第53話 エールーフーン

「ダンジョンについて詳しく教えてもらえますか?」

「良かろう――」


 ダンジョンには一切の装備を持ち込めないし、ダンジョンの物も外には持ち出せない。故に最初は裸で入るしかない。

 入る度に内部が変化する。


 最初の一階には必ず入った人数分の最低装備が入った宝箱がある。

 食料から装備まで、すべて宝箱に入っている。


 異種族のほかにも魔物までいる。


 魔力は自然回復しない。


 十階ごとにフロアボスがいる。それを倒すと魔力が全回復する。

 階が上がるほど敵が強くなる。


 三十階以上には謎解き要素がある。


 ランダムに休憩階があり、そこには温泉がある。


「――現在最高到達記録は82階だ。そして80階のフロアボスが言っていたそうだが、最上階は100階だそうだ」

「それより上には行けなかったんですか?」

「もう限界だったそうだ。上の階には転移魔法陣の描かれた台座に乗るのだが、そこで一階の台座に転移するか選べる仕様になっているようだ」

 設計者は優しいね。というか入浴の文化が無いくせに温泉は嬉しいのか。


 つまり真理は最上階か。


「危険だぞ? それでも行くのか」

「行きますよ、死んだらその時はその時ですし」

 俺って悲しいかな……『男の子』なのよね。





 世界樹の前に立つ。

 大きすぎて途方に暮れてしまう。えげつなさ過ぎる。


「其方がシンカか」

「ひょろい奴だな、おい」

 振り返るとそこにはたくさんのエルフ種が居た。


「自己紹介といこうか、余がハイエルフ族の長でおるっはだ」

 ハイエルフ特有の爆乳と高身長の女性、おるっはという名らしい。


「俺がダークエルフ族のるかいさんだ」

 ダークエルフ特有のむっちむちな体型の褐色女性、るかいさんという名らしい。


「もう知っていようが、るまいあせんだ」

 白髪のモデル体型のエルフ。


「そしてこの里を長で、まっちゃんだ」

 エルフ族らしく、高い身長のスレンダーな女性だ。


 四人の後ろには数百人のエルフが居た。普通に怖い。

(なんでこんなに居るのです?)

(さあ? とりあえず出方を窺いましょう)

 流石のメルナも不審に思っている。


「前へ」

「「「はっ」」」

 まっちゃんの号令の後に、三人のエルフが出てきた。


 一人はエルフ族でムーンだ。

 もう二人はハイエルフ族とダークエルフ族だ。この時点である程度察せるな。


「この三人を共に連れて行け、役にたつだろう」

「よろしいので? かなり長い攻略になると思いますけど」

「エルフ種の寿命は長い、気にするな」


 朗報だな、エルフ種は強いし。しかもこの三人はおそらくアレだろうし。


「ムーンよ、弓使いで里一番の使い手として有名よ。よろしく」

 ウインクしながら右手をぱちんと鳴らしている。


「マーズだ、よろしくな。一応は戦士だ」

 ダークエルフであろう女性、マーズ。大きい胸とお尻、太ももなどがむちむちなグラビアアイドル体型な褐色の美人さん。ダークエルフの銀髪が何気に好き。


「ジュピター。――よろしく――ね」

 ハイエルフで、ムーンに胸を足したような美人だ。

 エルフって人間から見たらみんな人形みたいな顔だから、違いがよく解らないんだよな。


 こいつらを俺は知っている。

 ゲームのゲストキャラで、あと二人いたはずだが。


 この居ない二人を足した五人はプレイヤーからはエールーフーンと呼ばれていた。元ネタは言わなくても解るだろう。


 彼女たちは立ち絵が無かったから、気付かなかったわ。


 メンツの問題か、それとも俺たちの監視役か。それでもかなりの戦力だ。


「よろしくお願いします、シンカ・スクリューです」

「メルナ、です……よろしくです」

 

 よし、行くぜ!!

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