閑話2 母親
「なるほど、そうなんですか。分かりました、母上。それでは今日も出かけてきます。」
「はい。いってらっしゃい。」
「はぁ。」
よく出来た息子だとは思うのよ。
でもね、逆に良く出来過ぎてる気もしなくもないのよ。
昔から、それこそ生まれたばかりの頃から全くといって良いほど泣かなかったし、直ぐに言葉も覚えて、我が儘も全然言わない。
今の会話だっておおよそ母親と8歳の息子がする会話ではないわ。
十大列強についてなんて農民なんかが一生に1度も関わることの無い方が当たり前なんだから詳しく知っている人の方が珍しいってのに。
3歳ぐらいに自由にいろいろなところに歩いて行けるようになってからはなんか、ずっと家の外で歩き回ったりたまに土をほじくり回したりと不思議なことばかりする。
口調も何故か教えても無いのにずっと丁寧な口調だし、それにたまに空中に誰かに話しかけるような挙動も見える。
同じ村の子供達も不気味がってハマーと関わろうともしないから寂しがってるかと思えばそうでもなさそうで平気そうに見える。
ハマーが喋れるようになってきて直ぐにスキルのことを聞いてきたから、ハマー本人は否定していたけど何かと会話が出来るスキルを取得していたのかしら?
まあ、どっちにしてもハマーは私の息子であることに変わりはないわ。
昨晩遅くに冒険者をやっていた村長の息子が村に帰ってきたけど、そのときになんて言ってたっけかなぁ。
確か、5つほど隣の街の近くで数百人から数千人ほどの大規模な盗賊団が幾つか出来て抗争をしているから心配だから念のため帰ってきたんだっけ?
5つも隣の街の盗賊団のことが影響するとはあまり思えないけど、少し心配ね。
あら、少し家の外が騒がしいわね。
何か起きたのかしら?
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