壁にめり込んだ男:10 推 理

「なぁ、お前らはもう分かってるのか?ここで何があったのかを」

 現場に戻って早々にデニさんが尋ねる。

「推測上は」

「わん」

 そうだな主人。

「犯人もか?」

「推測上は」

「わん」

 同感だ主人。

「それを確実なものにするのが俺の仕事だ。聞かせてくれ」

 主人は、少し間を置いて語り始めた。

「まず、コークス・ソダーただの哀れな被害者じゃない。従業員と同じ脅迫者だ」

仲間グルだった訳か」

「ああ。被害者脅迫者は昨夜ここに入った。目的はおそらく脅迫中のお相手犯人とのお楽しみと新たな強請ゆすりのネタづくりのため。しかし、お相手お相手が来たのは明け方。散々焦らされた被害者脅迫者は半ば強引に攻めよるも動転したお相手犯人に思わぬ反撃を喰らい壁に埋まることになった」

 穿たれた壁を示す主人。

「何とか危機を脱したお相手犯人は被害者の電話端末ミニタブだけを奪い、急いで外に逃げ出した。入れ違いで事態に気づいた従業員が最低限の偽装盗撮器材の回収を行い、王警に通報した」

電話端末ミニタブを盗んだのは、お相手犯人のほうなのか?」

「従業員だったら、今頃残骸が見つかってる」

「それで、さっきから言ってるお相手犯人とは?どれぐらい分かってる?」

「そのお相手犯人とは…」

 主人は、少し間を置き。

「貴族のご令嬢。種族は半獣体型ハーフハーフ馬亜種ケウロス。学生寮のある女学園アカデミーの学生だ」

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