第34話 怠安の泳者【ユイ・オトラ】

 東大陸国ジペングニアに生息する唯一の神獣。

 巨大な空魚であり、その外見は文字通り魚を彷彿とさせるが、粒子の集積体であるため、魚類というよりも精霊族の祖に近い存在。

 丸みを帯びた愛嬌のある姿で、島々を巡り遊泳する姿は、国内外を問わず人気があり、最も親しみのある神獣と言われている。

 東大陸国ジペングニアの一般的な和装である甚平じんべいと同じ模様を持つことから、地元では、『ジベイ様』と呼ばれている。

 観光資源が主な財源である東大陸国ジペングニアにとっては、そういった意味においても『神様』と呼べる存在である。

 粒子体であるため、明確な実体はないとされているが、北の神獣グル・イラと違い、複数の姿は確認されておらず、またその大きさも自在に変わり、街をひとつ覆うほどの体躯で遊泳することもあれば、ヒトと同程度の大きさで通りの中をすり抜ける姿も確認されている。さらにはその状態では、粒子の密度が濃いためか、子どもぐらいならば、乗ることもできるらしい。

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