風船ストライカー犬ダニエル対シーズー犬まめたろう
アほリ
風船ストライカー犬ダニエル対シーズー犬まめたろう
ぷぅ~~~~~~~~~!!
ぷぅ~~~~~~~~~!!
ぷぅ~~~~~~~~~!!
ぷぅ~~~~~~~~~!!
このサッカークラブのアイドル犬。『風船ストライカー犬』ことダニエルは、自分のカッコイイ似顔絵の絵の入った黒いゴム風船を口で一生懸命に頬っぺたをめいいっぱい孕ませて、息を入れて膨らましていた。
ぷぅ~~~~~~~~~!!
ぷぅ~~~~~~~~~!!
ぜぇ・・・ぜぇ・・・
・・・何で俺がハーフタイムの余興に使う風船を口で膨らませなきゃならんのだ・・・?
・・・いつもは、ポンプでしゅっ!しゅっ!と膨らましてるのに・・・?
・・・俺、犬なのに。犬が風船膨らますのは酷だよぉ・・・?
「ごめんねぇ、ダニエル。苦労かけるね。空気ポンプ故障しちゃって。
口で膨らまたいけど、今あれでしょ?」
スタッフが言い訳する中、余興に使うのと割れたりした時予備2個を犬のダニエル自信が口で膨らませた為、もうこれでダニエルはヘトヘトになった。
・・・ったく今回の余興は、何でファンから募集をかけて愛犬と一緒に風船サッカー対決する事になったりするんだよ・・・?!
と、サッカーの試合が前半を終了して、
「それではお待ちかね!!風船ストライカー犬こと、ダニエル君の登場でーす!!」
スタジアムのアナウンスと共に、マスク姿の専属ハンドラーと一緒にダニエルはグラウンドに登場した。
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!
スタンド席のマスク姿のサポーター達から、待ちかねたように盛大な拍手が起こった。
「観客の皆様には再三いってますが、新型ウイルス感染対策としてマスク着用と客席は密にならないように、席を離してソーシャルディスタンスを守って声援を控えて拍手で応援を守ってくださーい。
それでは、今回は特別企画!!
自前募集で選ばれたチームサポーターの愛犬が、風船ストライカー犬ダニエル君に挑みます!!
それでは、サポーターと相手のわんこの入場でーーーす!!」
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!
観客席からの拍手の中、サポーターユニフォームを着てチームカラーの黒いマスクの飼い主とその子供、そして愛犬のシーズー犬がグラウンドにやってきた。
「お名前とわんこのお名前は?」
「由美子と海斗、」「僕の愛犬の『まめたろう』ですっ!!」
「わんっ!!」
由美子の抱いているシーズーのまめたろうは、バスケットの中に入っている3つの黒い風船を見たとたんに興奮してハッ!ハッ!ハッ!と息を荒くした。
「どんな性格なわんこですか?」
「見ての通り風船が大好きで、風船を見ると直ぐに突いたり飛ばしたり、割ったり家中大騒ぎになっちゃうんですよ!!」
・・・こいつが、俺の対戦相手・・・?
・・・こんなチビ公は一捻りだぜ・・・?!
「今日はもう1匹!風船サッカーに挑む2匹にエールを送ります!有名子猫モデルのマミイちゃーーん!!」
すると、大きく膨らんだ風船を傍らに有名モデル子猫のマミイが大型ビジョンに映し出されてニャンニャンと鳴き、テロップにこう流された。
「ダニエルくーん!!そして相手のわんこちゃーん!!みんな頑張ってにゃーーー!!
キックオフにゃ!!3、2、1!!」
ぱぁーーーーーーーーん!!
ビジョンで映された子猫のマミイは、爪で風船を割った。
・・・ええっ?!これがキックオフ・・・?!
慌てたダニエルは、グラウンドに放たれてふわふわと舞っている黒い風船を追いかけた。
「もらったーー!!」
まめたろうは、黒い風船を鼻で受け止めるとそのままキープして、ぽーん!ぽーん!と飛び上がって鼻で自らのゴールに向かって風船をトスした。
ぽーん!ぽーん!ぽーん!ぽーん!
「うわーー!!すばしっこい!!」
まめたろうは、コロコロと黒い風船を転がしてドリブルするとそのまま、
≪ゴーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!!!!!≫
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!
場内から割れる程の拍手が起こる中、ゴールに入った黒い風船に興奮したまめたろうは牙でぱぁーーーーーーーーん!!と割った。
「わーー!!くちゃいくちゃい!!鼻が曲がりそう。これ誰の息?」
シーズー犬のまめたろうはどや顔で、怒髪天でうーーー!と威嚇するダニエルに嫌みを言った。
「俺だよ!!俺が一生懸命に口で膨らませた風船を割りやがって!!」
ぴーーーっ!!
「まめたろう君先制!!後半キックオフ3、2、1!!」
ぽーーーん!!
グラウンドに予備の黒い風船が放たれると、プライドがズタズタになったダニエルが猛ダッシュして風船を奪取した。
「俺は風船ストライカー犬のダニエルだーーー!!」
ダニエルは、ぽーーーん!!ぽーーん!!ぽーーーんぽーーーん!!と、自らのゴールポストに向かって必死に鼻で突いた。
「よっ!!ほっ!!うりゃっ!!このっ!!」
ダニエルは、風船を奪い取ろうとするまめたろうの攻撃を巧みに避けて、ヘディングしてゴールを決めようとした。
「えっ?!」
その時、ダニエルにハプニングが起きた。
「牙に風船の吹き口が挟まった!!」
ダニエルは、必死に風船を鼻で突こうと堕ちてきた風船が丁度風船の結ばれた吹き口だったのだ。
「うがーーーー!!」
ダニエルは、必死に顔を振り回して牙に挟まった風船の吹き口を取ろうとした。
ぽんっ!!
ぷしゅーーーーーーーー!!ぶぉぉぉぉーーーーーー!!しゅるしゅるしゅるしゅる!!
ダニエルの牙から離れた風船の吹き口の結び目がほどけ、ダニエルの膨らませた吐息を吹き口から吹き出して吹っ飛び、萎んでゴールの下に堕ちた。
「これはどういった事でしょう?審判が駆けつけています・・・
ゴールです!萎んだ風船がゴールに入ってます!!」
≪ゴーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!!!≫
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!
・・・結果オーライ、俺の風船ストライカー犬の面目は果たせたな・・・
ダニエルは、ホッと胸を撫で下ろした。
「それでは、後半戦の時間が来ました!!
楽しい風船サッカーを繰り広げた2匹のわんこに盛大な拍手を!!」
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!
「おい!!PKは?!PK!!」
スタンド内のスタッフルームに戻った風船ストライカー犬のダニエルは、わんっ!!わんっ!!と吠えて抗議した。
「すげーじゃん。風船ストライカー犬。」
そこに、飼い主の由美子にリードに引かれ、傍らにお土産に貰ったダニエルの吐息の入った予備の黒い風船を持った子供の海斗と一緒にやってきたシーズー犬のまめたろうがやってきた。
「それほどでも・・・」
ダニエルとまめたろうは、お互い鼻を付き合わせて健闘を讃えた。
「ねぇダニエル君。」
「なあに?」
まめたろうは、由美子にせがんで萎んだ風船を口にくわえさせた。
ぷぅ~~~~~~~~!!
まめたろうが膨らませている風船は、ダニエルが牙に吹き口が挟まって外れたとたんに空気が抜けた黒い風船だった。
「間接キス?」「ちゃうわい!!」
まめたろうが控えめな大きさに口で脹らませた黒い風船を、飼い主の由美子に結んで貰うと。
「よーし!ここで試合の続きだ!!PK合戦しよ。」「よし!望むところだっ!!」
それから、ダニエルとまめたろうの風船サッカーを通した友情のひとときを過ごした。
~風船ストライカー犬ダニエル対シーズー犬まめたろう~
~fin~
風船ストライカー犬ダニエル対シーズー犬まめたろう アほリ @ahori1970
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