第35話 出っ来るっかな【その壱】
中野から色々と教えてもらってからマンションに帰宅。
武井さんも屋敷に戻った。
と言ってもマンションから屋敷は直線で徒歩3分なので夜ご飯はあとで食べに行くんだが。
明日投稿する動画は中野が仕上げてくれた。
明日の正午に投稿するらしい。
というわけで自分でも一本作ってみたい!いいのが出来たら麻美さんのチェック後なら投稿してもいいとの事だしさっそく作ってみよう。
まずは音源。
最初のがある意味懐メロだったし明日の分はあのアニメシリーズで一番好きな作品の曲をチョイスした。
まぁそれも結構前なんだけどね。
俺の音源、メトロノームだけの奴に中野がアコギを被せてシンプルだが魅せる作品に仕上がった。中野、なかなかやりおる。
なので要塞アニメシリーズとは違うジャンルで攻めたい。
最近調べてて面白いなとおもったのがボカロPの曲だ。
歌い手さんが良かったのか印象的で歌ってみたいって思ったのが一曲。
でも出来上がってる檸檬の画の中にあの曲に合うものがない。
どうしよっかなぁ。
電話して聞いてみようか…
いや、無理だ。俺が直接女の子に電話をかけるなんてあり得ない。
でもなぁ、こんな事でいちいち武井さんに頼むのも悪いしなぁ。
う~ん…
一時間後
うわ!やべ!うだうだ悩んでたらこんな時間に!?
電話しよう!真面目に素で電話しようとするから落ち着かないんだ。
ふざけよう。うん、そうしよう。
「もしもし、オレオレ、ちょっと困った事になっちゃってさぁ。」
あえて胡散臭い声を出してみた。
「あら、知人からオレオレ詐欺の電話がかかってくるなんて初めての経験ね。それで絢斗、どうしたのかしら?」
「んぉ!?なんでわかったんだ!」
「・・・着信の時に名前が表示されるもの。あなた、ホントに気づかなかったの?」
んぐっ!
「バババカだなぁ、そそそんなワケワカメ」
「何をいっているのかしら…それで?要件は何なの?」
「いや、実は今から自分で歌ってみたの動画を作って投稿しようと思ったんだけどその曲に合う檸檬の画が欲しいなぁ…とか。」
「・・・。あなた、私が誰だかわかっているの?勿体ぶるつもりはないし自分で言うのもなんだけど今一番期待されている売れっ子イラストレーターなのよ?企業さんでも私とアポをとるのにかなり時間と労力を割いているというのにそれを電話一本で画を描けとか…ふざけているのかしら?」
「あぅ、返す言葉もないよ…ごめんね?自分でなんとかしてみるよ…」
「ぅ…」
「う?」
「な、なんでもないわ。ネコが、そう!ネコが爪を立てただけよ!」
「そっか、じゃ」
「迎えにきなさい。」
「ん?」
「だから!あなたの家に招待しなさいと言っているのよ!」
「えええ!家にくるの!?でも、ここはまだ穢されていない俺の唯一の…」
「あら、何かご不満でも?この!私が手伝ってあげると言っているのに断って本当にいいのかしら?それに穢されるとは聞き捨てならないわね。私のこの繊細な乙女心が傷ついたわ。だいたいあなたは」
「わわわかりました!すぐに武井さんに向かってもらいます!」ピッ
そんなに怒らなくても…
「そんなわけで武井さん、檸檬のお迎えをお願いできますか?」
「勿論です。すぐに向かいましょう。」
はぁ…
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