大好きなあの人に会えるまで
キョロスケ
出会いと日常
月の光が窓から入り込んでスポットライトが当たっているように感じた。今日の夜は私が主役だ。じゅん君に会いに行きます。
天井に吊るされている輪に首をかけた。
私の名前は佐藤 牧。23歳の新卒である。極度の人見知りだ。だからといって友達がいないわけではない。詩織という大親友がいる。彼女は身長が高くとても綺麗な人だ。中身も綺麗である、ぼっちだった私にたくさん接してくれた優しい人である。詩織は私の大切な人だ。そしてもう1人大切な人がいる。じゅん君だ。彼は大学1年の冬にじゅん君の方から告白してもらった。じゅん君はいわゆる陽キャという属に入る。私と真逆の性格だった。いつも明るく元気に接してくれる。一緒にいるだけで私も笑顔になる。
このように私には大切な人が2人いる。2人がいるだけで幸せだった。
「まだ資料作れないの?」黒髪のショートカットでスーツがとても似合うアラサーとは思えない上司が焦らせてくる。来週のプレゼンを成功させるにはこの資料を早めに完成させなければならない。でも納期にはまだ時間があるんだからそんな焦らす必要はないと思う。
「あと少しです!」焦っている風を装う。
今回のプレゼンは成功させなければならない。成功すれば私は皆から認められるし、上司からも評価が上がる。そして何より同じ部署に配属それているじゅん君に褒められる。
じゅん君に褒めらることを考えれば仕事効率が上がる。好きな人のパワーってすごいんだなと感じた。
「はぁ〜、早くしてよね」ため息と同時にもう一度上司が私に急かしてきた。
「上司、納期っていつまででしたっけ」上司は納期を絶対間違えている。だから遠回しに教えてあげようと私は納期を知っているのに聞いた。すると、
「佐藤さん、ちょっと来なさい」落ち着いた口調で呼ばれた。このトーンで呼ばれるってことは言われることは1つしかない。周りの人も理解していた。なので私が上司のところに向かっている間周りが私を哀れな目で見てるくる。もうなれた。怒られる。
私が上司の方に行くなり早々
「納期を忘れるって貴方仕事を舐めてるの」やっぱり怒ってきた。ここまでは予想通り、これからはいかにこれ以上怒られないかというゲームみたいなもんだ。
「すみません。」最初は謝った。
「私は謝罪を求めてるんじゃないの」上司が呆れた言い方で言ってくる。
上司が何を求めてるかなんて知らない、結局怒られるんだからどうだっていい。
「はい、忘れないようにします、すみません」謝罪を求められてないと言っても謝罪をするしかない。
「もういいよ、戻ってさっさと資料作って」今回はゲームに勝っただろう。いつもよりあまり言われなかった。自分のデスクに戻ると、いきなり話しかけられた。
「大丈夫?気にしなくていいと思うよ」低い声で落ち着く。じゅん君がお茶と一緒に慰めに来てくれた。
「ありがとう、もう疲れたよ〜」笑いながら返した。この会話も毎回だ。私は毎日のように怒られるのに対してじゅん君は仕事を完璧にこなしてみせる。尊敬をするところしかない。
「今日お昼一緒に食べれない?」じゅん君が誘ってきた。私は普段違う部署の詩織とお昼を食べていてじゅん君とお昼食べることは滅多になかった。誘われたことに疑問はあったが断る理由がないので了承した。
「夜一緒に夜景を見に行かない?」じゅん君が誘ってくれた。デートで夜景、なんてロマンチックなのだろう。「行く!!!」誘われただけで疲れが吹っ飛んだ。嬉しくて、朝作ったオムライスの味は途中から消えた。
そのあとの仕事には手がつかなかった。そもそも何したのか覚えていない。夜が楽しみでその事で頭がいっぱいだった。上司にまた怒られたのかもしれない。でも今は何も気にならなかった。
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