第21話 命知らずほど命を重んじる

 とある野次馬の会話。

「すげえなあの二人。ほぼ丸腰で突っ込んでってるぞ」

「死ぬことなんて何とも思ってないんじゃない?」

「いや、むしろ逆だ。確かあいつらは…」

 -

 デアデビル命知らずと呼ばれる連中がいる。

 過激なライブアクションを得意とする劇団ビストリッパーズの中でも、特に危険なスタントを行う役者の事を敬意と揶揄を込めてそう呼ばれている。

 傍から見れば、いつ命を落としてもおかしくないその行為を批判的に見る者もいるが、実際は何者よりも命を重んじる信念を抱いており、特にデアデビル命知らずと呼ばれる彼らは、如何なる状況でも確実な生存を成す実力を有し、死の恐怖と寄り添い続ける本物のプロフェッショナル生きたがりである。

 収穫祭ハロウィンに参加した彼らの目的も、祝祭ムードにあてられ、モール・モースの脅威を亡失した阿呆共の救出なのだが、ほとんどの者からすれば、彼らの行為こそが阿呆で無謀な特攻のようにしか見えないかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る