　２体の〈大鬼（オーガ）〉を倒した僕は、続いてもう１体の〈大鬼（オーガ）〉の場所を確認するが、その１体の〈大鬼(オーガ)〉は、最初に向かってきた位置から動いておらず、こちらの動向をじっと確認しているようだった。

　お互いにじっと見つめあいながら、僕は１体目の〈大鬼（オーガ）〉の死骸にそっとより、力を込めて剣を引き抜くと、相手の〈大鬼（オーガ）〉もようやく武器を構えた。

　「こりゃあ、どうなってんだ？」

　そう朝田が言うのも無理はない。

　今僕が相対している〈大鬼（オーガ）〉が武器を構えた途端、周囲の〈大鬼（オーガ）〉達が一斉に戦うのを辞め、今僕が相対している〈大鬼（オーガ）〉の後ろ側に皆並んだのだ。

　「ちと、こいつはまずいんじゃないか？」

　相手をしていた〈大鬼（オーガ）〉達が下がったことで、手が空いた他の勇者たちがこちらに下がってくる。

　「〈大鬼隊長（オーガリーダー）〉が号令したから、ようやく〈大鬼（オーガ）〉達が連携を始めたってか？」

　「それならまだマシじゃねえか？」

　勇者の一人が呟く。

　「あれって〈大鬼隊長（オーガリーダー）〉じゃなくて、〈大鬼将軍（オーガジェネラル）〉じゃね？」

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