第62話
二人が訓練場から去った後、三人の人物が訪れていた。
教皇、招勇、そして教官役の人物、つまり使聖である。
「彼らの出来はどうだ?帝国との戦いには参加させられそうか?」
教皇は、次に待ち構えている大きな戦争に向けて考えながら、二人に尋ねる。
「このまま行ければ余裕だろうな。人をきちんと殺せるか、仲間の死にはどう対応するのか、とかのいくつかの重要な確認項目はあるが、それさえクリアすれば帝国の軍の一つ二つを単独で吹き飛ばせるぐらいには強くなれる予定だな。」
そう答えるのは使聖であり、ここしばらく勇者たちの教官として教えてきたゆえの自信があった。
「なるほど、招勇はどうだ?」
「私も大して変わりません。彼らの成長速度であれば、幾人かはあっという間に我々を追い抜いていくような人材でしょうから。」
「ほう、そんなにか。」
二人の答えに満足したようにうなずいた教皇は今後について、考えをまとめた。
「帝国との戦争など、前哨戦にすぎん。大事なのはその後、勇魔国と魔王国、そして龍神国との戦争だ。たかだか500年程度の新興国家に負けるわけには行かんのだ。」
教皇は未来に向けてこぶしを握るが、ふと思いついたように二人に尋ねる。
「結局、勇者たちの中では誰が一番強いのだ?」
「それは先ほどここで戦った二人でしょうな。お互いにどちらが勝ってもおかしくない戦いでした。」
「けど、最終的に勝つのは工藤の方でしょう。朝田には気の毒ではありますが、流石に成長した系統外魔法の敵ではありません。」
「ふむふむ、なるほどのぉ。」
その後三人は、しばらく話を続けた後、訓練場から出てそれぞれの向かう方向に歩いて行った。
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