第7話 異世界転移 3日目


 現実の世界でただ寝ているだけの氷魔は、入り口から入っている光を顔に受け、目を覚ます。


 「…………ただの夢じゃないよな。一応あれが神様ってことか?……後でステータスを見ればいいか。」


 とりあえず喉が渇いた氷魔は、アイテムボックスから水の入っているコップを取り出して水を飲み、寝床の岩から出る。


 「やっぱり眩しいな。今は7時~9時の間くらいかな?とりあえずディレットのところに顔をだしておくか。」


 昨日と同じような時間帯に起きた氷魔は寝床から出て、体を伸ばしたあと、昨日のディレット達がいた場所に向かっていく。すると、全員が起きて焚き火を囲んでいた。


 「おはよう。」


 「「「「グギャギャガ」」」」

 《オハヨウゴザイマス。アルジドノ。》


 「ディレット。そういえばお前達って水飲んだ?」


 《ハイ。ココカラスコシハナレテイマスガ、カワガアリマス。》


 「川?そんなこと言っていたか?」


 《ソノ、キノウハイイワスレテイマシタ。スミマセン。》


 「それくらいならいいさ。…川か。とりあえず飲み水にできるかあとで確認しに行くか。ディレット、これが朝の分だ。」


 氷魔はアイテムボックスから、ディレット達のホーンラビットの肉を取り出して渡し、湖で顔を洗いに行き、自分の焚き火の場所に向かう。


 「今日は、ブールットとバナスを食べるか。」


 氷魔は朝食の果物を食べながら、ディレット以外のゴブリン達の武器を考えていた。

 現在の氷魔の考えていた戦闘スタイルは、中距離で操縛糸を使いつつ、近距離は剣で戦うこと。そして今回、ディレット達配下のゴブリンは全員で5体。ディレットが強化されたのが物攻、他のゴブリン達は、物防2体に、魔防、素早さが1体ずつ。さらに、ディレットが槍を使うことが決まっていた。


 (こうなってくると、俺が操縛糸で全体のサポートをしつつアタッカーを。ディレットには、物理アタッカーに専念してもらうとして、ゲームと一緒だと理想的なメンバーはタンクと魔法アタッカーにヒーラーかな?)


 氷魔は自分がやっていたゲームで、一番理想的なパーティーを思い出していた。

 タンクが敵の注意をひきつつほとんどの攻撃を受け、物理と魔法のアタッカーが敵を攻撃する。そしてヒーラーが、攻撃を受けた仲間を回復させる。

 ただ、ここが現実の世界だと考えると、ゲームのようにバランスの取れたことが起きるとは限らない。いや、バランスの取れているようなことではなく、理不尽な状況に起きるかもしてないと考えると、より考え込んでしまう。


 (今はとりあえず、今のことを考えるか。

まず、物防が強化されたゴブリン2体には盾を持ってもらい前衛に立たせ、魔防が強化されたゴブリンは棍棒を持たせて後方で見張りを、素早さが強化されたゴブリンも同じく棍棒を持たせて、遊撃かな?一応、あとでどのゴブリンがどういうことが得意か聞いてみるか。)


 氷魔は石のブロックで棍棒と盾をつくり、アイテムボックスに入れ、ディレット達のところに向かう。


 「ディレット!」


 《ナンデショウカ?アルドドノ》


 「他のゴブリン達って、なんか得意なこととかあったりするのか?」


 《スコシマッテイテクダサイ。》


 10分ほどディレットはゴブリン達と、ゴブリン語?で会話をしていた。


 《ワカリマシタアルドドノ!アノモノダケ、ホカノモノタチヨリ、テキヲハッケンスルコトガトクイダト》


 氷魔にはどのゴブリンがどの強化をされたのかわからないため、ディレットに指をさしてもらい、そのゴブリンに鑑定を発動する。


 (素早さが強化されたゴブリンか。なら、偵察みたいなことができるのか?意外に噛み合った能力値があがったな。……遊撃から偵察にかえるか。)


 ひとまず、盾と棍棒をアイテムボックスから取り出して、それぞれの武器の説明をしながら渡していく。最後に戦闘時のことを説明し始める。


 「全員よく聞け。これから、敵と戦闘する際のことを話す。まず、盾を持ったゴブリンはこれからの説明では盾ゴブリンと言い、棍棒を持ったゴブリンは棍棒ゴブリン、ただ敵を見つけることが得意なお前は偵察ゴブリンと呼ぶ。わかったな?………よし、説明を続ける。まず、偵察ゴブリンが先頭を、その後ろに盾ゴブリン2体、さらに後ろにディレット、俺、棍棒ゴブリンが並んで森を進む。偵察ゴブリンが敵を発見または敵に発見されたら、すぐにディレットと俺のところまで下がってディレットに報告し、ディレットはその情報を俺に念話で伝えてくれ。その後、盾ゴブリンが敵の前で注意をひけ。その間に俺とディレットで、敵の捕縛または止めをさす。それと、戦闘中は棍棒ゴブリンと偵察ゴブリンが一番後ろに下がり周囲から他の敵が来ないか確認していてくれ。………こんな感じだ。わかったか?ディレット。」


 《ハイ!》


 「なら他のゴブリンがわかったか確認してくれ。もし、分かっていないようなら説明してやってくれ。」


 ディレットが他のゴブリン達に確認と説明をしている間、氷魔は自分のステータスを開く。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  涼川 氷魔

 人族 17歳 男

ジョブ

1.錬金術士(異) Lv.4 2.テイマー Lv.3

3.条件を満たしていません。

能力値

体力 220/220

魔力 380/380

物攻 22

物防 22

魔攻 20

魔防 20

素早さ 27 

   保有ステータスポイント:0

スキル

・錬金術 Lv.1・錬成補助(簡易武器) Lv.1

・錬成補助(簡易防具) Lv.1

・テイム Lv.1 ・テイム確率上昇 Ⅰ Lv.2

・テイム時強化 Ⅰ Lv.10

・念話(テイムした生き物限定) Lv.1

  保有スキルポイント:0

称号

・神の遊戯者

・神の少しの加護 

・技神の加護(瞳)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 (とりあえず、保有ステータスポイントってやつと技神の加護の説明を見ないとな。)


 ステータスの見たいところをタップする。すると、いつも通りに説明のパネルが出てくる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  *保有ステータスポイント

 ジョブのレベルアップのさい、能力値に割り振られるポイントをステータス保有者が自分で割り振るため、一時的に保管する場所。好きな能力値をタップして、保有ステータスポイントを使うとステータスを振り分けられる。

 神の遊戯、達成報酬で獲得した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  *技神の加護(瞳)

 スキルを司る神からの加護。叡智の瞳または神眼とも呼ばれる神の眼を、加護を持っている者に与え、加護を持っている者の瞳の色を変える。

 鑑定のスキルと同じ使い方をする。本来、鑑定では見れないものが見れる。

 神の遊戯、達成報酬で獲得した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 (これでステータスを自分の好きなように育成できるな。……にしてもあの金髪神。技神って言うのか、なんかすごそうだな。まぁとりあえず、鑑定がより使いやすくなったからいいんだけど。瞳の色が変わるのは難点だよな。なんか能力持ってますって宣伝してるみたいだよな、格好いいんだけど。……そういえば他にもなんか言ってたな、あの神。そうだ、スキルツリーがどうたらとか言ってたな。)


 ステータスを操作して、錬金術士(異)のスキルツリーを開いたが、特に変わったことがなく、続いてテイマーのスキルツリーを開いた。すると、条件が満たされていなかった灰色のスキルに色がついていた。すぐにタップして見ると。 融合 というスキルが解放されていたが、他のスキルとは違い消費スキルポイントが10になっていた。


 (10倍?!それだけ強いってことか?スキルポイントは使っちゃったしな、あとですぐにあげてみるか。やっぱり融合っていうくらいだから、テイムした複数魔物が強い1体になるのかな。そうだとするともっとテイムしないといけないんだけど、食料が足りないんだよな~。)


 少しの間、ステータスやスキルツリーとにらめっこをしていると、ディレットが近づいてくる。


 《アルジドノ! ミナニセツメイガオワリマシタ。》


 「じゃあ今日は、川の状況を確認してから森で食料調達と地形の確認だ。ディレット、もし前に教えてくれたゴブリンの集団が、拠点にしている場所が近くにあったら教えてくれ。」


 《ワカリマシタ》


 氷魔は自分の防具と武器を装備してから、ディレット達を確認して、ディレット達が知っていた川に向けて進みだした。


 1時間ほど歩くと、氷魔の視界には意外に大きく開けた場所と川が流れている景色が見えてきた。


 「へぇー、けっこう良い川だな。川幅が3メートルってところかな?水深もあんまり深くなさそうだな。ディレット、ここで少し休憩だ。俺は川の深さや魚がいるか見ておくから、お前達はここの広場でバナスでも食べて待っててくれ。ただ、しっかり周りの警戒はしておけよ。」


 《ワカリマシタ。ミナデケイカイシテオキマス。》


 氷魔はアイテムボックスからバナスを取り出して、ディレット達に渡し、川岸に向かっていく。

 川の水は透明度が高く、川岸の近くには数匹の魚が見えている。氷魔はしゃがみ、川に左手をつける。


 「冷たくて気持ちいいな。特に変な感じがあるわけでもないから、少し飲んでみるか。…………うん!うまい!とりあえず、飲む分は少しにしておくか。体調が悪くなるといけないからな。?!……あぁー、そういえば、技神の加護で瞳の色が変わっているんだったな。ビックリした。なるほど、見た感じ右目が綺麗な水色だな。まぁ確認するのはまた今度で良いか。」


 氷魔は水を飲むため、水面に顔を近づけたことで自身の顔がうつり、技神の加護(瞳)によって色が変わった目をみたのだった。

 その後、氷魔は武器と防具と服をアイテムボックスに入れ、川の中に入っていく。川の中間地点まで入っていくと、股下までの深さがあることを確認した。それに、かなりの魚が周りをおよいでいることを確認しつつ、川岸に戻りアイテムボックスの武器と防具と服を取り出して着る。


 「かなりの魚がいるけど、全然警戒心がない。これなら意外に食料を確保しやすそうだな。これで捕まえられるかな?」


 氷魔はアイテムボックスから魔翠石を取り出し、あるものを錬成する。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る