第6話
村が襲撃されていることに気が付いたのは魔物を狩るために森に向かって歩き始めてから少しのことだった。
地響きが聞こえ始め、最初は何が起きたと警戒したがやがて背後の村の方角から聞こえてきたことに気が付いたころには、村への騎馬の突撃は始まっていた。
自警団や高位の冒険者をやっていて昨晩帰ってきたという村長の息子は必死に抵抗していた。
しかし、十倍以上の数の差がある敵に対して勝てるステータスを持っていたわけではない彼らは瞬く間に蹂躙されていった。
「さて、どうしようか。」
そういう俺には正直言って村に愛着はなかった。
だから、このまま村を去るという選択肢もあった。
『ソナタガ生マレ育ッタ村デハナカッタノカ?』
地中に潜って移動していたかつての女王蟻、改め7位階の〈
数年前に蟲に進化してから順調に成長してゆき今では7位階まで進化した〈
最もそれは支配階級であるからか、〈
「まあ、そうなんだけどね。正直、村は育ててもらった場所という事実しか感じてないんだよね。」
そう言い、どうしようか悩む俺に対して〈
『育テテモラッタコトニ対スル借リグライハ返シタラドウダ。』
「うーん、そうだね。そうするよ。ついてきてくれるかい?」
『モチロンダトモ。我ハタダノ虫カラ魔物ノ蟲ヘト、進化ノ道ヲ開イテモラッタコトニ対スル恩モアル。ソナタノタメニハ、コノ命スラモ捧ゲヨウデハナイカ。』
「相変わらず、忠義が重いなぁ。」
こうして俺たちは村へと引き返し、盗賊たちと戦うこととなる。
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