甘く柔らかな炸裂

春嵐

第1話

 生き方を、今更変えようとは思わなかった。


「いいのか、本当に」


 上司。何度も何度も訊き返してくる。


「かまいません。べつに、死ぬことぐらい。どうでもいい」


 ほぼ確実に死ぬ仕事だった。内偵と工作を兼ねる。しかも、普通の会社に潜んでいる危険分子の排除になる。誰も味方はいない。

 自分にぴったりだった。この仕事が、自分の死に場所になる。それでいい。死ねれば。なんでもいい。

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