第21話 新しい事を
昼食のためにログアウトして、簡単に料理をする。コンビニなんかで買ってくれば早いのだが、俺は基本的には自炊をしようと心がけている。ゲームと編集以外もした方が良いと言われたが、こった料理を作るのも良いかも知れない。
「さてと飯も終わったしモノローグをして、っと」
モノローグで一〇分後に配信を再開すると発信しようとして、メッセージが届いていることに気づく。
俺の動画を拡散してくれていた有馬さんからだ。内容を確認すると、『アマツさんに無断でモノローグをして申し訳ない』『Monologerを始めたようで良かった』『以前から動画は見ていた』『VRアイドル兼配信者という仕事の都合上返信にすぐに答えることが出来ず申し訳なかった。今後のためにもフォローをしても大丈夫か』といった丁寧な内容だった。
「『ありがとうございます。フォローしていただけるのは非常に嬉しいです。拡散もして頂けたことがありがたいです。迷惑とは思ってないです。今後はMonologerもしていくので、よろしくお願いします。動画の方も是非お願いします』っと。どう返すのが正解なんだろうか」
他の人からも見える返信ではなくメッセージを使って応えてきたのは、これが個人的なものであるという意味なのだろう。だからそれほどかしこまらなくても良いとは思うのだが、親しくない相手に丁寧に話さないというのもおかしな気がする。
「全然他の配信者と関わってこなかったから感じがわからんなあ。とりあえず失礼のないようにしとこう」
ひたすら自分なりの動画を作ってきたので、他の人がどんな動画を出しているのかや、どういう人なのかもわかっていない。
「夜時間作って見に行こう。とりあえず今は放送だな」
スリープ状態にしていたゲーム機を起動してゲームにログインし直す。今からはマッピングを丁寧にしながら花の迷宮を探索するつもりだ。
「あ、モノローグしてないわ」
有馬さんへの返信でつい忘れていたモノローグをしておいて、配信を再開する。
「さあ、午後ものんびりやっていきますよー」
******
「それじゃあ、今日はいつもより少し早いけどここらへんで。ちょっと色々やってみたいことが出来たのでそれをやってみようと思ってます。うん、じゃあそんな感じで、また明日。おやすみなさい」
今日は花の迷宮のマッピングをある程度したものの、ボス部屋の発見まではいきつかなかった。後二時間もあればマップがうまり、まだ見えていない何かが見えてくるのだろうが、今日はここでおしまいだ。
予想では、隠し通路的なものか、別の階層に繋がるものがどこかにあるはずだ。というのは、マッピングした後に、不自然な空白が見えてきたのである。まあそこも明日になればわかるだろう。
ということで放送を終え、ガブちゃんとお別れをしてログアウトする。荷物受けを見に行くと昨日注文したプラモデルが届いていたので、それを回収して部屋に戻る。
初心者向けのサイトには色塗りだったり形を整える技術だったりが色々と掲載されていたが、まずは普通に組んでみることにする。
「動画を流しながらプラモデルを組んで、疲れたら動画を見るのに集中すれば良いな」
夜の予定を立て、机の上を整理して作業の出来るスペースを確保し、箱から買ったものを取り出す。
初心者向けのサイトによると、とりあえずプラモデルを切り離すニッパーがあればプラモデルそのものは組めるということだった。そこで今回は、とりあえずプラモデルのキットを一つとニッパーだけを購入している。
プラモデルは、昔アニメで見たロボットだ。人型のロボットが自在に戦う姿というのは非常にかっこよくて好きだった。今回はそれを思い出して、一つ持ってきてみたのだ。
「うぬ、パーツ多いな。俺生産苦手なんだよなあ」
試しに箱を開けてみると、思っていたよりも部品が多く、説明書も長い。以前企画で生産をやったときの思い出がちらつく。
「と、その前に動画を……」
作業を始める前に、とりあえず流しておく動画を探す。今現在、俺は自分のやっている企画で十分に生計を立てられている。だがだからといって、いつまでも同じスタイルでいけるとは限らない。
そのための勉強としても動画を見た方が良かったのだが、ここしばらくはさぼっていたのだ。
まあ今すぐ分析をするというわけではないので、とりあえず楽しめそうな動画を見ることにしよう。
「それにしても……昔と比べて生放送の人が多いな。動画を編集して出す人もみんな生放送もしてるみたいだし……俺の方が少数派だったみたいだな」
他の人の動画を見るといろいろ分析したくなってしまうが、今日はまずは見るのだ。有馬さんのチャンネルを調べると生放送をしているようだったので、それを横で流しておいて作業することにする。
配信では、有馬さんが何かのゲームで大きな九尾のようなモンスターをなでながら、視聴者の質問に答えたりしていた。
その動画の方にも集中したいが、手元を疎かにするとプラモデルが完成しない。流石にパーツが破損するのはまずいので、配信を聞き流しながらも、説明書に従って手元でプラモデルを作ることにして、そちらに集中する。
「よくみんなこんな細かい作業が出来るな……」
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