第79話日が沈んでしまう前に、俺はお前のもとにいることを。

  両手を握っては何度も野黒新の力に震わされている引き戸を深いピンク色の瞳で映し出しては、彼が必死に自分のために引き戸を開けようとしている姿に少しばかり感動を覚えてしまう白野、彼が引き戸に向けて弱音を吐いていた事に悲しそうに目を細めては切なげに赤くなっている鼻先を啜ってしまう白野、「でしょ…?」困っているような彼女は軽く右手の人差し指で頬を掻きながらつい自分の周りにある席と椅子に目を向けていき、自分しかいない静かな教室はやけに静かで怖く思えては、内心で過っていく不安に首が締め付けられているような気がしてしまう彼女は思わず項垂れてはぽつりと艶やかな唇を開けてしまい、「もう…どうしたらいいのよ…」白野が俯いているような影に目を細めては、軽く歯を噛んでしまう野黒新はバケツの中にある水に映し出されている自分の落ち込んでいる姿を見ながら鼻翼に力を入れていた。


  「後ろにある引き戸は棚に塞がられているし…」体が畏怖に支配されては背中が冗談を言っているのかのよう熱くなっている白野、視界が瞬く間に霞んでは鼻腔の奥に水が入っているような辛辣なまでの痺れに苦しめられている彼女、「うぐっ…」腕を組もうとしていた野黒新は引き戸の向こう側で唸り声を上げていた白野に見開かされてはつい間の抜けた声を発してしまい「えっ?!」「もうこのまま…」苦しそうに鼻を啜っては軽く右手の人差し指でピンク色になっている目の下を撫でていく涙を拭いていきつつ、霞んでいる視界の中で縋っているような眼差しを引き戸に向けている彼女はぽつりと声を発して行き、「二度出られなくなっちゃうのかな…?」


  「いやいや…」白野の本気で紡いだ言葉に目を半開きさせては何度も首を横に振ってしまう野黒新はぽつりと声を上げていた、「大袈裟だな…」「うぐっ…!」野黒新の飽きれているような口調を耳にしてしまうと、彼は他人事だと思っているようにと感じてしまう白野は不満そうに強く両手を握って、首につられているかのように上半身を前に向けて行きながら猛然と右手の人差し指ですりガラスを指差してしまい、「あんたはいいわよね!あたしは閉じ込められているんだよ!?」白野の怒っては鼻声で紡いでいる言葉にビクッと眉毛が跳ねてしまう野黒新、彼女に叱れていた事に不服に思いつつ、さっき勝手に彼女に怒ってしまった自分と、彼女を教室の中に閉じ込めていた自分には彼女を責め立て資格はないと考えている。


  野黒新が自分に返事を返してくれないでいる事に心の中にある不安がますます強くなっては彼はこのまま怒って、自分のことを置き去りにして仕舞わないかと心配になっている白野は苦しそうに泣きながら声を発していた、「このままお化けになっちゃうのよぉ…?」白野の怖がっている言葉を耳にしてしまうと、つい苦笑いしてしまう野黒新は軽く右手の人差し指で頬を掻きながら何とか彼女の事を慰めるような言葉を紡ごうと考えつつ声を発している、「想像力豊か過ぎるだろう…」


  「うううっ…!」野黒新が紡ぐ自分のことを小馬鹿にしているような一言に苛立ちを覚えては思わず強く両手を握ってしまう白野、「どうしたらいいの…!」苦しそうに涙をこぼしている彼女は胸元で固まっている不安を感じてしまうと思わず地団駄を踏みたくなっては声を発していた、「まだお嫁さんにもなれていないのにぃ!」腕を組んでは軽く左手で顎を擦ってしまう野黒新は白野が苦しそうに涙を流しつつ、悲しそうに上げている唸り声を耳にしてしまうと、ついドアを破いては彼女の事を抱きしめて慰めてやろと思ってしまい、軽く右手の人差し指を立てている彼は具体的にどうやって白野を自分には無理矢理開けそうにない引き戸から救い出すのかを考えるのはあとにしようと思い、言葉を紡いで行く彼、「こういう時は悲観になるのは早とちりって言うんだぜ?」


  野黒新が上げていた平然としている声に苛立ちを覚えては思わず強く歯を噛んでしまう白野は悔しそうに鼻翼に力を入れては声を発していた、「じゃ出しなさいよ!」白野が問題の根っこの部分について触れていた事に目を半開きさせては口角が斜め下の方向に向けられているような気がしている野黒新、「無理だな…」軽く両手を握っては引き戸を見つめてしまう彼は思わずどうして引き戸を強く閉じていたのかとさっきの自分に問いかけて見たくなっては、諦めているような声を上げていた、「普通には開けられそうにないや。」「ううぐっ…!」繊細な両足で強く床を踏んでは頬が見る見るうちに赤くなっている白野は両手を握りながら苦しそうに叫んでいき、「もう死んでしまうわ…!」


  すりガラス越しで見えて来る白野の焦っては飛び跳ねているような黒い影に目を細めては軽く鼻翼に力を入れてしまう野黒新、一刻も早く彼女の事を引き戸から解放してあげないとと思い軽く歯を噛んでしまう彼は準備をしているかのようにと右足を上げていきつつ声を発していた、「ドアを蹴っ飛ばすのを試してみる?」忽然、まるで無理矢理自分の飛び跳ねようとしている両足を無理矢理止めて来ているかのような野黒新が上げていた声に見開かされては思わず間の抜けた声を発してしまう白野、「え?」


  白野が自分の提案を聞いていたおかげで涙を流すのを一時的に止めてくれているかのようにと軽く右手を上げて、顔を拭いている姿をすりガラス越しで見えている野黒新は自慢げに右手の親指を立てては自分の顔を指差しながら声を発していき、「力と体力には自信があるんだよな、」軽く両手を握っては白野を閉ざしている引き戸に鋭い眼光を向けていく野黒新は歯ぎしりしながら喉から声を絞り出していた、「力尽きても引き戸を蹴っ飛ばせなかったら、飯を食ってまた蹴り続けるぞ?」


  野黒新がまるで彼が紡いだ作戦を本気で実行しようとしている事に見開かされては絶句しているようにとあんぐり口を開けていた白野は恐る恐ると両手を握ってしまい、「ば、馬鹿なんじゃないの…?」白野が自分の事を罵倒して来ているような一言を耳にしてしまうと、自嘲気味に笑ってしまう野黒新は目を細めてはぼんやりと視線を自分の足元に向けつつ声を発している、「馬鹿さ…さっきお前に怒っちまっただけではなく…」声にすればするほどに、間接的に白野に泣かせていたさっきの自分がしていた事を許せなくなっているようにと思えてしまう野黒新は揺るぎない視線を引き戸に向けては声を発している、「こんな破目に落としたぐらいだからな…」


  ぱちくりながら右手で涙を拭いて行く白野は引き戸を壊してまで自分の事を助けようとしている野黒新に言い聞かせているようにと言葉を紡いでいる、「そ、そんなに怒っていないよ…?あたしは。」軽く左手を胸元に当てては滅多に怒らない野黒新が、無神経なまでに彼に色々聞いてしまった自分に怒っていた事を思い出してしまうとつい申し訳なく思っては切なげに眉をひそめてしまう白野は横目で引き戸にあるすりガラスを見つめてはぽつりと声を発していき、「むしろあたしの方こそ…ごめんなさい…」


  自分が言うべき言葉を自分の代わりに言ってくれていた白野に見開かされては思わず間の抜けた声を発してしまう野黒新、「え?」野黒新が発していた声に苦笑いしてしまう白野は軽く両手を握っては痺れているような鼻腔を軽く啜っては言葉を紡いでいく、「春菜ちゃんのことをずっと気に掛けていたのよね…?」悔しそうに軽く歯を噛んでしまう白野は思わず項垂れてはぽつりと呟いてしまい、「なのに全然気づいてあげられなくてさ…」右手を上げて涙を拭いて行く彼女は軽く鼻翼に力を入れては、野黒新に自分のことを許して欲しいと切に思いつつ、軽く額を上げていき、「漫画を読むのだって、」苦笑いしてしまう彼女は野黒新が今までして来ていた行動を間近で見てきたはずなのにちゃんと彼が気になっている事を気づいてあげられなかった自分はダメダメだと思っては軽く肩を縮めてしまう彼女はすりガラスに向けて、尋ねているようにと声を発している、「少しでも休みの日でクラスが別々になった彼女とお話が出来るようにしたいからなんじゃないの…?」


  白野が自分がしていた行動の訳を自分の代わりに解釈してくれていた事を思ってしまうと、毎日春菜がいつかは自分たちから離れてしまうんだという不安と絶望に苦しめられている自分が無意識にして来ていた行為は、確かに彼女の言う通りだったなのかもしれないと強く思っては右手を握っていく野黒新、「俺の話はいいんだよ、」細い眉毛に力を入れていく彼は微かな光が過っていたかのような琥珀色の瞳を引き戸に向けては揺るぎない声で言葉を紡いでいく、「お前はこのまま出られなくだっていいのかよ?」


  「うぐっ!」野黒新がまたしても自分が今、閉ざされていることを知らせて来ていた言葉を耳にしてしまとつい強く歯を噛んでしまう白野は不服そうに両手を握り締めながら言葉を紡いでいた、「現実逃避したかったのにぃ…!」手のひらに爪が食い込んでいる痛みを頼っては何とか自分一人しかいない教室の静かさを克服しようとしている白野は思わず弱り切っている声を引き戸に向かって行った、「あんたの話をさせなさいよ…!」


  大きな木の枝に沿っては教室の窓枠越しで自分の背中を擦ってきているひんやりとした微風に項を撫でられ、思わずビクッと体を跳ねらせてしまう白野はつい大きな声を上げていき、「し、死ぬ前にせめてあんたの悩みぐらいは片付けてあげたいのよぉ…!」白野が急いでいるかのようにと泣きながら紡いだ言葉に目を細めては、死という文字に心が握り締められているようにと思えてしまう野黒新は軽く歯を噛んは真剣な表情で引き戸を見つめながらぽつりと声を発していた、「あほか、お前。」


  「うぐっ…!」野黒新が自分の思いを断ってきている一言を聞いてしまうと思わず歯を噛んでしまう白野は不服そうに強く両手を握っては、文句交じりの言葉を紡いで行き、「何であほだなんて…!」自分の鼻翼を撫でて来ているような温かい涙の粒の感覚に苛立ちを覚えては急いでいるかのようにと右手で涙の粒を拭いていた彼女は悔しそうに叫んでいる、「そんな悪口を言われないといけないのよぉ…」


  「死なせねぇかんな?」揺るぎない口調で言葉を紡いでは軽く歯を噛んでしまう野黒新は左手を胸元に当ててながら右手の人差し指で引き戸を指差していき、「お前を閉じ込めていたのは俺だから、」左手を握りしめていく彼は左手を胸元から離して行きながら決意に満ちている声を発していた、「ぜってぇにこのドアを開けてお前を出してやるから。」強く歯を噛んでしまう野黒新は自分が後ろにある引き戸を上手く開けるかどうかが分からないし、そもそももし教師が受け取っていた棚に傷を付けて仕舞ったら、彼女は多分引き戸を破いた自分に校長の世話になるだけではなく同窓にも上手く事を片付けることが出来なくなるのだろうと考えている。


  「うっ…!」野黒新の勢い任せで何かしらのことをしようとしているような声に驚かされては眉毛がビクッと跳ねていた白野、「やめなさい…?!」野黒新を自分のトラブルに巻き込まれて欲しくないと思ってしまう彼女は切なげにすりガラスを見つめては両手で強く鼓動をきざんでいる胸元に当てて行きながら声を発していく、「勝手にドアを蹴っ飛ばしたら退学処分を下してしまうかもだぞ…!?」


  白野が自分を諌める言葉を聞きながら迷わずに右足を後ろに向けて引いて行く野黒新は引き戸を睨みながら声を発していき、「退学だからなんだって話だ、」頬が自分への怒りに赤く染め上げられている彼は強く両手を握り締めながら言葉を紡いでいた、「人を助ける為に退学にする学校の方が、こっちがお断りだって話だァ!」猛然と重心を落としていく彼は揺るぎない声を発していった、「いくぞっ!」


  「や、やめっ!?」大慌てで両手を引き戸に向けて出して行く白野は思わず大きな声を上げては何とか引き戸を壊そうとしている野黒新のことを止めようと考えている、「向きになるのはやめなさい?!」まるで自分の意見を受け入れてくれているかのようにとゆっくりと体を起こしている野黒新のシルエットを見ながら、チラッと視線を自分の進められるはずだった道を閉ざしていた黒い棚に一瞥しては、軽く鼻翼に力を入れてしまう彼女はもし引き戸が壊されてしまったら、ただでさえ授業中で泣き崩れていた教師はこのまま野黒新の家でお世話になってしまわないかと思ってはぽつりと声を発していた、「も、もう少し冷静になろう…?」


  泣いていたはずなのに何としても教室から出ようとしていた白野が無理矢理大きな声を上げては自分のことを止めて来ていた言葉に戸惑っては、思わず眉間に皺寄せてしまう野黒新は軽く顎を上げていき、「じゃこのままでいいのかよ?」野黒新がまるで自分のことを諦めようとしているような一言にビクッと眉毛が跳ねては大慌てで両手を握りしめてしまう白野は大きな声を上げていき、「よ、良くないに決まってるんでしょ!」


  白野のやはり教室から出たいと思っている言葉を耳にしてしまうと、軽く頷いている野黒新は顎を上げては両手を握りながら再び準備をし始めている、「じゃ手っ取り早く蹴っ飛ばす。」「ま、待ってて!」野黒新のまるで引き戸を壊したがっているような姿勢に戸惑っては思わず両手を引き戸に向けて出していた白野、「あんた…」まるで自分に文句を言いに来ているかのようにと引き戸の向こうで重たいため息をついていた野黒新のシルエットを恐る恐ると見てしまう白野はぽつりと声を上げて行き、「処分されてもいいの?」


  白野の弱っている声に目を半開きさせては彼女は一体何がしたいのかが分からなくなってしまう野黒新は当たり前のようにと返事を口にしていき、「だからいいだってつったろ?」「う、嬉しいけどさ…?」野黒新が自分のことを助けてくれる言葉に冷たく感じてしまう教室に閉じ込められていた自分のことを温めてくれているようにと思えてしまう白野、軽く人差し指を突きながらチラッと横目で引き戸を目にしてしまう彼女は言う、「やっぱりもう少し他の方法を考えてみない…?」苦笑いしてしまう彼女は自分がわがままを言っているのを分かっていても苦しそうに泣いていた教師の事を巻き込みたくないと思いつつ、ぽつりと声を発していた、「暴力以外の方法とかをさ…?」


  「考えなくないけど、」白野が自分に引き戸を蹴っ飛ばさないでくれていることを思ってしまうとチラッと引き戸に一瞥した野黒新は本気で蹴ったら、自分でも引き戸を開けるかどうかが分からないと思いつつぽつりと声を発していく、「少し時間がかかるぞ?いいの?」「い、いいよ、」野黒新が冷静になってくれていることを耳にしてしまうと強く両手を握っては首を縦に振って行く白野は言う、「あんたが退学にならないのなら…」軽く肩を縮めてしまう白野はチラッとまるで自分のことを睨んで来ているかのような教室の後ろにある棚に一瞥しては、つい歯を噛んでしまう彼女は肩を縮めてしまい、「で、でも夜はここで過ごしたくないかな…トイレとかも…」人差し指を突いてしまう彼女は畏怖に苛まれ、痙攣しているような両膝をくっついて行きながらぽつりと声を上げていく、「お風呂にも行きたいしさ…」


  「そんなにも時間をかかったりはしないっての。」胸元を廊下の向こう側に向けては急いで白野を教室から助け出さないとと思ってしまう野黒新は軽く右手の人差し指を立てていく、「じゃ俺は警備員のおっちゃんに頼んでみるな?」「お、おお…」すりガラス越しで見えて来ている野黒新のシルエットがやけに格好良く感じてしまう白野、彼が考え出していた作戦に見開かされては思わずあんぐり口を開けてしまう彼女は軽く首を縦に振っていき、「その手があるのならもっと早く言いなさいよ…!」鼻声になっていた白野が自分に向けて来ている文句に目を半開きさせてしまう野黒新は不満そうに鼻翼に力を入れては声を上げていき、「お前が泣きべそをかいてたからだろう…?」


  「ううっ…!」野黒新がやはり自分が泣いていたせいで取り乱していた事を思ってしまうと、悔しそうに両手を握っていた白野はつい怒れなくなってはため息をつきたくなってしまい、「で、でも先生たちには知らさない方がいいよ…?」右手の人差し指を立てている彼女は釘を刺すようにと言葉を補足していき、「ほら、今朝は悲しそうに泣いてたでしょ?」白野が自分に向けて来ている一言に眉毛を上げられては、道理で自分に引き戸を壊さないで欲しいと言っていたと納得している野黒新、「そんなことを気にしてたのかよ…」軽く口角を上げては淡い笑みを浮かべてしまう彼はチラッと教室の後ろにある引き戸に一瞥しては、後ろにある引き戸を塞がっていた棚を退かすより前にある引き戸を潰した方がよっぽど楽のように思えてしまう彼、棚のことを思ってしまうとつい首を横に向けて振りたくなっている彼はぽつりと文句交じりの言葉を紡いでいる、「そもそもあいつが棚を受け取っていなかったらこんな目に遭っていなかったというのにさ?」


  野黒新が口にしていた言葉はもっともだと思っては不満そうに両手を握りながらチラッと黒い棚に一瞥した白野、「そ、そうよ…」やけに黒い棚は不気味に思えてしまう彼女は脳内に過って行く教師の泣きべそをかいていた姿を思い出してしまうと、つい切なげに眉をひそめて項垂れてぽつりと呟いてしまい、「でもやっぱり…可哀想じゃない…彼女…」白野が本気で泣いていた教師の事を気に掛けている事に口角がくすぐられているいるような気がしてしまう野黒新は軽く両手を上げては首を横に向けて振っていきつつ声を発している、「甘いな~うちの雫ちゃんは。」流し目ですりガラスを見てしまう彼は左手を胸元に当てながら声を発していた、「お兄ちゃん心配になっちゃうわ~」


  「もういいよ!」野黒新が自分に向けて来ているからかって来る言葉を耳にしてしまうと耳殻が熱くなっているように感じてしまう白野は不服そうに右手の人差し指で引き戸を指差しながら叫んでいた、「あんたは早く警備員のところに行ってて!」軽く歯を噛んでしまう彼女は出していた右手を引いては自分の背中を押して来ているようなひんやりとした風に苛立ちを覚えつつぽつりと呟いて行く、「ただでさえ不安なんだから…」背中が風に擦られているせいでつい誰かが自分の後ろにいるんじゃないかと思ってしまう彼女は内心で膨らんで行く恐怖に支配されては両手を上げながら自分のこめかみを押さえつつ言葉を紡いでいた、「このまま日が暮れてしまうと不安に殺されてしまうわ…!」


  白野が怖がっている声を耳にしてしまうと、軽く歯を噛んでしまう野黒新は迷わずに喉から声を上げていた、「そんなことは暗闇にさせねぇって。」まるで自分の心に入っては自分の身体を支えてくれているような野黒新が向けて来ていた一言に見開かされてしまう白野は思わず間の抜けた声を発して行き、「え?」「約束するぜ?」左手を握っては胸元に当てて行く野黒新は廊下の向こう側に胸元を向けたまま体を反らしながら横目で引き戸を見つめている、「日が沈んでしまう前に、俺はお前のもとにいることを。」


  野黒新が本気で紡いだ言葉に心がくすぐられては照れくさい心境になっている白野、涙が止められているように思えてしまう彼女は恥ずかしそうに右手の人差し指で頬を掻きながらぽつりと声を発している、「ちゅ、中二病くさいわね…」白野が自分が紡ぐ言葉に向けて来ていた評価に口角がくすぐられては軽く笑ってしまう野黒新は目をつぶっていき、「でっかい仕事をする前のスパイスだと思ってくれ、」光が過っていく琥珀色の瞳で廊下の向こう側にある階段を見据えては声を発していた、「そんじゃん、行ってくるぜぇ!」


  「う、うん…!」宛ら自分が頷いていたと同時に上げていた野黒新を肯定した言葉に押されていたかのような彼の猛然と走り出していく足音を聞きながら、彼はこのまま帰ってこなくなっちゃうのではないかと不安になってしまう白野は両手を口角に添えては大きな声を上げている、「任せるわね?!」両足が痙攣しては怖がり過ぎていたせいで失禁して仕舞わないと不安になって白野は必死に叫んでいく、「あたしの名誉も!!」


  ”ダダダー”まるで自分が上げていた大きな声に返事をしに来ているかのような遠くに離れては段々小さくなっている足音をぼんやりと聞きながら、いつの間にか強く両手を握っていた白野は軽く歯を噛んではごくりと固唾を飲み込んでいき、野黒新は引き戸の向こう側にいないことを気づいてしまうと、つい背中が焼かれているような思いをし始めている彼女は軽く鼻翼に力を入れては、背中が俄然と熱くなっているような気がしつつ、チラッと横目でまるで自分のことを見守って来ているかのような黒い棚に一瞥しては、軽く汗ばんでいる両手を握っていく彼女はこのまま野黒新が帰って来るのを待つには、自分の為に警備員を探してくれていた彼に申し訳なく思えては、自分なにり何かしらのことしたいと思い、右手が恐怖のせいで震わされているようにと感じてしまう彼女は見慣れていた教室の中には自分しかいないことを感じてしまうと、尋常じゃないぐらいに不気味に思えては、ぽつりと心を苦しめているかのような言葉を呟いていた、「春菜ちゃんと秋人の奴はもう帰っちゃったのかな…」和流の名前を口にしていた瞬間、視界が勝手に霞んでいるように見えてしまう白野は悔しそうに歯を噛んでは、猛然と両手を上げて自分の熱くなっている頬を叩いて行き、「ダメだダメだ…!」宛ら自分のことを勇気づけているかのようにと強く両手を握ってしまう彼女は額にある汗の粒に濡らされている眉毛をひそめながら声を発していき、「ちゃんとしっかりしないと!」


  まるで自分のことを認めているかのような白野は強く首を縦に振っては、猛然と振り返って自分の背中を無言で擦って来ていた微風のことを見ようとしている。まったりとひんやりとした風に吹かれてはまるで自分に向けて緑色の手を振っているかのような太い枝に生えていた緑色の葉っぱを睨んでしまうと、夕焼けに照らされている緑色の葉っぱはやけに綺麗に思えてしまう白野、充血していた瞳はまるで揺らいでいる緑色の芸術品にも思えてしまう葉に心を奪われては、軽く口角を上げて行く彼女は不貞腐れるかのようにと腕を組んで行き、「なんだ~全然怖くないじゃない~」


  嬉々とした声を上げてしまうと、軽く前に向けて歩こうと思っていた白野、忽然、横目で止まっていた黒いものはまるで自分につられているかのようにと動いていた事にビクッと眉毛を上げては急いでいるかのようにと視線を黒い棚に向かっていこうとする彼女、「ううっ…!」霞んでいる視界の中で見えている宛ら天井に向けて体を伸ばしているような黒い棚を睨んでしまうと、黒い棚のせいで自分は惨めな目に遭ってるんだと棚に向けて文句を言いたくなっている白野は不服そうに両手を握っては恐る恐ると左足を棚の方向に向けて伸ばしていき、「こ、怖くなんかないからね…!」歯ぎしりしながら鼻翼に力を入れている白野は肩を縮めながら恐る恐ると棚に向けて歩き出していき、「ぜ、全然怖くなんかないから!」


  脇を締めては右手の人差し指で棚を指差している白野はまったりと自分に返事をして来ようとしないでいる棚を見ると安心感を覚えつつ、棚は本当に中に死体でも入っていたりして、誰か

呪われているのではないかと脳が勝手に考えてしまうと、表情が瞬く間に強張っては中にある奴は敢えて自分に返事をしに来なかったようにと思えてしまう彼女は却って怖く感じてしまい、「ううう…」つい自分が情けないと思えてしまうほどに戦慄している両足を棚に向けていた彼女は歯を噛んでは見る見るうちに霞んでいる視界に苛立ちを覚えつつ、軽く白皙の右手の手の甲で涙を拭いて行き。


  ごくりと固唾を飲み込んでしまう白野は忍び足で棚のもとまで歩いて来てはまるで自分の体を見下ろして来ているような棚を睨んでは、強く両手を握ってしまう彼女、棚を無理矢理退かす事が出来なくとも何かしらのもので引っかかっては、棚を傾かせることが出来たら自分は棚に封鎖されていたスペースの中から出られるんじゃないかと思えては、つい自分のことを天才だと褒めて見たくなって彼女は強く首を縦に振っては、右手を棚に向けて伸ばしていた。


  ”ギギィー”恐る恐ると右手で棚の引き戸を左側に向かせていた白野は自分の耳を苦しんで来ているような尖っていた音を聞きながら目をつぶって仕舞いそうなり、棚の中にもし誰かがいると言うのなら、何としても相手と目を合わせたくないと強く思っている気持ちに駆り立てられてはつい俯いていた白野、棚の中に大事な物を置かれてたら無理矢理棚を倒してしまうと中にある物は壊してしまうと考えていた彼女は自分の右手にある引き戸がやけに重たく感じつつ、勇気を振り絞っていく彼女は猛然と額を上げていた、「えっ?」宛ら自分のことを歓迎して来ているかのような赤い花弁に見開かされてはついあんぐり口を開けてしまう白野はぱちくりながら棚の中にある空間を照らしているような小さな電球と赤いバラが出来上がっていたブーケを見てしまい、「へ?」棚の中にある訳の分からないブーケと小さな電球に戸惑っては呆然と佇んでいた白野は思わず間の抜けた声を発していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る