第66話 見てる
「ますた!! こっち来て!!」
「ちょ、何ですか!? ひっぱ、ちょ、歩きますから――」
コンサを弄りまくっていると慌ててきたメルナが俺の襟首を引きずり、とあるデスクの前まで連れてくる。
勢いが凄くてケツが擦れて痛い。
「ここ見て!!」
尻尾をぶんぶん振り回し指さす。
「どれどれ……これは、私ですか」
「ますたがうつってる、です」
まあこれだけあれば俺が映っているのも有るだろう。この世界でも目立っている人間の一人だっていう自覚もある。
だがしかし、驚くべきところはそこでは無い。
「だれか居た気配!! においする!! です」
「その様ですね、しかも有るのが……問題ですねぇ」
「もんだい?」
すりすりしてくるのが大型犬見たいで可愛いな。俺より身長デカいけど。
デスク周りにはこの世界には有ってはいけないもの。
「ポテチの袋に食べかす……さらにコ〇ラですか、デブの御用達みたいなセットですね」
「ポテチ? コ〇ラ?」
「湿気っていないし、コ〇ラもさほど温くなっていない……と言うことは」
誰かが直前までここに居て、俺を見ていたと言うことだ。
誰が、何の為に、どうして? そもそもどうやってここに?
うす気味悪い、と思いつつも俺もコンサを弄ってるし人の事言えんか。
「メルナ、私はしばらくここに居ますから他のところをお願いします。ふぅ――やりますか」
メルナが行ったのを確認してから俺はデスクに付く。
俺のステータス、感情、思考、データ。
うっそ、俺のAPP低すぎ!
魔力13て、マ?
剣スキル無いのが笑うわ。
ステータスが弄れねーな、俺本人だとダメなのか?
「――むぅ、俺が出来るのは感情の書き換え程度か……試してみるか」
先ず今の俺は疲労、こっから興奮に書き換える。
「お、さっきのコンサを思い出して昂ってきたな」
次に怒り。
「はあ、どうしてどいつもこいつも相談無く勝手に行動するん?」
次に哀しみ。
「エロゲに転生したかったよぉ」
最後に通常に戻す。
「感情だけで思考やらにも多少影響するのか、思考の方も弄ったらどうなるのかな」
「楽しそうね?」
「楽しいと思います? 意外と恐怖してますよ、色々とね」
後ろから覗き込んできたムーン。かつて俺にトラウマを植え付けたクソエルフが真横に居るのに何も感じない。俺も成長したよな。
「あっちにアルって子の奴があったわよ」
「ありがとうございます――じゃあ、私はそっちに行くのでこのメモ通りに弄っておいてもらえますか?」
「? ええ、私にできるかしら」
「意外に簡単なんで大丈夫ですよ」
俺はステータスの操作方法をメモに書き、ムーンに渡した。
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