚えては、悔しそうにと歯ぎしりしてしまう竜祥は唸り声を発して行きながら文句を赤い瞳で代弁してもらっているようにと小夜の顔を見つめていく、「ううう…」竜祥の苦しそうな唸り声に微笑んで行きつつ、目を細めてしまう小夜は横目で彼の事を見つめながら嬉々とした口調で彼に尋ねていく、「それでそれで?」軽く右手の人差し指を頬に当てては、竜祥の疑問に思っているようにと皺寄せている眉間を解して行くようにと言葉を紡いでいく小夜、「お名前は何て言うのかな~?」


  小夜が自分に投げて来ていた質問に目を細められては、つい浮かれては彼女と一緒にいられるひと時を楽しんでは、自分たちはあくまでも知り合っていたばっかりで、間もなく離れ離れになる赤の他人であるんだと思ってしまう彼、「竜祥って…名前なんだ、」虚しさと悲しみに打ちひしがれてはつい俯いてしまう彼はぽつりと渇いた唇を開けていく、「結構書きづらい名前なんだけど…」


  まったりと腕を組んでは竜祥が自分に向けて来ていた名前を復唱してしまう小夜、「りゅうしょうか…」軽く頷いては、彼の名を暗記していこうと思っていた彼女は軽く口角を上げては困っているようにと右手の人差し指でこめかみを掻いていた、「変な名前だね。」小夜が自分に投げて来ていた当たり前のように感じてしまう話に目を細められ、軽く首を縦に振っていく竜祥、「うん、」苦い笑みを浮かべては、さりげなく口にしていた一言を回収しようとしているように両手で唇を塞がっている小夜の申し訳なさそうな姿勢を赤い瞳で映し出していく竜祥は言う、「ぼくもそう思う、お父さんが付けてくれてたらしいから嫌なの。」


  「えっ、えっと…」竜祥の落ち込んでは項垂れている姿勢に心を握り潰されているような気分になっている小夜は、眉をひそめて行きつつ悲しそうにと両手を握っていき、「どこかで聞いたことあるような響き…のような気がするし…」とにかく話題を逸らした方がいいような気がしては、竜祥に謝っても却って失礼のように感じている小夜、ぽつりと自分の唇から漏らしていた言葉に目を細めては、思わず眉間に皺寄せてしまう彼女は困っているようにと眉間に皺寄せながら、両手の人差し指でこめかみに当ててしまい、「ううう…どこかで…」脳内では何度も竜祥の名前を呼んでしまう小夜はつい彼の名前が初めて聞いたような気がしないでいるように思えている、「聞いたのかな…」


  小夜の本気で悩んではまるで自分の名前を知っているような態度につられているようにと眉間に皺寄せてしまう竜祥、目を細めていく彼は小首を傾げて行きながらぽつりと疑問の声を漏らしていき、「そんなはずないと思うけどな…」ぼんやりと自分の両手を見下ろしてしまう彼は補足するようにとぽつりと呟いていた、「珍しい名前だしさ。」竜祥が言って来ていた言葉は一理あるのように思いつつ、頷きたいけれど納得できずにいる小夜、流し目で竜祥のまるで自分から送っていく曖昧な眼差しに困らされているようにと赤くなっている頬を逸らしている姿に口角をくすぐられては、楽しそうにと右手の人差し指を立ててしまう彼女は言う、「前世の記憶だったりして?」


  ”ドクンー”突然、困り果てていた小夜が自分に向けて来ていた訳の分からない一言に胸元の奥を強く突かれていたように感じてしまう竜祥、「えっ?」間の抜けた声を発していた竜祥に微笑んでは、腕を組んでいた小夜は何度も頷いて行きつつ、竜祥の存在がかなり親しく感じてしまう彼女は嬉しそうに笑いって行きながら右手の人差し指を立てて言う、「前世はラブラブなカップさんだったりして?」


  自分に投げて来ていた反論の余地のない言葉と共に自分に攻めて来ているようにと、赤くなっている頬を近づけて来ている小夜に細い眉毛を上げられているような気がしている竜祥、「ぜ、前世なんて…」軽く鼻翼に力を入れてはつい眩しく感じてしまう桜色の瞳から顔を逸らしては、ぽつりと弱っているような声色で言葉を紡いでいく彼、「あるはず…」軽く鼻翼に力を入れてしまう彼は小夜から感じてしまうと誰にも感じたことのない雰囲気に困らされては、完全に彼女が言っていた話を否定できないと思ってしまう竜祥、「ないかどうかは分からないけど…」肩に力を入れていた彼はまるで自分の間接的に前世の事を認めていた事について、喜んでくれているようにと屈託のない笑みを浮かべている小夜の笑顔につられているようにと目を細めながら微笑んでいく彼、「確かに初めて会ったはずなのに…」軽く人差し指を突いては、小夜が口にしていた前世という言葉について自分と彼女の事を連想してしまうと、迷信の言葉のはずなのにやけにリアリティを実感してしまう彼は、軽く右手の人差し指で頬を掻いて行きつつぽつりと間の抜けた声を発していた、「どこか懐かしい感じがするんだよね…」桜色の瞳の中にある赤い瞳に目を細めては、小夜の無邪気な笑みを見てしまうと、思わず自分はまだ家に帰っては酒臭い父親と香の匂いに鼻を殴られないと行けなくなることを、忘れてしまいそうになっている彼はぽつりと呟いていき、「きみからは。」

  

  竜祥が自分に向けて来るまるで自分の心境を代弁してくれていたような一言に口角を上げられては、両手を握りしめて行きつつ何度も頷いていく小夜は微笑みながら右手の人差し指を立てて言う、「それこそ少し特別な名前はさよにこの人生の中で探しやすくするために付けていたかもしれないでしょ?」小夜がどんどんあるはずないことを広げていく言葉を自分に向けて来ている姿勢に、目を細められてはぼんやりと彼女の瞳を見つめてしまう竜祥、「そうなのかな…」口角が彼女の屈託のない笑みに上げられては、彼女が考えている幻想に付き合ってもいいように感じている竜祥は軽く頷いていきつつ、小夜の自分が紡いだ言葉を賛同しに来ているようにと両手を握りしめては、何度も頷いてくれている態度に心をくすぐられているような気がしている竜祥は、ぽつりと心の中に秘めている言葉を呟いていく、「そうなるとこの変な名前も悪くないように思えて来るな…」


  「うん!」竜祥が彼の名前を認め始めている態度に向けて強く頷いていく小夜は微笑みながら右手の人差し指を立てていき、「きっとそうに違いないって!さよは素晴らしい名前だと思えて来たぞ!」右手を腰に当てては左手の人差し指で彼の顔を指差していく小夜は彼に元気づけるようにと言い放った、「だから竜祥君も自分の名前に自信を持ってよ。」「うん…」会って間もないはずの小夜が自分の事を鼓舞して来ては、自分の口角を何度も上げてくれている事に少しばかり不思議にも思えてしまう竜祥は、軽く視線を自分の汚されていた両手に向けて行きながらぽつりと呟いていき、「持っていくか…」チラッと視線を嬉しそうに笑ってくれている小夜に向けては、淡い笑みを浮かべてしまう彼は補足するようにと言葉を紡いでいた、「名前を変えるのは面倒くさいらしいから…」


  「うんうん!」強く両手を握っては竜祥の事を見れば見るほどに自分と似ているようにと感じては、自分たちの中にはきっとドラマのように描かれていたミステリアスなストーリーが隠されているに違いないんだと強く思っている彼女、「まさしく運命の出会いなのだ!りゅうしょうとさよ!」猛然と右手でガッツポーズを取っては揺るぎない眼差しを自分の右手から竜祥に向けていく彼女、「これはヒーローと助けられる困っている人の関係になるに違いないのだ!うん!」


  さっきまでに自分たちの事を前世の恋人だと言ってくれていた小夜が一瞬にして、自分を被害者に仕立て上げて来ている一言に飽きれているようにと、目を半開きさせてしまう竜祥はぽつりと呟いていき、「どういう理屈なの…?」竜祥の飽きれているような態度の中に秘められていた、微かに残念そうに感じてしまう態度に口角をくすぐられては、彼に安心して貰えるようにと右手の人差し指を立てていく小夜は、右肩を彼の胸元に微かに向けて行きながら元気に満ちている声を上げてしまい、「ヒーローは困っているヒロインと結ばれる運命なんだからさ!」宛ら自分が紡いだ言葉の真意を理解してくれているようにと眉毛を跳ねらせている竜祥に目を細めては、微笑んでいく小夜は両手を握っては自分の胸元に当てていき、「だから待ってて?」


  細い眉毛に力を入れては揺るぎない眼差しを興奮と緊張に挟まれているせいで、呆然としているように見えている竜祥に投げていく小夜、「さよがあなたの悩みを解決出来る日が来たら、」自分にはきっととっくの昔から付き合って来たようにと感じてしまう竜祥と上手くいくはずなんだと思っている小夜は強く両手を握って言う、「きっとさよたちが結ばれる時なんだから!」


  小夜のまるで自分たちはあくまでも会って間もない関係であることを忘れているように、嬉々とした態度でこれからの話を紡いでいる姿勢に目を細められている竜祥、「は、はぁ…」小夜が紡ぐ言葉に彼女が想像しているあまりにも美しい世界に翻弄されては、つい疲れ気味の声を上げてしまう竜祥はぽつりと弱っている声を上げていき、「まぁ、いいけど。」竜祥が自分が考えていた彼との未来に承諾してくれている事に口角を上げられては、揺るぎない眼差しを彼に向けては右手を手刀と化しては額にあるマスクにくっついていく小夜、「じゃ、そろそろ家に帰ってご飯を食べないと怒られてしまうので。」一歩を竜祥から引いては桜色の瞳で彼が浮かんでいた残念そうに思えていた瞬間の表情を映し出していた小夜は、残念そうな笑みを浮かべては言葉を紡いだ、「ここれで失礼。」


  小夜が自分から離れていこうとする一言に目を細められては、今まで小汚いベッドの上で見て来た幸せの夢と同じように、自分にはいつまでたっても彼女と一緒にいられるはずがないと納得していた竜祥は、彼女との最後は出来る限り楽しく終わらせていこうと思っては、右手の人差し指で頬を掻いて行きつつぽつりと呟いていた、「ヒーローなのに親に怒られるのを怖がってしまうんだね…」


  竜祥が紡いだまるで自分を想像していたヒーローのお別れのシチュエーションから、現実に引っ張り返して来ているような一言に目を細められては、不満そうにと唇をすぼめてしまう小夜、「だ、だって…」弱っては肩を縮めていく彼女はチラッと縁石に置かれていたビニール袋に一瞥しては、ぽつりと呟いていた、「お母さまが怒ると泣くんだもの…」小夜がぽつりと漏らしていた一言に見開かされては、思わず怪訝な表情を浮かんでいた竜祥は大声を発していた、「逆っ!?」


  竜祥が自分が紡いだ言葉に驚かされている姿勢に目を細めて行きつつ微笑んでいく小夜は高く両足を交互に上げては、ウォーミングアップしているようにと走っている体勢をしながら竜祥の事を桜色の瞳で映し出していき、「それじゃ、お母さんに悲しませたくないので、」屈託のない笑みを竜祥に向けては、軽く左手を上げていく小夜は自分の額を擦って来ていたマスクを下ろしては、自分の半分の顔を隠していく彼女はぼんやりと自分の事を見つめて来ている竜祥に向けては、微笑んで言う、「バイバイね、竜祥お兄さん~」


  満面の笑みで自分を迎えてくれていた小夜の笑みに心を捕らわれているような気がして仕舞っては、幸せそうに目を細めてしまう竜祥、「竜祥お兄さん…」ぼんやりと彼女が自分に向けて来ていた言葉を復唱してしまう彼は軽く左手を上げては自分の額を擦ってしまい、「いいな…」両足を上げては自分に元気に満ちている声を残しては、母親に悲しい思いをさせたくないでいるせいで、一刻も早く離れないとと思っている小夜が段々自分から離れていく様にぱちくりしては、急いでいるようにと右手を前に向けては、彼女の華奢な背中に向けて伸ばしていく竜祥、「いや…」忽然、自分の額を守って来ていたようなカラスのマスクの尖っていた嘴の感覚を感じてしまうと、強く自分から離れようとしていた小夜の繊細な右手を握っていく竜祥、「ちょっと待ってよ。」


  「え?」否応なしに自分の右手を握ってくれて、自分の前に向けて走り出していた両足を止めに来ていた竜祥の行動に戸惑っては、ぼんやりと振り返っていく小夜は桜色の瞳で彼の切羽詰まったような表情とゆっくりと自分の右手を放してくれては、左手で額にあるカラスのマスクを取っている姿に胸元を向けては、小首を傾げていく彼女はついぽつりと疑問の声を発していた、「あなたも言いたい台詞があったりするの?」


  「ううん…」小夜が自分に投げて来ていた台詞に口角をくすぐられているような気がしては、可笑しそうにと笑っていく竜祥は軽く首を横に振っていき、ぼんやりとしている眼差しを自分の両手にあるマスクに向けていた彼は、自分の視界を奪いに来ているような橙色の夕陽に照らされているマスクを見つめては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼は自分の頬に残されていた小夜の唇の感覚を思い出してしまうと、つい照れくさそうに心境になってしまう彼はチラッと小首を傾げては、早く家に戻らないとと言う焦燥感に駆り立てられている小夜を見ていき、「これ、」左手で黒いマスクを握って、胸元まで上げては右手の人差し指でマスクを指差していく竜祥、「限定マスクだったっけ?」


  「うん…」竜祥が手にしていたマスクに目を細められては、自分の無くしていた同じマスクに心を苦しめられては、つい切なげに唇をすぼめてしまう小夜は、残念そうにと脇を締めながら右手の人差し指で竜祥のマスクを指差してしまい、「さよも一つ持っていたけど…」苦い笑みを浮かべてしまう小夜は、自分の辛そうな表情に困らされているような竜祥に説明しに行くかのようにと、引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつぽつりと弱っている声を発していく、「なんかお父さんにゴミだと思われてて…」


  自分のマスクを欲しがっていたような態度をしていた小夜が補足しに来た一言に左側の眉毛を跳ねらされては、チラッと自分の左手にある高級そうなマスクに一瞥しては、目を半開きさせてしまう竜祥はつい豪華そうな玩具をゴミだと思ってしまう小夜の家族は可笑しく思えては、チラッと壊れていたようなデザインをしていたマスクから小夜に一瞥していき。「それで、捨てられちゃったの…」苦笑いしながら困っているようにと右手の人差し指で頬を掻いてしまう小夜、まるで自分が紡いだ一言で納得しているようにと何度も頷いていく竜祥に目を細められては、彼が手にしていたマスクを求めてしまいそうに、軽くマスクに向けて立てていた右手の人差し指に見開かされては、急いでいるようにと左手で自分の右手の人差し指を握ってしまう小夜は苦笑いしながら目を半開きさせつつ、自分を見て来ている竜祥に向けて説明する、「シャドーがラストバトルで全力を出し切っていたせいでああなったのに…」


  脳内で浮かんでしまうアニメのバトルシーンに興奮を覚えては、強く右手を握っては左手で自分の半分の顔を隠して来ていたようなマスクを擦っていく小夜は言う、「もうこのライトが同じように全力で戦っていた奴しか残されていなかったんだ…」竜祥がぼんやりと首を縦に振りながら自分の解釈を聞いている態度を気にすることなく、桜色の瞳はまるでカラスのマスクに固定されているような小夜は、不満そうにと唇をすぼめては、文句交じりに言葉を紡いでいく、「お父さんの馬鹿…いっぱい泣いたよ…」小夜の何度も赤くなっている鼻翼に力を入れている姿に、心を引かれているようにと切なげに眉をひそめてしまう竜祥はつい大き目のスリッパを履いていた右足を少し彼女のもとへ向けてずらしてしまい。


  「セットで買ったのに…」悲憤に駆り立てられては、つい強く華奢な両手を握ってしまう小夜は悔しそうにと艶やかな唇を噛んでは、ぽつりと声を発していき、「一つ足りなくなっちゃったよぉ…」俯いては悲しみに打ちひしがれているようにと唇をすぼめている小夜の悲しんでいる様に目を細められては、淡い笑みを浮かべてしまう竜祥は当たり前のようにと彼女の足元に向けて歩いていき、「じゃ丁度いいや、」まるで自分が紡いだ一言を上手く理解できずにいるようにと、額を上げては自分の顔を見て来ている潤んでいる桜色の瞳の中にある自分に微笑んでいく竜祥は、左手にあるマスクを小夜に向け差し出して行きつつ言葉を紡いでいる、「きみにプレゼントしようか?」


  竜祥が自分に投げて来ていた笑みと言葉に見開かされては、思わず自分の耳を疑ってしまう小夜はぼんやりとしている眼光で彼の左手にあるマスクと彼が向けて来る笑みを交互に見ては、思わず間の抜けた声を発していた、「え?」小夜の自分の左手からマスクを受け取ろうとしないでいる様に目を細められては、困らされているようにと何度も右手の人差し指で彼女に凝視されているせいで痒く感じてしまう頬を掻いてしまう竜祥は言う、「もうぼくが使ったことのある奴で良かったらなんだけど…」


  「う、ううん!」竜祥が本気で貴重なマスクを自分に送ろうとしている態度に見開かされては、強く両手を握っては、首を横に振っていた小夜は潤んでいる桜色の瞳で彼に揺るぎない眼差しを向けて言う、「大好き!」”ドクンー”刹那、まるで自分の心のど真ん中で立っては大声で叫んでいた彼女の言葉に、心臓が彼女のものになれているような気がしている竜祥、「え?」


  間の抜けた声を上げていた竜祥のまるで自分が紡いだ言葉を上手く理解できていないような態度に目を細められては、鼻腔をくすぐられているような気がしている小夜、右手の人差し指を立てては頬に添えてしまう彼女は、横目で竜祥の呆然と唇を開けている様を見つめては、補足するようにと言い放った、「マスクではなくあなたに言ってたのよ?」「ううっ…!!」背中が痒くなっては足の指がまるで混乱している主人の気持ちを代弁しているようにとスリッパを掻いている、「わ、分かってるし…!」


  小夜の自分に見せて来ている笑みと言葉のコラボレーションに、彼女の存在に止められていた心臓の鼓動が一気に加速し始めているように思えている竜祥、強く両手を握ってしまう彼は恥ずかしい心境に駆り立てられては、つい眉をひそめては、猛然と左手にあるマスクを彼女の胸元に向けていき、「ほ、ほら!」強く鼻翼に力を入れては、眉間に皺寄せている竜祥は何度も自分の心をくすぐっては、もう二度会えないと思ってしまう小夜に不満を覚えては、せめてこれからも彼女と一緒にいられたらと一瞬期待していた彼はつい俯いてしまい、「もう会うことがなさそうだし、」自分が履いていた大き目のスリッパを見下ろしていく彼は、自分が小夜と一緒にいられる事を祈ってしまいそうになると、つい何度も父にタバコとお酒をやめさせ、母に変なポスターから離れて欲しいと祈って来ていた自分の願いは到底叶える事が出来ないのであろうと飽きれては、ぽつりと切ない一言を呟いていく、「思い出にとっておいで。」


  「うん!」嬉々とした表情を浮かべては、丁寧なまでに両手を竜祥に向けていく小夜はカラスのマスクを受け取っては、小首を傾げて行きつつマスクから竜祥に目を向けては言葉を紡いでいく、「じゃさよもなんかあげないとだね?」小夜がまた自分のために何かをしてくれると、今度こそ自分にはもう父親の代わりに買っていたビールを彼女に渡す他に持っている物はないと思っている竜祥は、苦笑いしながらぽつりと渇いた唇を開けていく、「いいよ…きみを呼べば、」軽く右手を握っては、自分の目の前にある薄荷の香りに心をくすぐられているような気がしてならないでいる彼は、赤い瞳でぼんやりと小首を傾げている彼女と彼女が背景にしていた夕焼けを映し出して言う、「助けに来てくれるんだろう?」寂しそうな笑みを浮かべては小夜の驚かされているような表情から目を逸らしていく彼はぽつりと呟いていく、「これでいいよ。」


  「素直っ!」竜祥が本気でこれから何かがある時に自分を呼べば困難は消えてなくなることを信じ込んでくれていることに感動を覚えては、強く両手でマスクを握っていた彼女はつい両手にあるマスクを胸元に当てては、前のめりになっていき、「何て素直で可愛いお兄さんなの!」まるで自分に近づかせていることに困らされているように、口角を斜め下の方向に向けては、上半身を反らしている彼の瞳にある自分を見つめていく小夜は言う、「お父さんもお母さんもさよの事を馬鹿にするし、」悔しそうにと白い歯を噛みしめてしまいそうなる彼女は不満そうな声を上げていた、「全然付き合ってくれないのにぃ…!」


  

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