「ぼーっ」としてるくらいがちょうどいい。
かなたろー
絶世の美少女が、余計な事言わなければ、可愛いし尊い。
ワタシが待ち合わせ場所の
ちょっと寝癖できてて、上下、
そしてイルカちゃんは、ワタシに目を合わせるなり、思いっきり頭下げて言いました。
「ごめん! この埋め合わせになんだってする!」
ワタシは、胸がきゅうううんってなりました。
可愛い。めっちゃ可愛い。
ワタシは落ち着くために、とりあえずさくらんぼを食べました。豆かんに入っていた、自然な甘さのさくらんぼを食べました。
ゆっくり落ち着いてさくらんぼを食べて、あくまで普通を装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。
「ほんまに? ほんまに、ほんまに、なんだってする?」
イルカちゃんは、黙って「こくん」とうなづきました。
可愛い。めっちゃ可愛い。
ワタシは、とりあえず落ち着くためにに、さくらんぼのタネを、ゆっくりゆっくううり吐き出して、あくまで普通を装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。
「じゃあ、お買い物つき会ってくれへん?」
・
・
・
ワタシは、イルカちゃんをお洋服のお店に連れて行きました。ロリータ服の専門店に連れて行きました。
でもって、お人形みたいなイルカちゃんの服をひっぺがして、お人形みたいなイルカちゃんにフワフワのペチコートはかせて、お人形みたいなイルカちゃんに、あっまあっまのフッリフッリのドレス着させてあげました。
イルカちゃんにお似合いの、淡くて青い、あっまあっまのフッリフッリのドレス着させてあげました。
でもって、リボンカチューシャか、ヘッドドレスかを悩んで、悩んで悩んで悩みぬいて、ヘッドドレスにしました。淡くて青い、あっまあっまのフッリフッリのヘッドドレス着けてあげました。
可愛い! めっちゃ可愛い! 可愛すぎて死ぬ!
ワタシが、悶え死にをしそうになっていると、イルカちゃんは鏡の前でボーッとしてました。
「なんやわからん」
みたいな顔して、鏡の前でボーッとしてました。
ワタシは、おそるおそる聞きました。
「あくまで、ワタシの勝手な意見やけど……めっちゃ似合う思う。どない?」
そう言うと、イルカちゃんは顔を真っ赤にしました。耳まで真っ赤にしました。
そして、ちょっとモジモジと口を押さえて考えてから。ポツリと言いました。
「……うん」
尊い! めっちゃ尊い! 尊すぎで死ぬ! 悶え死ぬ!
ワタシが尊すぎで悶え死にそうになっていると、イルカちゃんは悲しい顔してました。そして、悲しい声で言いました。
「可愛いけど、こんな高い服、買えないよ……」
「ワタシが買う!」
ワタシは秒で答えました。秒で言い切りました。
「でも……高いよ……ものすごく高いよ」
「ええんや! ワタシが稼いだお金、ワタシが自由に使うだけや!」
そう言って、ワタシは秒でカードを出しました。真っ黒のカードをショップ店員さんに突き出しました。
ワタシは、オロオロしているイルカちゃんめっちゃ可愛い思いながら、努めて普通を装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。
「なんや知らんエライおっさんたちに、
ワタシは、
なんや知らんエライおっさん達に、おっさん自身を
あ! これはとっても大事なことなんで、キッパリハッキリ
なんや知らんエライおっさん達には、普通に手を握ってあげるだけです。
ワタシのおっぱい触ってええのは、握ってええんは、「たゆんたゆん」させてええのは、イルカちゃんだけです!!!!
そこんとこ、キッパリハッキリ
・
・
・
ワタシがお会計を済ませると、イルカちゃんはとってもすまなそうな顔してました……なんで?
「ありがとう。私なんかのために、こっちの地球に来ちゃった、私なんかのために、ここまで……」
泣いてました。イルカちゃんは泣いてました。ワタシは、ワタシのわがままに、イルカちゃん付き合わせとるだけなのに、イルカちゃんは泣いてました。
可愛い……めっちゃ可愛い……可愛すぎて……死ぬ!
ワタシは泣いてるイルカちゃんを「ぎゅ!」ってしました。
イルカちゃんのちぃちゃい体を「ぎゅ!」ってしました。
ワタシは泣きながら、ちぃちゃいイルカちゃんを体を「ぎゅ!」ってしました。
尊い……めっちゃ尊い……尊すぎで死ぬ……
そしてワタシは思い出しました。大事なことを普通に忘れとるの思い出しました。
ワタシはまだ、誕生日プレゼントを渡してませんでした。
ワタシは、いそいそと、でっかいトートバックから、プレゼントを取り出しました。バスケットボールくらいの大きさの、ラッピングされたプレゼントを取り出しました。
そして、あくまで普通を装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。
「イルカちゃん、これ、誕生日プレゼント!」
イルカちゃんは、キョトンとしながら言いました。めっちゃ可愛く言いました。
「え? まだプレゼントあるの?」
めっちゃ可愛い。
「ええから、ええから。開けて」
イルカちゃんは、プレゼントのラッピングを開けました。なんやちぃちゃい手で、モタもたモタもたモタしながら開けました。
可愛い! めっちゃ可愛い! モタもたモタもたモタして可愛すぎて尊すぎて死ぬ!
イルカちゃんは、どうにかこうにかプレゼントのラッピングをほどくと、プレゼントを取り出しました。
ワタシは、胸を張って言いました。胸を「たゆん」と、張って言いました。
「イルカのぬいぐるみや!」
ワタシが自信満々で言うと、イルカちゃんは顔を真っ赤にしました。耳まで真っ赤にしました。
そして、ちょっとモジモジと口を押さえて考えてから。ポツリと言いました。
「これ、シャチだよ・・・オルカ」
ワタシは思いました。心の底から思いました。ワタシはアホウなカザミドリや思いました。
だから
「イルカちゃん! 16歳のお誕生日、おめでとう!!」
「ぼーっ」としてるくらいがちょうどいい。 かなたろー @kanataro_
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