水の卵 ♢
初めて父さんが水の卵獲りに連れてってくれた。
「今日あたり海面に出てくるはずだ」
叔父さんとふたりで網の準備をしながら父さんが言った。
最初はなにも見えなかったけど、日が高くなるにつれて海面にボコボコと泡がたってきた。よく見るとそれが水の卵だった。
父さんが網を打った。
初めて見る水の卵は思ったより大きくココナツくらいあった。
近くで見るとそれほど綺麗でもない。
「これがそんなに高く売れるなんて」
「どうして獲ってもらいたい連中がいるからな」
「集めて水にするのかな」
父さんは首を振った。
「水にしないためさ」
そろそろ危険だと港に引き返す途中で、背中に衝撃を感じて振り向いた。卵が
「あれでも俺たちが獲るようになって、だいぶ小さくなったんだぜ」
叔父さんが笑った。
空に昇ったあの水たちは、どこか遠い国で激しい雨になるそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます