クローズコールド
春嵐
第1話
逃げきれない。少しだけ、つかれた。
身体の穴。脇腹。左腕。左腕のほうは、ほとんど血が止まって、大丈夫になってきた。脇腹の血は止まらない。流れ続ける。自分の命が流れている実感があった。このまま、死ぬのか。それならそれでいい。みじめだが、彼女に自分の死に顔を見せなくて済む。
「どうせなら、誰もいないところで。ひっそりと死ぬか」
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