陰キャな中の人はボッチ希望？隠れハイスペックにガチ恋勢が離れてくれません。

第80話 初体験

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…

絢斗「もしもし」

樹里「亀よ？」

絢斗「亀さんよ～、じゃなくて。おはよう」

樹里「あら、ノリが良いわね。おはよう」

絢斗「こんな朝早くからどした？」

樹里「あなた、夏休み中私が忙しかったのをいいことに下品な胸のギャルとラブラブしてたわね？

ラブラブしてチュッチュしてパフパフしてたわね？

しかもVTuberデビューまでプロデュースして。」

絢斗「いやいやいや、ラブラブもチュッチュもしてなかったはずだが？」

樹里「あなた！パパパ、パフパフはしたのかしら！？」

絢斗「なんで前提すっ飛ばしてパフパフだけするんだよ！」

樹里「あなたはわからないわ。

なかなかのおっぺぇ星人だし。本当にあの下品な胸に顔をうずめたりしてないわよね？」

絢斗「・・・・・・。」

樹里「無言は肯定ととるわよ？」

絢斗「事故なんだ！わざとじゃないんだ！偶然なんだ！」

樹里「あなたって人は…で？気持ち良かったの？」

絢斗「・・・・・・。」

樹里「よかったようね。まあいいわ。

私は殿方（とのがた）の遊びにいちいち小言を言うような野暮な女じゃないもの。」

絢斗「はぁ。。。

（今散々圧かけてきたよな！？）」

樹里「で？明日のご予定は？」

絢斗「いや、特には。たぶんゲームしてる。」

樹里「じゃあつき合いなさい。」

絢斗「えぇ、なんでさ？」

樹里「あなたは約束を平気で破る男なのかしら？」

絢斗「…あ！」

樹里「忘れてた、と？」

絢斗「い、いえ。ははは、やだなぁ、忘れるなんてあるわけ無いじゃないですか…」

樹里「敬語の時点でお察しね。そういう男だったのね。ショックだわぁ。」

絢斗「樹里さん、明日１日僕に付き合ってもらえないだろうか」

樹里「あら、どうしましょう」

絢斗「是非！」

樹里「フフ、そこまで言うなら付き合ってあげるわ」

絢斗「で？どこか行きたいとこでもあるの？」

樹里「それは後のお楽しみよ。すぐにわかるわ。それと、明日はバイクを出して欲しいのよ。」

絢斗「いや、タンデムは…」

樹里「大丈夫よ、最高基準の装備を揃えたわ。エアバッグも完備よ。

後はあなたが安全運転すればいいだけじゃないかしら。」

絢斗「そこまで装備揃えたんならいいか。わかった、明日はバイク出そう。」

樹里「ありがとう。ちなみに今日の夕方とか何かしてるの？」

絢斗「いや、特に予定は無いよ。」

樹里「じゃあ私の部屋にいらっしゃい。」

絢斗「ん？なんかするの？」

樹里「一足先にお披露目よ。」

絢斗「お披露目？」

樹里「そろそろ出なきゃいけないからその話はまた夕方でいいかしら？」

絢斗「ああ、わかった。また連絡くれたら行くよ」

樹里「では後ほど。」

何のお披露目何だろう？？

気になるけど夕方まで時間あるしなぁ。

夏休みの宿題はさっさと終わらせたしやること無いんだよな。

七色あーとのデビューまでカウントダウンも始まった。

グライドの公式ホームページも始動している。

週２でアップしているチックトックのショート動画も好調だし

ホントにあとはデビューするのを待つだけの状態だ。

９月半ばには虚無師匠もデビューが決まったようだし一安心だ。

何だかんだ言ってたが結局はやる気の師匠である。

さて、ゲームしながら時間潰すか…

・・・・・・・・・・・・

夕方

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…

樹里「もしもし、私よ。」

絢斗「ワタシさん？どちらにおかけでしょうか？」

樹里「いい度胸ね。あーとの鼻を豚鼻に変えて欲しいのかしら。

それとも両性具有のビッチ風にして欲しい？」

絢斗「見てみたいけどやめてくださいゴメンナサイ。」

樹里「帰宅して用意もできたし部屋にきてくれるかしら。」

絢斗「了解、今から行くよ。」

何だろう？ドキがムネムネすりゅ…

お隣に行くだけなのに？

まぁこのフロアは俺の部屋と樹里の部屋だけなんだが

その数歩が進まぬ！

なんならちょびっと足が震えとる！

初めてって緊張するよね。

えぇい！

たかがオナゴの部屋を訪れるだけじゃというのに何を臆する事があるか！

というような爺様の幻聴もしてくる始末。

んむ、ゆこう！

「ピンポ～ン」

インターホンを押したふりして口で言ってみたり。

ぬぁぁぁぁ！！！

なんたるハードルの高さよ！

樹里「あなた人の部屋の前で何を悶（もだ）えているの？」

絢斗「シボチーの弊害が発動する事によって心身が萎縮してしまうという現象がおきたので帰ろうかどうか悩んでました。」

樹里「どうして帰っちゃうのよ…

なかなか来ないからのぞきに来てみればあなたは…

いいから入りなさい」

絢斗「ｵ、ｵｼﾞｬﾏｼﾏｰｽ…」

樹里「蚊の鳴くような声ってきっとそういう声だというお手本のようね。」

絢斗「そ、そうかもしれない」

やってきました

人生初の女の子の部屋へ…

なんだかソワソワする。

きっとあれだな、妖怪アカナメの親戚で妖怪ソワソワっていうのがいたずらしているんだ。

そうに違いない。

樹里「何をブツブツ言っているのか知らないけれど早くこっちにきて座りなさい。お茶を淹れるから。」

うっかり呟いていたようだ…

しかし・・・・

ふぉぉぉぉぉ！！！

良い匂いがするでござる！！

女の子というより女の人の匂いだ！

ソワソワがドキドキに変わってきた！

これは妖怪アカナメの親戚の妖怪ソワソワの子供の・・・・

樹里「あ、あなたねぇ…こっちまで緊張しちゃうからあまりそういう事は言わないでよ…」

真っ赤な顔の樹里に怒られた…

なんか今日はよく言葉が漏れるなぁ…