【暴食】の蠱毒たる神

ロキブレイカー

第1章

第0話

 幾つもの世界と大量の霊力に満ちていたはずのそこは今、周囲には何も存在しなかった。




 




 




 否、二つだけ存在するものがあった。




 




 




 神の中では最大級であり個体によっては星すらも超える大きさを持つ巨神すらも比較対象にならないほど巨大なミミズのようなものが1つ、そしてその傍らに男の神が一柱存在した。




 




 




 巨大なミミズのようなものはまだ少しだけ動いていたが、もうじき動かなくなるであろうことはどのような存在であろうと見て取れた。




 




 




 そしてミミズのようなものからすれば豆粒よりも小さな大きさの男の神はミミズのようなものが苦しそうに身じろぐときに、当たらないように少し離れたところにいながらもじっとその様子を見つめていた。




 




 




 巨大なミミズのようなものがピクリとも動かなくなってしばらく後、アナウンスが届いた。




 




 




 《【■■喰ら■獣】ウ■=■ス■の討伐を確認しました》




 《これより【祈■■らう■】■■=サ■ラの体を因子への変換、拡散を開始します》




 《『■■■■■■■■■』の干渉を確認しました》




 《【■■】の因子の拡散を停止しました》




 《変換中》




 《変換が完了しました》




 




 




 しばらくして、巨大なミミズのようなものはみるみるうちに光の粒へと姿を変えた。




 




 




 最初は光の粒はあちこちへと拡散していったが、途中から男の神の中に吸い込まれていった。




 




 




 やがて光の粒が完全に消え、霊力が空間に戻って来た頃、男の神の姿は消えていた。

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