第25話

 仮面をつけた男が、最後の、三つ目の、本当だという名前を発した瞬間、今まで感じていた感覚がすべて吹き飛ぶかのような、恐ろしく不気味な感覚が自分の中を支配した。


 まるで、瞬きした瞬間に仮面をつけた男が、周りの空間が、世界が、この世に存在するすべての事象が、己さえもが、パッと消えてしまうのではないか、そんな感覚だ。


 今までは、一つ目の名を聞いた時も二つ目の名を聞いた時も、名を聞いただけでここまでは感じはしなかった。


 その恐ろしい感覚を、ピクリとも動けずにじっと耐えていると、突然、その感覚が途絶えた。


 ふっと気絶しそうになった時に、突然切れた感覚に驚き辺りを見回すと、そこには車掌のレード・ラードと名乗った靄のかかっていて顔の分からない男が、俺を守るように手を出していた。


 「いくらお客様がご招待された方であっても、この列車におられる限りは、皆お客様であります。どんな方が相手であろうとそれは変わりません。」


 先ほどまでは影も形もなかったのに、いつの間にかいた車掌のレード・ラードと名乗った男の制止に対し、仮面をつけた男は降参とでも言うように両手を上げて言った。


 「わかってるわかってる。別にここで何かをやりあうつもりはない。何のためにわざわざこの【■■■■】に何千年もいると思うんだよ。だが少しは態度を気をつけろ。確かに私の最大の攻撃は貴様らには効かん。だが、そんなものを使わずとも貴様らを滅ぼすことは可能だということを覚えておけ。」


 「仮にあなた様が、最上位の神であり全部で16柱しかいない最高神であってもこれは変わることはありません。これこそが我らの存在意義ですので。」


 仮面をつけた男と車掌のレード・ラードと名乗った男は、お互いに譲る様子はなかったが、やがて現れた時と同じように、唐突に消えたことで争いは収まった。


 「それで話を戻すが、私はお前を神にしたい。しかし、お前には確実に足りないものがいくつかある。それはほとんどが今後成長すれば手に入るものだからいいが、一つだけそろわないものがある。」


 「それは【暴■】の因子だ。お前はすでにかなりの量を持っているが、私の目的のために必要な量にはまだまだ足りない。」


 話が戻され進んでいくが、全然わかりゃしない。

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