白いカーテンと花びらおどる

マァーヤ

白いカーテンと花びらおどる

いつだって陽だまりは眠くなる。

電車でも、公園のベンチでも…

教室でも。

授業がたいくつなら、なおさらだ。

自分はくじ運がイイ。

窓際の後ろから3番目。

ちょうどイイ。

一番後ろは意外と目立つ。

後ろから2番目も、一番後ろとセットで見られてしまう。

3番目、ちょっと頭さげれば地味めに目立たない。

春の陽射しを満喫ちゅ~。

窓も開けているから、そよ風がこれまた気持ち良い。

風の呼吸にカーテンが動くのも好き。

散りだした桜が目線の先にあるのも好き。


はぁ~とろけるって、こんな感じ?


過去の偉人の逸話なんかどうでもいい。

自分は今を生きてんだもの。

あの空の水色を見てよ、ノートとるよりさ。

新しい制服の袖、汚れちゃうよ? みんな。

やっと受験終わって入ったのに、もう先の未来に不安感じちゃうのかい?

みごとに舞い散ってますけど、桜~。

こんな綺麗な瞬間、いまだけのものなのに。

あぁこのそよ風が、、、


バサッ! バサバッ!!


ん…世界が白い…


「お前、なにカーテンかぶってんの?

 風強くなったから窓閉めろよな。


 ーたく、いつまでカーテンの中にいる気だよ」


自分を白い世界から連れ出したのは、隣りの席の男子でした。


「なにお前、頭に花びらのっけちゃってるじゃん、笑える」


そう言いながら、そっと花びらをつまみとってくれました。


こんな素敵な笑顔の男子が近くにいたんだ…


教室のみんながこっちを見て笑っているぽいけど、なんだろう…

春の陽射しの中に置いてけぼりにされてるようで…


はじめて名前を言いました。

「鈴井くん…ありがとう」

「おぅ」


教室の白いカーテンがまた大きく踊りだし、

桜の花びらも盛大に舞い散ってゆく。


窓際のみんなが慌てて窓を閉めはじめ、先生もなんか言っている…

そんなお昼の前の時間。


そろそろチャイムが鳴りそうで。

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