第22話
「あんた、その名前をどこで知った?」
誰も知らないはずの前世の名前を言われて動揺が走る。
真っ黒なタキシードを着た、顔全体を覆う灰色の仮面をつけた男に対して、警戒を隠さずに尋ねると、仮面をつけた男は誤解だとでもいうように手を振りながらこう言った。
「いやいや単に『&コ#7!』君、君をずっと見ていただけだよ。」
「見ていた?」
「そうさ、見ていたとも。君が賢者たちの実験に参加したところも、君が賊王や識王達を相手に戦っていたところも、君が何年もかけて蟻たちを虫から蟲へと進化させたところも。そして、君があの世界に転生したところも。」
「何!?それはどういうことだ。」
「どういうことだも何も、君を転生させたのは、私だからね。」
唐突な事実の告白に思考が追い付かない。
状況整理のために、とりあえずは1番大事なことを聞く。
「あんたは何もんだ?あんたの目的は?あんたはおれになにをさせたい?」
「いろいろと矢継ぎ早に聞いてくるねぇ。まあ、もともと答えるつもりだったからよかったんだけどね。だが、私の名前がうまく聞き取れるかな?」
「どういうことだ?」
疑問を浮かべる俺に仮面をつけた男は答える。
「本当の神々の名というものは、その神の手自らで創り上げられた神力文字で構成されている。この神力文字は、創った神の力が強ければ、その分文字の格というものが上がっていくんだ。」
「つまりだ。己の格が高すぎるから、己の名前がうまく聞き取れないかもってことか?」
「そう言うことだ。所詮、半神にも届いていない存在に、上級神である私の名前が聞き取れるとは思ってはいないさ。まあ、一部の例外は存在するが。」
「一部の例外?」
「そう、一部の例外さ。例えば巫女とか神官、聖女とかが一部に該当する。まあ、他にいるとすれば、君みたいなイレギュラーだろうねぇ。」
今更ながら仮面をつけた男は、俺を対面の席に座ることを進めながら説明する。
「君は【暴■】の因子を大量に持っている。その証拠は君も知っているはずさ。」
「俺が知っている?因子を大量に持つ、イレギュラー?」
しばらく考えて、ふと思い出した。
自分の異常な点、それは【飢餓耐性】のレベルだ。
「そう、その通り。君の持つ超高レベルの【飢餓耐性】こそが君が【暴■】の因子を大量に持っている理由だ。」
頭の中でも読んでいるのかという絶妙なタイミングで解説が再開する。
「確かに【飢餓耐性】が高レベルな理由は君が餓死した後、冥界を通らず転生したこともある。しかし、たかが餓死した程度では【飢餓耐性】はそこまで上昇しない。せいぜい行っても【飢餓中耐性】になるかならないかという程度だろう。」
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