怪異さがしの日記帳

雪音 愛美

はじまり

蒸し暑い夏の日。

僕は、公園のベンチで一冊のノートを見つけた。


《かいいさがしのにっきちょう》


拙くて丸い、まだ幼い文字でそう書かれた表紙。

その、どこか古ぼけたノートに果てしなく興味を惹かれた。

辺りを見回して、誰もいない事を確認する。


少し見るだけ。

ちょっとだけ。


そんな思いで、僕はノートを拾い、ベンチに腰掛けた。

生温い風が、僕の首筋を撫でるように通った。


ひらり。


僕は意を決して、ノートのページを開いた。

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